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2017年3月

3月 03 2017

訴訟提起後の対応

訴訟を提起したとしても,必ずしもすべてが判決になることはなく,他の結論で終わることがあります。この点,稀に勘違いされていらっしゃる方がおみえですので,まとめておきたいと思います。

 

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和解成立による取下げ

 

いったん訴訟を提起したとしても,判決が出て確定するまでは取り下げることが可能です。

訴訟提起前に話し合いをしていた相手方があまりにも強行で和解ができないような状況だったとしても,訴訟を提起することで一転して和解ができることがあります。また,訴訟提起前にはまったく連絡が取れなかったような方でも訴訟を提起したことによって連絡があり,話し合いができる場合があります。

訴訟外で話し合いができ,和解に関する合意ができるようであれば訴訟を取り下げるということもあります。

ただ,訴訟を取り下げてしまうと,和解に関する合意書を作成したとしても執行力がないため,次に記載の訴訟内による和解を選択することが多いです。

 

訴訟内での和解成立

 

当事者が双方とも出廷した場合,簡易裁判所の場合は司法委員という職員が間に入って和解交渉をすることがあります。ここで話し合いがまとまるようであれば,あとは裁判官の面前で和解をして終了となります。

上記の裁判外での和解でも訴訟内での和解でも結局は話し合いによって合意した内容で返済等がされるため,返済等に滞りがなければどちらでも良いのですが,訴訟内で和解が成立した場合は和解調書という書類が作成され,万が一返済等が滞った場合にはこの和解調書に基づいて強制執行を行うことが可能となっています。したがって,債権者の立場としては訴訟内で和解をした方良いということになります。

なお,和解については当事者双方が出廷することが原則となっておりますが,簡易裁判所においては「和解に代わる決定」という制度があり,事前に当事者同士で和解ができているようであれば,その内容を裁判所に伝えることが,どちらか一方の出廷,または双方の出廷が無くても和解と同様の効果のある書面を作成してもらうことができます(民事訴訟法275条の2)。ちなみに,和解に代わる決定において,どちらか一方の出廷が必要なのか双方とも出廷が不要なのかは裁判官や裁判所によって取り扱いが異なるためよくわかりません。例えば,名古屋簡裁や瀬戸簡裁,春日井簡裁などは当事者どちらかの出廷が必要とされることが多いですが,半田簡裁だと双方とも出廷しなくても良いとされることが多いように思います。この和解に代わる決定も和解調書同様,返済等が滞った場合には強制執行を行うことができます。

 

判決

 

訴訟内で和解が成立せず,また取下げもしないようであれば最終的には判決になります。昨日も裁判所に出廷しましたが,和解に至ることなく判決となってしまいました。

判決の言い渡しがあり,裁判所から判決書が送達されて2週間以内に控訴されなければ,当該判決は確定しすることとなり,勝訴判決である場合は判決に基づいて強制執行を行うことができます。

なお,多くのケースで「仮執行宣言」が付されており,確定しなくてもすぐに強制執行手続を進めることができます。ちなみに,少額訴訟においては請求を認める判決の場合は必ず仮執行宣言が付されることとなっております(民事訴訟法376条)。

もちろん,判決が出ても必ず強制執行をしなければならないものではなく,判決後に改めて話し合いをして分割弁済で和解するということも可能です。実際に,強制執行をしても回収が難しいケースの場合は判決後に和解して分割で返済してもらっているケースもあります。

 

以上から,訴訟を行っても必ず判決になるのではなく,和解で解決することがありますし,仮に判決になったとしてもその後に和解することもありますので,訴訟を行ったとしても強制執行までしなければならないケースはそれほどありません。しかし,中にはどうしても支払わない方もいらっしゃいますので,そうすると財産を探し出し強制執行を進めざるを得ません・・・。

 

 

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