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3月 07 2022

断行直前まで行って和解したケース

建物明渡しの手続を行った場合、任意の交渉で明け渡してもらえるケースは少なく、強制執行の申立てをして明渡催告(いつまでに退去してください。退去しない場合は強制的に明け渡してもらいます。)という強制的に明け渡してもらう予告をする手続をした後に急いで明け渡してくれる方もいれば、断行(搬出業者等に来てもらい、強制的に荷物を搬出して明け渡してもらう。)という手続まで行きます。強制執行の申立てをした後は、任意に明け渡していただくか、強制的に明け渡していただくかの違いはあっても、結論としては明け渡してもらうことになります

ただ、今回は断行の寸前まで行ったものの、結果として明渡しを求めずに、和解をしてそのまま居住してもらうという解決になりましたので、まとめてみたいと思います。
なお、事件の特定を防ぐため、一部フィクションが入っております。

 

 

1 未払賃料の支払催告及び解除通知

数年間、家賃が未払いになっておりましたので、未払賃料の支払いを催告し、支払いが無い場合は賃貸借契約を解除する旨の通知を送りました。
こちらについては、相手方に配達されたものの特に連絡がないまま期限が過ぎてしまったため、契約は解除となりました。

 

2 未払い賃料支払い及び明渡し請求の訴訟

数年分の未払い家賃及び明渡しを求める訴訟を提起しました。さらに、明渡しまでの賃料相当損害金も請求しております。

 

3 判決

相手方に送達されたもののまったく反応はなく、口頭弁論期日にも出廷しましせんでしたので勝訴となりました。

 

4 最終通知

明渡の強制執行をするためには判決が確定しなければならないことが多い(ほとんどのケースで明渡しに仮執行宣言は付されない)ので、この期間を無駄にしないため、このままだと強制執行になってしまうから連絡がほしい旨の通知を送付しましたが、まったく反応はありませんでした。

 

5 強制執行の申立て

判決が確定した後、すぐに強制執行の申立てを行いました。

 

6 明渡催告

裁判所の執行官や大家さん(依頼者)、鍵を開けてもらうための開錠業者さんなどとともに当該物件を訪ねましたが、本人は不在でした。
ただ、外から見ただけでもゴミの山になっていることが明らかであり、住んでいる気配がまったく感じられなかったので、比較的近い日付で断行の日を設定してもらい、執行官が告知書を玄関に貼って明渡催告は終了となりました。

 

7 一転して和解

上記の告知書を見たと思われる入居者から当事務所宛に連絡がありました。住んでいる気配はなかったのですが、住んでいたんですね…。
とはいえ、ここまで手続が進んでしまっているのでここで強制執行の申立てを取り下げるという選択肢は通常はとらないのですが、

入居者が近い将来、生活保護を受ける予定であり、確実に家賃が支払ってもらえる(役所から直接大家さんに家賃相当額が送金される。)

大家さんとしてもその家をすぐに使う予定はなく、室内のゴミの処分にも100万円単位の費用がかかると思われるところ、時間をかけて本人に処分してもらえればゴミの処分費用が抑えられる。

入居者としても住み慣れた家から転居する必要がない。

今後家賃を滞納することは考えられないので賃料未払いで退去を迫られることはない。

という双方にメリットがあったので、無事和解にて解決となりました。

 

 

当事務所の費用について、最終的に明渡しはされておりませんので明渡しに関する成功報酬は発生していませんが、強制執行の申立てまでの手続は進んでおりますので、それらの手続に関する費用は発生してしまっております。当初から連絡をもらえれば、時間も費用もかけずに解決できたので、もっと早く連絡をしてほしいというのはありますが、なにはともあれ解決できて良かったです。

 

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1月 04 2022

建物明渡の実例(断行まで進むも不在で終了)

先年末に建物明け渡しが完了しましたので、大まかな流れをまとめたいと思います。従前同様、手続上重要ではないところについては事件の特定を避けるため一定程度フィクションが入っております。

 

1 事案

ご相談いただいたのは、家族で暮らすような2LDKのアパートで数年に渡って家賃を滞納されておりました。当初は滞納されるたびに保証人である親族に連絡すると払ってくれていたのですが、ついに親族からこれ以上は援助できないとのことでしたので、解除に向けて動くこととなりました。

これまでに入居者自身が家賃を支払うことはほとんどなく、相手の方の勤務先も「夜の商売」ということくらいしか情報が無かったため、家賃の回収は保証人からできる限りの額を、入居者についてはどのような理由があったとしても早期の明渡しを進めるということでご依頼いただきました。

 

2 入居者及び保証人への通知

家賃を滞納していてもすぐに明け渡しを求めることはできず,明け渡し請求の前提として、まずは未払い賃料を請求し、それでも賃料の支払いが無いとなって初めて賃貸借契約を解除ができ、明渡しを求めることができます。

これは、賃貸借契約の解除は賃借人の生活の本拠を奪うことになるため、簡単には解除はできないようになっています。

ただ、すでに数年分の滞納があり、保証人も支払うつもりは無いとの回答がありましたので、通知を送っても支払われることは無いと思っていました。

解除の基準の詳細についてはこちらをご覧ください。 → 賃料未払いの場合の解除の基準

 

また,解除の通知は相手方に届く必要があり,訴訟手続においても届いたことを立証する必要がありますので,通常は内容証明郵便(配達証明付)で送付しますが,これに加えて特定記録でも同内容の書面を送付します。これは,相手方が日中常に留守にしているとのことでしたので内容証明郵便を受け取らないということも十分考えられることから,内容証明ほどの証明力は無いものの,とりあえずいつ相手の住所に配達された(受取ではなくあくまで配達)ことは証明できるからです。

ただ、今回の事案では内容証明郵便が届きましたので、この点は特に問題ありませんでした。

 

 

3 訴訟提起~判決

相手方に内容証明郵便が届きましたが、予想通り支払いはありませんでしたので、入居者及び保証人を相手方として訴訟を提起しました。

この点、保証人には裁判所からの書類が届いたのですが、入居者が受け取らなかったため裁判所からの指示を受けて現地調査を行いました。その結果、入居者が居住していることが分かりましたのでその旨を裁判所に報告し、「書留郵便に付する送達(付郵便送達)」にて手続を進めました。

送達についてはこちらをご覧ください。→ 想いよ届け!【書類の送達】

 

裁判の期日において、保証人は出廷したため保証人と未払い賃料の支払いについて和解が成立し、入居者は出廷しませんでしたのでこちらの言い分をすべて認めたこととなり勝訴判決となりました。

 

4 再度の通知

強制執行となると、強制執行に関する裁判所や当事務所の費用に加えて、荷物の搬出費用や保管費用、鍵の開錠費用などたくさんの費用がかかるため、判決に基づき任意の明け渡しを求める通知書を送付し,回答を待ちましたが連絡はありませんでした。

 

5 明渡し及び動産執行の申立て

まったく連絡が取れず任意の明け渡しが期待できないことから、明渡し及び室内の動産を差し押さえる動産執行の申立てをしました。なお、訴訟手続と異なり、強制執行に関しては司法書士は書類の作成はできるものの代理人にはなれないため、強制執行の際には大家さんもしくは関係者に立ち会っていただく必要があります。今回は、大家さんの親族の方に立ち会っていただきました。

 

6 明渡催告

 

強制執行になってもいきなり退去を迫るわけでは無く、1か月弱の猶予を与えて退去を求める「明渡催告」をまずは行います。

今回、明渡催告に行ったところ、入居者が在宅であり、久しぶりに話ができました。入居者としては話し合いをしたいとの希望でしたが、これまでに何度も裏切られてきているので少なくとも今後も居住し続けるという点について拒否し、もし早期かつ任意に退去してもらえるのであれば未払い賃料等については柔軟に対応する旨を伝えました。

 

7 断行及び動産執行

明け渡し催告から1か月弱の日を断行日と指定され,その前日までに明け渡すよう催告がされていましたが,任意の明け渡しはされませんでした。といいますか、まったく連絡が取れない状況が続きました。従前の話だと、入居者も断行日には室内にいるとのことでしたが、時間になっても応答は無く、開錠業者さんに鍵を開けてもらって室内に入ってみると、大量のごみ以外の家具等(タンス、テレビ、冷蔵庫、洗濯機等)についてはすべて搬出済みでした。

したがって、断行という強制的な手続で終わることになったものの、実際には不在でしたので特に揉めることなく明渡しは完了となりました。

 

8 トータルの費用

今回、当事務所の費用及び裁判所に支払う費用等の実費を合計すると、明渡しに関する費用としては50万円程度となりました。ただし、今回は未払い賃料の回収ができておりますので、その分の成功報酬がかかる代わりに、そこから費用をいただいておりますので大家さんから直接費用はいただきませんでした。

ただ、それよりも大変なのが原状回復費用になると思います。原状回復費用は強制執行にかかわらず、すべての賃貸借契約において関係する話ですが、強制執行で退去せざるを得ない人がきれいに室内を保っているはずもなく、それでいて原状回復費用を支払ってくれることは考えられませんので、室内の状況次第では原状回復費用の負担が大きいケースもあると思います。

 

以上、明渡の実例でした。

 

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12月 28 2021

年末年始の業務について

本日をもって今年の業務がすべて終了となります。今年もご依頼いただきましてありがとうございました。

 

 

年末年始の業務時間は下記のとおりとなり、12月29日以降にご連絡いただきましたメールについては、1月4日以降に順次返信させていただきます

 

 

令和3年12月28日(火)18時まで 通常営業

 

令和3年12月29日(水)~令和4年1月3日(月) 冬期休業

 

令和4年1月4日(火)9時から 通常営業

 

以上、よろしくお願いいたします。 


10月 22 2021

SNSの情報から給与を差し押さえて全額回収

個人間の債権回収において、相手方と話し合いがまとまり、一括または分割にて回収できるのであればこれに越したことはありません。

訴訟等の法的手続を行う必要がありませんのでその分の費用が節約できますし、手続上は、和解書や合意書等を作成いたしますので平和的に完了することも多いです。

 

しかし、話し合いがまとまらない場合は訴訟等の法的手続を行わなければならず、そのような場合は判決後に強制執行まで進むことが多いです。

強制執行の方法としては、預貯金の差押え、不動産競売などたくさんの方法がありますが、一番多く回収できるのは給与の差押えです。給与の場合は、一度に手取り金額の25%しか回収できませんが、相手方が退職しない限りは毎月定期的に回収できるので、時間はかかるものの最終的には全額回収できることも多いです。

今回、給与差押えを複数回行ったもののSNSの情報により全額回収できたので、この点についてまとめたいと思います。

なお、事件の特定を防ぐ趣旨で、一定程度フィクションが入っておりますことをご了承ください。

 

 

1 前提事情

同棲していた男女間のトラブルであり、交際が終わる際に貸金の返済を求めたものの返済されないまま連絡が取れなくなったというご相談でした。

同棲していたくらいですので、相手方の住所や氏名などは確実に分かっていますし、借用書も作成していたので、法的に請求できることは間違いありませんが、相手方が派遣社員だったため給与の差押えをしても実際に回収できるか微妙な事案でした。

 

2 訴訟提起

相手方に対して書面を送りコンタクトを試みたもののまったくリアクションがありませんでしたので、訴訟を提起しました。相手方から一括では無理なので分割で支払いたいとの趣旨の回答がありましたが内容的に難しいため判決となりました。

 

3 差押え

派遣先及び派遣元の会社の情報は依頼者がご存知でしたので、派遣元の会社に対して給与差押えの申立てを行いました。無事、差押えは成功し、毎月の給与から少しずつ返済されました。ただ、派遣社員ということもあり、毎月の回収額はそれほど多くなく、全額回収までには数年かかるような状況でした。

 

4 退職

相手方は派遣先の会社に住み込みで働いていたのですが、その派遣先及び派遣元との契約も解除してしまい、当然ながら給与が支払われなくなりました。

定期的に住民票の調査も行いましたが、判決時の住所から変更はなく、勤務先どころか住んでいるところもまったく分からなくなりました。

 

5 SNSでの発見、そして全額回収

上記から約2年後、とある会社の広報として実名でインスタグラムにて会社の情報を発信しているのが発見されました。相手方の写真も載っており、ほぼ相手方に間違いないと思われる状況であり、いろいろと調べてみると派遣という形態はとっていないようでしたので、雇用形態は別としても当該会社に直接雇用されていることが分かりました。

そこで、当該会社の給与差押えの申立てをしたところ、無事成功しました。差し押さえた当初はアルバイトだったようですが、差押え後もしっかり仕事をこなされていたようで、その後に正社員に登用さえ毎月の支払額も多くなりました。

それから約1年後に無事全額回収となりました。

 

 

上記のとおり、給与差押えの場合は退職しない限り定期的に回収できるため、回収可能性が高い手続です。ただ、いったん退職されてしまうと次の職場を発見するのが難しいのですが、今回は偶然見つけることができてラッキーな事案でした。

また、給与の差押えを契機として退職させられてしまうこともあるのですが、上記のとおり退職どころか正社員に登用されていたので、相手方の人生を壊してしまうこともなく、こちらとしても安心できました。

 

 

以上、SNSの情報から全額回収できた事案でした。

 

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9月 18 2021

未払い賃料を保証人から全額回収。でも今後は注意。

賃貸借契約を締結される際、最近だと家賃保証会社との契約が必須になっているところもあり、そのような場合には個人の保証人は無しで契約できるとことも多いかと思います。

一方で、昔ながらのところだと親族や知人を保証人にしてもらい、賃貸借契約を締結することもまだまだ多く存在すると思います。

 

先日、賃借人本人が支払わらず、数年分の未払い賃料の支払いを求めて賃借人本人及び保証人も合わせて訴えを提起し、最終的には保証人から数年分の未払い賃料全額を回収することができました。

従前であれば特筆すべきことは特に無いのですが、法律改正によって変わった部分もありますので、この点についてまとめたいと思います。

 

 

1 従前の契約は青天井

上記のとおり賃貸借契約を締結する際に保証人をつけてもらった場合、賃借人本人が賃料を支払わない場合は、保証人に対して全額請求することができます。また、賃料に限らず、明渡しの際の原状回復費用なども請求することができますし、賃貸借契約の中で特別な定めがない限り、金額も関係なく全額請求することができました。

また、通常は賃貸借契約は短いと1年程度、長くても4年程度になっていることが多いと思いますが、ほとんどのケースで契約期間満了後も自動的に更新するような内容になっていると思います。その場合も、特に保証人と改めて契約をしなくても、引き続き請求できるような内容になっております。

 

2 民法改正

昨年(令和2年)4月1日に民法の一部が改正され、保証人に関することについて大きく変更されました。

大きな枠組みとしては、こちらにまとめております。

→ 令和2年4月1日の民法改正について

 

また、賃貸借契約の保証に関する部分については、こちらにまとめております。

→ 賃貸借契約における保証人に関する改正

 

端的にまとめると、

根保証契約に関する保証人が保証すべき金額の上限(極度額)を定めなければならず、その定めがない場合は保証自体が無効になってしまう。

極度額を定めた場合は、極度額を超える金額は保証されない

賃借人や保証人が死亡した場合には、その時点で保証契約が終了し、その後の賃料等は保証されない。

賃貸借契約が自動的に更新される場合は、従前の保証契約は有効ですが、合意による更新(更新に当たって再度書類を作成する場合等)については、改正後の民法が適用される。

となります。

 

このうち、一番重要なのは①であり、定めが無ければ保証人自体が不存在となってしまいますので、かなり大きな問題になってしまいます。

また、④については現在契約中のすべての契約に関わってくる話ですので、すぐに問題にはならないかと思いますが、自動更新ではない場合は改正後の民法が適用されますので、更新の際に極度額を設定しなければなりません。

 

最初に記載した保証人から回収した事案については、令和2年4月以降に更新されているものの更新に当たって特に書面を交わしておらず自動更新だったため、保証人に対して数年分の未払い賃料を請求することができました

このように、更新によって保証人に対して請求できなくなる可能性もありますので、この点は十分確認をしていただき、お取引のある管理会社や仲介会社にご確認いただいた方が良いと思います。

 

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8月 06 2021

相手が偽名だったケースで全額回収

先日、相手が偽名を使っていた事件について、無事全額回収できました。

もちろん、すべての事件で回収できるというものではありませんが、このような回収もあるということでまとめたいと思います。

ただし、実際の事件の特定を防ぐために、下記の内容にはフィクションが入っております。

 

 

1 前提

ネットで知り合った女性(A子さん)に、病院の治療費や両親の葬儀費用、生活費などの名目でお金を貸していました。ただ、A子さんは過去に債務整理を行っていて銀行預金が持てなくなっていることから、姉であるB子さんの名義の口座に送金してほしいとのことで、依頼者はB子さん名義の口座に送金していました。

また、A子さんの自宅の住所を聞いており、亡くなった両親名義の自宅になっているとのことでした。

その後、返済期日になっても返済されないため、話し合いのために会う約束をしても、子どもの病気だったり、急な仕事だったりで、直前にドタキャンされてばかりで、返済期日経過後には一度もA子さんと会えていませんでした。

 

2 当方で執った手続

(1)A子さんの住所の調査

A子さんのお名前と住所で住民票の調査を行いましたが、存在しませんでした。そこで、B子さんのお名前で住所の調査をしたところ、住民票を取得することができました

 

(2)自宅への訪問

B子さんの住所は確定しましたので、B子さんの自宅を訪ねてみました。すると、B子さんは不在だったものの年配の方が対応され、B子さんは外出していてすぐには戻ってこない旨の回答がありましたので、少なくともB子さんがここに住んでいることは分かりました。また、対応された方はB子さんの母親でした。

さらに、A子さんについても質問してみましたが、そのような人は知らないとの回答でした。

とりあえずは事情を知っているであろうB子さんと話をしてみないと始まらないので、私の名刺をB子さんの母親に渡し、できればご連絡をいただきたい旨をお伝えいただくこととなりました。

そもそも「債務整理を行っているため銀行口座を持てない」との言い訳があったようですが、実際にはそのようなことはなく債務整理をしていても口座の開設は可能ですし、「亡くなった両親名義の自宅に住んでいる」とのことでしたが、実際にはB子さんの母親が対応されていましたので、A子さんはかなりの嘘をついており、A子さんの姉とされているB子さんが実はA子さん本人ではないか、つまり「A子」というのはB子さんの偽名でないか、との疑いが強くなりました。

 

(3)B子さんからの連絡

その後、B子さんから当事務所に対して、連絡がありました。当方としては直球で「A子さんというのはB子さんあなたではありませんか?」と確認したところ、意外にもその事実をすんなり認めました。

 

(4)分割弁済の和解

全額一括での返済は難しいとのことで、分割弁済の和解をすることとなりました。また、A子さんなのかB子さんなのかも確定しておかなければなりませんので、直接お会いして免許証などを確認し、さらに家族構成や勤務先等を聞いたうえで和解書にご署名等をいただくこととなり、実際に確認したうえで和解しました。

 

(5)和解の不履行及び法的手続

残念ながら一度も和解に基づく返済をしていただくことができず、訴訟を行いましたが一切対応されることなく勝訴となりました。

その後、勤務先の情報を得ていたため、給与を差し押さえるための強制執行の申立書を当方で作成して提出したところ、無事給与の差押えができました。

給与の差押えは、いわゆる手取り給与の25%しか回収できませんので、満額回収するのに3年近くかかりましたが、先日無事全額を回収することができました。

 

今回は、「A子」という名前は偽名であったものの、実際の住所は本当であったことや、姉の名前と言っていた「B子」が実際はA子さんの本名だったため人物の特定ができましたが、虚偽の住所や名前だった場合には回収は難しかったと思います。

 

以上、相手方が偽名だった場合の事案でした。

 

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6月 03 2021

勤務先の同僚への請求

「以前同僚だった人にお金を貸したが、約束の日には返してもらえず、相手方が転勤になってからは連絡も取れない」というご相談から始まりました。

 

ご相談いただく内容の中に、同僚への貸金というのは結構あるものの、「会社に迷惑を掛けたくない」、「大事にしたくない」等の理由で実際に手続をされないケースもあり、また、同僚であるがゆえに借用書などの証拠がないケースも多いです。

さらに、それほど多額の貸金ではないことも多く、費用倒れとまではいかないものの法的手続きを行うとあまりメリットがないケースもあります。

 

上記のご相談に関しては、同じ会社ではあるもののすでに転勤しているため職場では会うことが無いため人間関係的にはまったく問題ありませんでした。加えて、借用書を取っており、最大の良かった点としてはともに大きな会社にお勤めだったため任意での回収ができなくても、最終的には給与を差押えて回収できる見込みが高いものでした。

ただ、貸金の額があまり大きくなかったため、費用対効果が低い旨の説明をさせていただきましたが、「お金ではなく、逃げたことが許せない。最悪赤字になっても構わない。」ということでしたので、最終的には強制執行まで行うことを前提に手続を開始いたしました。

 

こちらについては、次のような流れで解決しております。なお、事件の特定を防ぐため、一定程度のフィクションが入っています。

 

 

1 住所の調査及び督促の通知

これは全件に共通することですが、通知書を送付する前に住所の確認を行い、その住所宛に督促に関する通知書を発送します。その通知書の中には、「〇月〇日までに支払いがない場合は法的手続きを執る」旨の記載がされており、それまでに連絡が来るケースもたくさんあります。

ただ、本件に関しては期限までに連絡がなく、相手方が遠方だったため訴訟を提起しました。

 

2 訴訟及び判決

証拠書類として借用書がありましたので反論されても十分勝訴できる内容でしたが、相手方は裁判所の呼び出しもすべて無視しており、すぐに勝訴判決が出ました。

 

3 強制執行の申立て

上記判決には仮執行宣言が付されていたため、判決の確定を待つことなく給与を差し押さえる旨の強制執行の申立てを行いました。

 

4 競合

給与の差押えをしたのが、1人であれば手取り給与の25%を毎月支払ってもらうことができます。

しかし、2人以上が差し押さえた場合、債権額に応じて配当を受けることになります。この複数名が差し押さえている状況を「競合」と言います。

今回の相手方は自動車ローンなども滞納していたようで、差押えが競合してしまいました。これにより、数か月に一度の割合で配当を受けることになります。

 

5 全額の回収

実は、上記の手続開始は平成時代に始まったものでしたが、何度かの配当を経て最終的には回収することができました。

 

当初のスタートは「お金ではなく、逃げたことが許せない。最悪赤字になっても構わない。」ということで、費用対効果は度外視で手続を進めさせていただきましたが、当事務所の報酬等をいただいても、貸金の半分程度はお手元に返ってきています。逆に言えば、手続をしても半分しか返ってきていないということですので、果たしてこれで良かったのかは分かりませんが、何はともあれ赤字になることなく手続が終えられて良かったです。

 

今回のポイントは、

①同僚とは言え、転勤により人間関係を気にする必要が無かった。

②借用書があった。

③大手企業にお勤めだったため、強制執行での回収可能性が高かった。

の3点にあると思います。もちろん、これらの条件を満たしていなくても回収できないことはありませんが、特に②と③は他のご依頼においても重要です。

 

以上、勤務先の同僚への貸金請求についてでした。

 

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5月 27 2021

駐車場代の滞納で不動産を失う…

先日、駐車場の滞納による、賃料の回収及び明渡し手続が完了いたしました。

約1年に渡る手続きとなりましたが満額以上の回収ができ、最高の結果になったと思います。すべてのご依頼がこのように上手く行くわけではありませんが、こういうケースもあるということで記載してみたいと思います。ただし、事件の特定を防ぐため、フィクションも入っています。

 

 

1 未払い賃料の請求及び明渡の催告

 

賃貸借契約に限った手続ではありませんが、賃料未払いを理由として賃貸借契約を解除するためには、未払い賃料の請求及び支払いがない場合は契約を解除する旨の催告をする必要があります(民法541条)。

さらに、賃貸借契約における特殊事情として、一般的には1か月分の延滞では解除はできず、最低でも3か月以上は滞納していないと解除は難しいとされています。

詳細はこちら → 賃料未払いの場合の解除の基準

 

今回は、3か月どころか年単位で延滞していたため、この点はまったく問題ありませんでした。

 

2 訴訟提起及び判決

催告をしたものの反応は無かったため訴訟を提起しました。さらに、相手方は裁判所の呼び出しに応じることは無く裁判を欠席したためすぐに勝訴判決が出ました。

なお、賃貸借契約書に、「契約解除後の賃料相当損害金は通常の賃料の2倍になる」旨の規定があり、こちらも認められました。つまり、賃料が仮に5万円だった場合に、契約解除後も明け渡しをしない場合は毎月10万円を請求できることになります。

 

3 明渡しの強制執行

住居の明渡しに関する強制執行は、生活の本拠を強制的に奪うことになるため慎重に進められるのですが、今回は駐車場の明渡しであったため初回の期日で明渡しが完了しました(ただし、一定期間に限り自動車を取りに来た場合は引き渡せるよう保管をしました。)。

駐車してあった自動車は数年前に車検が切れており、執行官からは無価値と判断されたため、保管期間経過後はこちらで処分して良いこととなりました。

自動車の処分については無料で引き取ってくれる業者さんがいるため、こちらについては費用を気にする必要はあまりなく、裁判所に納める強制執行の費用の数万円だけで済むこととなります。

 

4 執行費用額確定処分

あまり大きな金額ではありませんが、それでも数万円の費用がかかるため、自動車の明渡しに関する費用を確定するための手続を行います。これをしておくと、相手方の財産を差し押さえたときに、明渡しの強制執行に関する費用も回収することができます

 

5 不動産競売の申立て

実は訴訟を行っている時点で、相手方には相続で取得した不動産があることを突き止めていました。また、税金の滞納による差し押さえが入っており、すぐには売却されないであろうこともわかっていました。

これを受けて、知り合いの任意売却等を行う不動産業者に相談したところ、税金の滞納分を差し引いても全額回収できる可能性が極めて高いということで不動産競売の申立てを行いました。

不動産競売は、申し立てをする時点で70万円以上の費用を立て替える必要がありますし、申し立てをしてから回収できるまでに半年以上の時間がかかってしまいますが、資産価値さえあればかなり高い確率で回収できるため、不動産を見つけたときはすぐに依頼者に連絡しました。また、すべてではないものの70万円以上の費用も大部分は回収できますので、実質的な費用負担はそれほど大きくありません。

 

6 開札直前での任意売却

不動産競売の手続が着々と進んでおり、すでに入札も始まっていました。あと数日で開札というタイミングで、とある不動産業者が買い取り、全額を支払うので差し押さえを取り下げてほしいとの連絡がありました。これを受けて、上記のとおりの裁判所に納めた費用、明渡しの強制執行の費用、滞納していた賃料、さらには解除から明渡しまでの2倍の賃料相当損害金に至るまで完全に回収し、競売は取り下げました

 

 

当初は、未払いの賃料の回収はかなり難しいということで手続が始まっており、数十万円の赤字になることを想定してスタートしたのですが、賃料どころか賃料相当損害金まで回収できたことによって、当事務所の費用を控除しても80万円以上のお金が手元に入りましたので手続としては大成功だったと思います。

ところで、駐車場の賃料となると通常のアパートやマンションと比べるとそれほど大きな金額ではありませんので、滞納が年単位になったとしても100万円単位にはなりません。そんな金額なのに、相手方はなぜ不動産を失うまで放置していたのか今でも謎のままです。

 

最後に、訴訟手続や相手方との交渉は司法書士の代理権の範囲内ですが、明渡しの強制執行や不動産競売の申立てについては書類作成のみでの関与となります。このうち、明渡しについては私は代理人ではありませんので、賃貸人(依頼者)の方に立ち会っていただく必要がありますが、不動産競売は申立てをしてしまえばあとは裁判所が手続を進めてくれるので書類作成だけでも特段不都合はありません。

 

以上、未払い賃料の回収についてでした。

 

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3月 17 2021

総額表示について

消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」という長い長い法律の規定により、特例により令和3年3月31日までは消費税込みの総額表示をする必要がありませんでしたが、令和3年4月1日から総額表示が義務付けられることとなりました。  
 

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それに伴い、(税別)と表示していた当事務所の報酬等についてすべて税込み表示に変更いたしました。 

なお、あくまで消費税のみの変更であり、純粋な当事務所の報酬については変更はございません

以上、お知らせでした。


2月 03 2021

専門家への報酬を相手方に請求したい(最高裁判決)

債権回収のご依頼をいただく場合、多くのケースでは相手方の責任において支払いがなされていないため、やむを得ずご依頼いただいております。当初の予定どおり支払いがされるのであれば、わざわざ費用をお支払いいただいてまで弁護士や司法書士にご依頼されることはありませんからね。

もちろん、相手方にも言い分があり、内容によっては相手方の主張の方が法的に正しいということもありますので、必ずしも全件相手方に責任があるというわけではありません。

 

さて、相手方の責任において支払いがされない場合、専門家への報酬の支払いや訴訟になった時に裁判所に納める収入印紙等の実費については本来支出しなくてもよ良かった費用な訳ですから、かかった費用についても相手方に支払ってほしいという要望をいただくことがあります。

この点、お気持ちについては十分理解できるのですが、実際にはほとんど請求ができません。こちらについて簡単にまとめたものがありますので、こちらをご覧いただければと思います。ざっくり申し上げると、「裁判所に納める実費等についてのみ請求でき、不法行為の場合に例外がある。」となります。

→ 相手に求めることのできる必要経費

 

先日、弁護士報酬を相手方に請求できるかどうかについて争われた訴訟の最高裁判決がありましたので、今回はこちらをまとめたいと思います。

 

 

1 不法行為に基づく損害賠償請求の場合

 

弁護士や司法書士等との契約は請求する方が自ら選び、当該弁護士等の間で報酬に関する契約をしているため、この費用を相手方に請求することは原則としてできません。

しかし、不法行為(例えば交通事故)によって生じた損害について相手方に損害賠償請求をする場合、弁護士等の報酬の一部を請求することができます

→ 最高裁サイト

→ 判決全文(PDF)

 

その理由としては、「相手方の故意又は過失によつて自己の権利を侵害された者が損害賠償義務者たる相手方から容易にその履行を受け得ないため、自己の権利擁護上、訴を提起することを余儀なくされた場合においては、一般人は弁護士に委任するにあらざれば、十分な訴訟活動をなし得ないのである。そして現在においては、このようなことが通常と認められるからには、訴訟追行を弁護士に委任した場合には、その弁護士費用は、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものに限り、右不法行為と相当因果関係に立つ損害というべきである。」

 

となっており、端的に言えば、自己の権利を守るために訴訟を提起することを余儀なくされた場合、一般的には弁護士等に依頼しなければ十分な訴訟手続を行うことができないから、諸般の事情を考慮して相当と認められる額を相手方に請求することができるということになります。

そして、この金額はほとんどのケースで損害賠償額として認められた金額の1割となっております。

例えば、1億円の損害賠償請求を行い、判決では6000万円が認められ、弁護士報酬として1000万円を支払ったとします。この場合、弁護士報酬分の損害として認定されるのは6000万円の1割である600万円ということになり、差額の400万円については自己負担ということになります。

 

2 債務不履行に基づく損害賠償請求の場合

お金を貸した相手方が返済してくれない、土地の売買契約を締結したものの相手方が払ってくれない、請負契約で工事を行ったものの請負代金を支払ってくれないなど、契約した相手方が約束を守ってくれずに損害が生じる場合があります。

 

つい先日最高裁判決がされたものについては、正確には事案は異なるものの、概ね下記のような内容です。

 

(1)Aさんが、売主であるB社から土地を購入する旨の売買契約を締結した。

(2)契約の条件として、B社がAさんに引き渡す前に、B社の責任において①土地上にある建物は事前に取り壊しておく、②担保権について抹消しておく、③土地の測量を終えておく、などが定められておりました。

(3)契約して数日後にB社の代表者が行方不明になり、土地の引き渡しはもちろんのこと、上記①~③について何もされておりませんでした。

(4)Aさんは、上記問題を解決するため、弁護士に依頼し、すべての問題を解決しましたが1000万円近い報酬を支払いました

(5)Aさんは、B社の不履行によって弁護士に頼しなければならなくなり、約1000万円もの支出をしなければならなくなったのであるから、その分は売買代金と相殺する旨を主張しました(弁護士費用の約1000万円はB社が負担すべき)。

 

以上の点について、最高裁は以下のとおり判示しました。

→ 最高裁サイト

→ 判決全文(PDF)

 

契約当事者の一方が他方に対して契約上の債務の履行を求めることは,不法行為に基づく損害賠償を請求するなどの場合とは異なり,侵害された権利利益の回復を
求めるものではなく,契約の目的を実現して履行による利益を得ようとするものである。また,契約を締結しようとする者は,任意の履行がされない場合があることを考慮して,契約の内容を検討したり,契約を締結するかどうかを決定したりすることができる。加えて,土地の売買契約において売主が負う土地の引渡しや所有権移転登記手続をすべき債務は,同契約から一義的に確定するものであって,上記債務の履行を求める請求権は,上記契約の成立という客観的な事実によって基礎付けられるものである。そうすると,土地の売買契約の買主は,上記債務の履行を求めるための訴訟の提起・追行又は保全命令若しくは強制執行の申立てに関する事務を弁護士に委任した場合であっても,売主に対し,これらの事務に係る弁護士報酬を債務不履行に基づく損害賠償として請求することはできないというべきである。

 

端的に言えば、誰が請求の相手方(加害者)となるのか分からない不法行為の場合と異なり、債務不履行に基づく損害賠償請求の場合においては、契約の時点で相手方の状況などを踏まえて、契約の内容等を決めたり、そもそも契約するかどうかの判断をすることができるのであり、また、契約の内容によって相手方がなすべきことは確定しているのであって必ずしも弁護士に依頼しなければならないようなものではないから、弁護士報酬については請求できないということになります。

なかなか厳しいようですが、契約の相手方を見極める責任は契約当事者双方にあるのであるから、契約どおりに支払い等をしてくれなかったとしても、ある程度は自己責任ですよということになってしまいます。だからこそ、金融機関や消費者金融等においては、お金を貸したとしても支払ってくれないと困りますので、審査がありますよね。また、請負契約等においても、会社の状況を調べる調査機関なども存在しており、自己防衛するしかないということになります。

 

3 契約の内容において弁護士費用を相手方が負担することになっていた場合

 

契約をする際に、特約等において「債務不履行があった場合に、当事者の一方が弁護士等に依頼した場合、その費用は相手方が負担する。」というような相手方が弁護士費用を条項が定められている場合があります。

特に、マンションの管理規約において、管理費の滞納に関する請求において弁護士費用は滞納者が負担するような規定が定められていることがあります。

 

実は、この点については確定的な見解がなく、無効となる考え方もあれば有効とする考え方もあります

まず、無効とする考えについては、以下のような点が理由となります。

・必ずしも契約時において対等な立場ではなく(例えば、「金銭消費貸借契約」、「事業者と消費者との契約」等)、一方が無理やりまたは知らないうちに契約している可能性がある。なお、事業者が消費者に対して請求する場合は、消費者契約法によって無効となる可能性が高いと思います。

・弁護士報酬は、請求者と弁護士等との間の契約によって決まるので、損害は1万円しか出ていないのに、弁護士報酬が100万円という損害と弁護士報酬の関係がおかしな状況が出てくる可能性がある。

 

有効とする考えについては、以下のような理由となります。

請求された側の不履行によって請求者が費用を負担したのだから、その分は負担すべき。

・契約時において、不履行の場合の違約金(違約罰)を定めることが認められているのだから、その中に含めれば良い。

 

あくまで私見とはなりますが、ある程度合理的な金額を請求するのであり、請求された側にかなりの落ち度がある場合には有効となり、損害額と比べて弁護士費用があまりにも過大となるような場合には無効と判断されるのではないかと思います。

 

なお、高裁判決とはなりますが、相手方への請求(管理費の滞納をした人への請求)を認めた裁判例があります。

→ 平成26年 4月16日東京高裁判決(PDF)

 

判決理由として、

区分所有者に管理費等の滞納がある場合において、被控訴人が弁護士に法的手続を依頼することが必要になったときは、その費用を他の区分所有者に負担させるのではなく、当該区分所有者に負担させることを予め定めておくことにより、迅速かつ公正な問題解決を図るものである。この趣旨からすれば、被控訴人が委任契約に基づき弁護士に対し支払義務を負う一切の費用を当該区分所有者に負担させるものと解するのが相当であって、弁護士費用の額が著しく合理性を欠くなど特段の事情がない限り、当該区分所有者がその全額の支払義務を負うものというべきである。

としており、弁護士費用を相手方に請求することを認めています。

 

4 まとめ

 

以上から、弁護士報酬等の相手方への請求については以下のとおりです。

①原則として請求できない。

②不法行為に基づく損害賠償請求の場合は、訴訟において認められた損害額の1割程度を請求できる。

③契約において特約がある場合は、認められる場合がある。

 

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