愛知・名古屋・岐阜・三重の方の債権回収・未払い家賃・売掛金・立ち退きに関するご相談ならはなみずき司法書士事務所

お問い合わせ

お気軽にご相談ください。(相談無料)電話番号0561-61-1514 ファックス番号0561-61-1535

トップページ » ブログ

ブログ

2014年10月

10月 27 2014

探偵さんが債権回収詐欺をして逮捕

本日,こんな事件の報道がありました。

探偵業者ら7人逮捕=債権回収うたい、詐欺容疑-警視庁

 

job_tantei

 

 

探偵さんの業務

 

フィクションの世界では,シャーロックホームズや工藤新一など,探偵が大活躍して殺人事件などを解決するということがありますが,現実的には探偵さんが立ちまわって事件を解決することはありませんし,逆に首を突っ込みすぎると探偵さん自身が犯罪者になってしまうこともあります。

 

探偵さんができる業務ですが,探偵業法では,

 

「他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務」

 

と定義されています。

端的に言えば,とある特定の人について調べたり,尾行したり,聞き込みをして集めた情報を依頼者に報告する業務ということです。なので,一般的には浮気調査や特定人の行方を追う(人探し)業務が多いのではないかと思います。

 

探偵に資格は無い

 

探偵業を営むためには公安委員会に届出が必要ですが,「探偵」という資格はありませんので,届出さえすれば翌日から探偵になることができます。

逆に言えば,それだけしか担保されていないので,弁護士や司法書士などに与えられるような特権はありません。

具体的には,他人の住民票や戸籍謄本を職権で取得することはできませんし,誰かの代理人となって交渉をすることもできません

 

今回の事件では

 

詳細な事実が書かれていないため,事実とは異なる可能性もありますが,記事によれば債権回収をするつもりもないのに,債権回収をすると騙して報酬を得たことが詐欺罪に該当するとのことのようです。

確かに,騙して金品を交付させたのであれば詐欺だと思います。

ところが,記事にもあるとおり,本当に債権回収をしてきたとしても,実はこれはこれで犯罪になってしまいます。

というのは,弁護士以外の者が他人の代理人となって債権回収等の業務を行うことは弁護士法で禁止されているからです(ただし,法務大臣の認定を受けた司法書士は140万円以下の債権回収業務を行うことは,弁護士法の例外として適法です。)。

なので,探偵業者さんが「債権回収」を謳っている時点で,どう転んでも犯罪になってしまいます。また,上記のとおり,職権で住民票等を取得することもできないことから,業務としてもスムーズに進みませんので,債権回収を探偵さんに依頼するメリットはまずないと思います。もし,訴訟や強制執行といった法的にまっとうな方法では回収できないような債権を回収してくれるようであればメリットと言えなくもありませんが,結局は債権回収行為自体が犯罪ですので,これをメリットとは言ってはいけないと思います。やはり,メリットは無いですね。

 

ちなみに,実際には回収していないのに,すでに被害者の方は96万円支払っているとのことです。今でもよく使われている弁護士さんの旧報酬規程で計算すると,債権回収の着手金で96万円も支払うとなると,約1700万円もの債権回収となります。いくらの債権回収なのかわかりませんが,正規で弁護士さんに依頼された方が安いんではないかという気がします。

 

探偵さんにお願いするとしたら

 

債権回収行為そのものは探偵さんには依頼できないのですが,弁護士等ではどうしようもない部分について,探偵さんにお願いすることはたくさんあると思います。

例えば,現実的な所在調査です。

上記のとおり,弁護士等は相手の方の住民票や戸籍謄本を取得することは可能ですが,あくまで書面上のことであって,住民票がある場所に住んでいないことは多々あります。また,転居をしてしまうと,元の役所には5年間しかデータが残されていないため,職権でも住民票を取得することはできません。このような場合に,現実的に相手がどこにいるのかを見つけてきてもらうというようなケースで探偵さんに活躍していただくことになります。

他には,給与の差し押さえをするために,相手がどこで働いているか尾行してきてもらうなんていうのも探偵さんの業務だと思います。

 

結局は,餅は餅屋ですので,それぞれの得意分野で活躍していければ良いですね。

 

【司法書士の債権回収最前線】目次はこちら


10月 07 2014

債権回収に関するよくあるご質問

債権回収(特に個人間の金銭トラブル)に関するご相談をお受けする中で,同じような趣旨のご質問をいただくことが多くありますので,ここでまとめておきたいと思います。

 

saiban_small

 

慰謝料を請求したい

 

金銭の貸し借りについて約束の期日までに返済されないと精神的にはかなりのストレスとなり,当事務所のような司法書士や弁護士に相談したり,ネットでいろいろ検索したりと面倒だったりします。

この点について,損害賠償請求だったり慰謝料だったりを請求したいとお考えになることは良くわかります。

しかし,残念ですが基本的にはこのような請求はできません

この点,民法419条に,金銭の支払いを求めるような権利を持っている場合,その不履行(支払いの延滞)に関する損害賠償は法定利率によって定めるものとされており,さらに,民法404条で法定利率は5%されております。ただし,当事者の間で5%を超える利率を定めていた場合にはその利率ができようされます(ただし,上限は20%)。

ということで,不履行(支払いの延滞)によって何らかの損害を受けたとしても,原則として法定利率部分の遅延損害金を余分にもらえるだけとなっています。

 

弁護士や司法書士に支払う報酬分も相手に請求したい

 

相手がちゃんと支払いをしていれば弁護士や司法書士に依頼することは無かったわけですから,その分も請求したいというお気持ちはよくわかります。

しかし,残念ですがこの分も原則として請求できません。

訴訟手続は基本的にご自身で進められるようになっており,必ずしも弁護士や司法書士に依頼しなくても良いので,ご自身が弁護士等を選任した以上,その報酬も選任した方に支払い義務があります。

なお,訴訟を行った場合には当然裁判所に出廷しますし,訴状に貼付する収入印紙等の実費については,勝訴した場合に限り,相手に請求することができます

この点は過去に詳しく書いておりますので,こちらをご覧ください。

相手に求めることのできる必要経費

 

お金を渡したというメール,相手に振り込んだ明細があるから大丈夫?

 

知人間のお金の貸し借りの場合,普通は借用書などは作成していないことが多いと思います。

この点,借用書がなければ相手に請求できないと思われている方もいらっしゃいますが,全然そんなことは無くて,メールだったり,最近だとLINEのやり取りでも証拠になります。また,相手に振り込んだという明細も十分証拠になります。

ただし,これで十分かというとそうではない場合も多々あります。

 

基本的に,お金を返してもらうためには,当たり前ですが,「お金を貸した」という前提が無ければなりません。

この点,相手がお金を借りたこと自体には反論が無くて,単に遅れているというだけであれば問題ないのですが,相手がお金を借りたこと自体を争っている場合は,こちらから証拠を出して「お金を貸した」ということを立証しなければなりません。

さらに,「お金を貸した」を分解すると,

お金を渡した

渡したお金について返す約束をした

利息を請求するのであれば利息についての合意

を立証しなければならないことになります。

 

例えば,相手からのメールで,「5万円助けてくれてありがとう。本当に感謝するよ。」というメールが相手から届いているとします。そうすると,上記①に「お金を渡した」という点についてはこのメールで立証できることになります。振り込みの明細でも同様です。

しかし,お金を返してもらうためには,これだけではなく返す約束がなければなりません。なぜかというと,お金を渡しただけであれば贈与ということもあるからです(贈与であれば返還請求はできません。)。したがって,上記メールや振込の明細しかないのであれば②について別の方法で立証しなければなりません。

例えば,「5万円について,来週が返済の約束の日だけど大丈夫かな?」とメールし,その返信として「ごめん。来週は無理そうだけど月末であれば給料が入るから返せると思うよ。」なんていうメールが届いていれば,②について立証できることになります。

この点,「5万円についていつ返済するんだ」というメールを送ったところ,「とりあえず話し合いたい」という返信が来た場合に,これは相手が借りたことを認めているメールになるのではないか,とご質問をお受けしたことがあります。正直なところ,前後の文脈などによって異なるため絶対というわけではありませんが,この内容だけであれば立証できたとは言えないと思いますので,更なる証拠が必要だと思います。

ということで,メールのやり取りをされる場合は,相手の方が借りたことを認める内容だったり,認めたことを前提とした回答をさせるなどの工夫が必要だと思います。

 

裁判に勝訴すればお金は返ってくるんですよね?

 

金銭の支払いを求めた裁判の勝訴判決は,「相手の金銭の支払いを命令するけど,もし命令に従わない場合は相手の財産を強制的に差し押さえて回収しても良いよ。」というものです。

ですので,相手が判決に従って支払いをせず,相手に差し押さえるような財産が無い場合は残念ですが回収することはできません。ただし,今はお金が無くても相手の方がどこかで勤務しているということであれば給料を差し押さえることで,毎月少しずつですが回収できる場合もあります。

あくまで,私の感覚ですが,裁判になるとより態度が強行になり,任意には支払ってもらえないケースが多いと思います。現実的な回収を最優先される場合は裁判よりも話し合いだと思います。

 

相手が住んでいる場所を探してもらえるんですよね?

 

弁護士や司法書士は,業務としてご依頼を受けた場合は訴訟の相手方の住民票などを相手の方の同意なしに取ることができます

ただ,役所に調査を依頼するわけではなく,こちらで住んでいると思われる住所を特定して住民票の請求をしなければなりません。もし,今の住所がわからなくても,以前の住所が分かっていたり,住所はわからなくても本籍地などが分かれば現住所まで調査することができる場合もあります。

しかし,何の情報も無い場合は,弁護士や司法書士でも探し出すことはできません。この点,かなり誤解されている方が多く,弁護士等に依頼すれば自動的に相手の所在がわかると思われているようですが,全然そんなことはありません。さらに,弁護士等が調査できるのは,あくまで書面上,つまり住民票上の住所であって,本当に住民票がある場所に相手が住んでいるのかどうかということはわかりません。

このような場合にお願いされるべき職業は探偵さんとなります。もっとも,探偵さんに依頼する費用は結構高いので,そこまで費用をかけてでも手続を進める意味があるのか十分にご検討された方が良いかと思います。

なお,相手の住所がわからなくても裁判を行うことはできますし,その場合は多くのケースで勝訴判決が出ると思います。

公示送達の訴訟

裁判を行う内容が,登記の請求だったり,明け渡しの請求であれば相手が行方不明でも特段問題とはなりませんが,金銭の請求を求める裁判だと,勝訴判決を取っても現実的にはあまり意味が無いかもしれませんので,上記の探偵さん同様に十分ご検討される必要があります。

 

 

まだまだよくあるご質問はありますので,また機を見て更新したいと思います。

 

【司法書士の債権回収最前線】目次はこちら


個人間の金銭トラブル

売掛金の回収

診療報酬

未払い賃料・立ち退き

管理費滞納

保全・強制執行

ブログ。司法書士の債権回収最前線。

名古屋債権回収相談室

〒480-1116
愛知県長久手市杁ヶ池106番地2
1階

はなみずき司法書士事務所

お気軽にご相談ください。(相談無料)電話番号0561-61-1514 ファックス番号0561-61-1535

対応地域

名古屋市、岐阜県、愛知県、三重県

このページのトップへ