1月 22 2018
夜のお仕事の方からの回収
男女問わず,夜のお仕事の方から金銭の回収をしてほしいというご依頼が多くあります。
夜のお仕事の方は,比較的頻繁に住所や勤務先が変わることがあるためなかなか全額の回収は難しいのですが,今回,元金,利息,遅延損害金,訴訟費用までキッチリ全額の回収ができましたので,まとめておきたいと思います。なお,事件の特定を避けるため多少フィクションが入っています。
事案の概要
夜の店にお勤めの女性に対して,男性が店内で少額の金銭を貸し付けたのが始まりでした。当事者間では何度も貸し借りが繰り返されており,当初は借用書などは無かったものの次第に大きな金額になったため,借用書を作成することを条件に貸し付けるようになりました。また,女性の免許証のコピーをとっており,本名や住所は把握していました。
しかし,女性がお店を辞めてしまい,電話やメール等での連絡がまったく取れなくなったということでご相談がありました。
交渉等の経緯
まずは,相手方の自宅に督促状を発送しました。すると,すぐに連絡があり,「一括では無理であるため分割で支払いたい」とのことでしたので和解書を作成して分割で支払ってもらっていました。
↓ 6か月
半年程度は問題なく支払っていただいていたのですが,少しずつ支払いが遅れるようになり,1年後にはまったく支払いが止まってしまいました。さらに,もともと聞いていた住所から転居されていました。
↓ 3か月
住民票の調査をしたところ,転居先が分かりましたので再度督促状を送りました。その後,連絡があり交渉をしたものの結局支払いがないためやむなく訴訟を提起しました。
↓ 2か月
訴訟の期日に相手方も出廷し,分割で支払う内容で和解が成立しました。裁判上の和解であるため,相手方が支払わなかった場合は強制執行が可能となることから,和解する条件として住所や勤務先等の情報を聞き出しました。なお,和解が成立しているので直接は関係ありませんが,仮に和解ができなかったとしても,すでに和解書を作っていたので勝訴することはほぼ間違いない状況でした。
↓ 約3年
分割にて訴訟費用や利息,年14%遅延損害金も含めて全額回収いたしました。ご依頼を受けて4年以上が経過していました。
もともとの元金は80万円弱でしたが,最終的には110万円近く回収しており,当事務所の報酬や裁判所に納めた実費などを差し引いても元金の9割以上はお返しできました。
上記のとおり夜のお仕事の方は住所や勤務先が頻繁に変わるためなかなか全額の回収が難しいです。今回の相手方は私が把握しているだけでも4回転居し,勤務先も同じく4回は変わっているのですが,律儀にすべてを教えてくれる方でしたので最後まで回収できました。相手方の状況も踏まえてしっかり話をし,信頼関係のようなものが築けたことが大きかったと思います。
また,借用書及び免許証のコピーを取っていたのはかなり大きいです。
お金の貸し借りの部分はメールなどでも立証できることがあるのですが,借用書があればかなり有利となります。さらに,一般的な知人間のお金の貸し借りであればはなかなか無いのですが,夜のお仕事の場合は相手方の住所はもちろんのこと,お名前すら分からないというケースがあります。このような場合でも回収したことはありますが,かなり難易度が上がってしまいますので最低限の情報としてご住所やお名前は聞いておかれた方が良いかと思います。
正直なところ,夜のお仕事の方から全額回収するのは容易ではありませんが,現在進行形で同様のお仕事をされている複数の方から毎月回収していますので,まったくゼロで終わるということも無いかと思います。似たような状況の方がいらっしゃいましたら,ぜひご相談ください。