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2022年11月

11月 21 2022

不動産以外の担保で保全する(①自動車抵当)

「担保」というと、まず最初に思い浮かぶのは不動産だと思います。一般的に不動産は価値が高いですし、「不動」となっているとおり財産が逃げることが無いので、担保として一番確実性が高いです。

不動産は、法務局にある登記簿にて権利関係が公示されていますので、不動産の登記事項証明書を取得すれば「その不動産が担保に入っているかどうか」、「入っているとしていくらの担保になっているか」等を確認することができます。

 

また、あまり担保というイメージは無いかもしれませんが、保証人を取るという事も多いかと思います(保証人は「人的担保」と呼ばれます。)。ただし、保証人の場合は、保証人自体に資力が無ければ結局回収できませんし、人間である以上逃げてしまう可能性もありますので、確実性という点では不動産には劣ると思います。さらに、保証人の資力は公示されていませんので、保証人が実は多重債務者となっていて回収が困難ということもあり得ます。

 

さて、今回はその中間という訳ではありませんが、先日、自動車を担保に取る自動車抵当の手続を行いましたので、今回はこの点についてまとめてみたいと思います。

 

 

1 自動車抵当とは

 

不動産に対する抵当権は民法に規定がありますが、自動車に対する抵当権の設定は自動車抵当法という特別法によって定められています。

基本的には、不動産に対する抵当権と同様であり、次のような特徴があります。

 

(1)所有者(設定者)が占有したまま使用可能

住宅ローンを組んで家を購入する場合、その家は銀行の住宅ローンの担保に入っていますが銀行が家を占有している訳ではなく、家はそのまま所有者が使うことができます。自動車抵当も同様に、抵当権が設定されても所有者がそのまま使用し続けることが可能です。

 

(2)役所で抵当権の有無を確認することができる

不動産に対する抵当権自体は当事者の合意のみで成立しますが、当該抵当権の存在を第三者に対抗できませんので通常は登記を行います。登記をすることで、第三者に対しても抵当権があること(担保として取っていること)を対抗することができます。同様に、自動車抵当の場合も自動車登録ファイルに抵当権設定の登録をしなければ第三者に対抗できませんので登録を行います。

抵当権が設定されていることは、不動産であれば登記事項証明書を法務局で、自動車であれば登録事項等証明書を運輸支局で、それぞれ取得することで誰でも抵当権の存在を確認することができます。

 

(3)優先弁済を受けることができる

不動産や自動車が競売などで売却される場合、当該売却代金から優先して債権を回収することができます。

抵当権が設定されたまま不動産や自動車を売却することができますが、買主としては抵当権が設定されたままの不動産や自動車を購入したくありませんので、通常はその時点で弁済してもらい、抵当権を抹消することになります。

 

2 不動産に対する抵当権等の違い

 

不動産と動産である自動車では性質が異なりますので、下記のような違いもあります。

 

(1)不動産より回収できない可能性が高い

不動産の場合、建物が火事等で焼失してしまうことがありますが、土地は地震で地面が崩れるなど特段の事情が無い限り、価値がゼロになってしまうということは考えにくいです。

一方、自動車は高速で動く動産ですので、事故等により価値が無くなってしまい、結果として回収が難しくなる場合があります(保険に入っている自動車であれば、保険金から優先的に回収できる「物上代位」が可能です。)。また、盗難等により所在不明になる可能性もあります。

 

(2)そもそも価値が低いことが多い

不動産は安くても数百万円、高ければ億単位になりますので、担保として大きな効果があります。一方、一般的な乗用車の場合は、新車時点ではそれなりの価値があるものの年々価値は下落していきますので、それほど多額の融資を受けるための担保にはなりにくいです。ただし、運送会社等が所有しているトラック等の大型車両は価値が大きいため、担保としての価値は十分あると思います。

 

(3)滅失・廃車の可否

不動産の場合は抵当権が設定されていても滅失登記ができますが、自動車の場合は抵当権が設定されていると廃車手続ができません

 

3 手続について

 

(1)必要書類

申請書等を除けば、不動産における抵当権設定登記とほとんど同じです。自動車の所有者の印鑑証明書、抵当権者の資格証明書(個人であれば住民票)が必要となります。

異なる部分としては、不動産の抵当権設定登記だと抵当権設定契約書は必要となるものの被担保債権に関する書類は不要です(例えば、金銭消費貸借契約書)が、自動車抵当の場合は抵当権設定契約書が必要になることは当然のこと、被担保債権に関する書類も必要となります。

 

(2)登録免許税

不動産の場合は債権額の0.4%を登録免許税として納める必要がありますが、自動車の場合は0.3%と少しだけ低くなっています。ただし、3万円を超える場合は収入印紙での納付ができませんので注意が必要です。

 

(3)完了までの時間

不動産の場合は、各法務局の執務状況によって異なりますが、概ね1週間前後で登記は完了します。一方、自動車の場合は、数十分から1時間程度で即日完了します。

 

(4)報酬

各専門家によって異なりますし、債権額によっても変わりますので一概に申し上げることができませんが、当事務所の場合は不動産よりも自動車の方が高くなります

というのは、不動産は事務所からオンラインで申請すれば良いだけですので申請に関する手間がそれほどかかりませんが、自動車の場合は運輸支局に出向く必要がある上、完了するまでその場で待つ必要があるため実質的な拘束時間が長くなること、及び上記のとおり必要書類として抵当権設定契約書等が必要になるところ、不動産の場合は通常は金融機関が書類を準備するのに対して、自動車の場合は当方で抵当権設定契約書や被担保債権に関する書類を作成する必要があるためです。

なお、不動産に関する抵当権設定登記は基本的には司法書士の業務であり、自動車に対する抵当権設定登録は行政書士の業務となります(当事務所は両方の資格を有しております。)。

 

4 まとめ

 

ということで、不動産と比べると担保価値としては大きくありませんが、トラックなど比較的高額な自動車について担保として取るという方法は十分選択肢の1つにはなるかと思います。

 

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