10月 21 2019
相手方からの質問
貸金請求などで相手方に対して郵便で督促などを行うと,その際に相手方から質問を受けることがあります。
私は依頼者側の立場ですので,当然ながら依頼者の不利益になるようなことは話しませんが,かといって相手方を騙すようなこともしませんので,可能な限り回答できることは回答しています。
「遅延損害金も支払う必要があるか」
督促をしているということはすでに期限を過ぎていますので,遅延損害金に関する約定がなかったとしても,法的には当然に請求することができます。したがって,請求することには何ら問題はないのですが,依頼者によっては「一括であれば離縁損害金は請求しなくても良い」と仰っていただけることがありますので,この点は質問してもらった方が良いかと思います。もっとも,当然には放棄はできませんので,依頼者が納得できるほどの条件が必要になってきます。
「自分も弁護士や司法書士に依頼すれば良いのか」
この点は,私は判断する立場にないためご自身でお考えいただくしかない旨を伝えておりますが,一般論としては弁護士や司法書士を入れていただいた方が交渉がスムーズに進みますので,本音としてはぜひ依頼してほしいと思っています。
なお,訴訟手続を無視し続け,すでに判決が確定した後に同様の質問を受けることがあります。もちろん,依頼されるのはご自身の自由ですのでどのようにされても構わないのですが,判決が確定した後に当該判決をひっくり返すのは特別な事情が無い限り不可能ですので,あまりお勧めしません。
「払わなかったらどうなるのか」
一般論としては,法的手続に進む旨を伝えますが,こちらが想定している具体的な手続(例えば「判決を取って〇〇銀行の預貯金を差し押さえる予定」など)をお伝えすることはありません。
ただ,明渡請求の場合は,はっきりと「このままの状況が続くと,法的手続を執って最終的には強制的に明け渡していただくこととなります。」と伝えます。これにより,自ら退去してもらえる可能性が大きくなるためです。
「時効ではないのか」
それほど多くはありませんが,長期間家賃を滞納されている場合に,一部の家賃について消滅時効が完成していることがありますが,このような場合でも当事務所では全額請求します。というのは消滅時効は,あくまで債務者(賃借人)の時効の援用があって初めて効果が生じますので,消滅時効完成分についても請求することは問題ないからです。当然ながら,相手方から消滅時効の援用がされればその分は請求しませんが,今のところそのような事例に該当したことはありません。
では,いつ聞かれるかというと,貸金の返済を数年放置した後に請求した際に「時効ではないのか」と聞かれることがあります。個人間の貸金は10年間時効にはなりませんので,この質問を受けて実際に時効だったことは一度もありません。したがって,「時効は完成しておりません」と回答しています。
なお,本当に時効が完成している場合に,援用ではなく質問を受けた場合には「私は回答する立場ではないので,お近くの弁護士や司法書士にご相談ください。」と回答すると思います。
相手方と無用なケンカをする必要はないためできる回答いたしますが,いずれにしてもこの点は依頼者の方の要望次第となりますので,回答しにくい質問については適宜相談させていただきます。