昨日より消費税が増税となり,郵便料金も値上がりしました。
ハガキだと52円,手紙だと82円~となっており,微妙に1円単位の切手がまた必要になってきましたね。
当事務所でも,いろいろな書類を郵送したりされたりするわけですが,郵便の種類って結構あるんですよね。
もちろん,一番多いのは普通郵便な訳ですが,特定記録,(簡易)書留,内容証明郵便,特別送達など多岐に渡っています。
この中で,一般の方はあまり使われないけど,弁護士や司法書士などがよく使うのが内容証明郵便です。
内容証明郵便の効力
内容証明郵便とは,文字通り「内容」を「証明」する「郵便」で,郵便局がどのような内容の郵便を送付したのかを証明してくれるものです。
さらに,普通は内容証明郵便を配達証明付きで送りますので,どのような内容の郵便が,こちらがいつ発送して,いつ相手に届いたのかを郵便局が証明してくれることになります。
逆に言えば,
内容証明郵便には法的にはこれだけの効力しかありません!
もっとも,弁護士や司法書士など,専門家が書類を送付することで,相手が心理的な圧力を感じることはあるかもしれませんが,これは別に内容証明郵便に限った話ではなく普通郵便や電話だって同じだと思います。
内容証明郵便の送付で解決できるか
よく行政書士のサイト(私は行政書士でもありますが・・・)では,貸金や慰謝料,養育費などのいろんな請求や消滅時効の援用やクーリングオフなどの通知を内容証明郵便で送ることを業務としていることがあり,「内容証明を送付したら相手が支払ってくれた!」などという過去の依頼者の声なんかが載っていることもあります。
確かに,そういったケースは多々あると思いますし,実際に当事務所でもそのようなケースはあります。ただ,それはあくまで相手の方が任意に支払ってくれただけであって,内容証明郵便を送付すればすべてのケースで支払ってくれるわけではありません。その理由は,上記の通り内容証明郵便(配達証明付)は手紙の内容と相手に配達されたことを証明するだけの郵便に過ぎないからです。当然,相手が無視することも十分あり得ます。
内容証明郵便で解決できる(効力が発生する)場合
逆に言えば,どのような内容の書面が,いつ発送し,いつ相手に届いたのか,ということがわかればそれだけで解決するというものもあります。以下の手続に関しては内容証明郵便を送付するだけ効力が発生し,解決することがほとんどです。
①消滅時効の援用
→債務者が借金の返済期日から10年経過したので,借金の消滅を債権者に通知する(民法145条)。
②時効中断(催告)
→上記とは反対で,債権者が債務者に対して10年経過前に,内容証明郵便で支払いを請求すると時効を中断させることができます(ただし,6か月以内に訴訟を提起する必要があります)(民法153条)。
③クーリングオフ
→通販など,一定期間内であれば無条件に解約ができる制度です(特定商取引法15条の2など)。
上記のうちクーリングオフを除いて書面である必要はなく,口頭で伝えても構いませんし,書面であっても普通郵便でも構いません。しかし,普通郵便だと相手に到達したという証拠がありませんし,口頭だと録音をしていれば別ですが基本的には何も記録が残りません。とすると,のちのち言った言わないでもめる可能性がありますので,内容証明郵便で送ることで確実に効力が発生したということを証明することができます。
それでも内容証明郵便で送る理由
上記のとおり通知するだけで効力が発生する手続きではなく,当サイトのように債権回収の場合でも内容証明郵便で督促状を送ることが多々あります。
その理由としては,司法書士の名前が入っていることに加え,普通郵便ではなく内容証明郵便で送ることでこちらが本気だということを知らせる点や,弁済期の定めがない場合には請求をして一定期間が経過すると遅延損害金が発生するので,その発生時期を明確にするという理由もあります。
また,法的な問題点ではありませんが,一般常識として相手にまったく請求をしないまま訴訟をするというのはいかがなものかと思いますので,ちゃんと事前に請求したにも関わらず支払ってくれなかったのでやむを得ず訴訟を提起したという証拠にもなります。
内容証明郵便の費用
最後に,内容証明郵便の送付料ですが,当事務所は郵便局の窓口ではなくe内容証明というサービスを利用しており事務所のパソコンから内容証明郵便を送付しますが,この場合は1510円となります。
内容証明郵便は,弁護士や司法書士などに依頼しなくても,ご自身で書面を作成し送ることができます。上記の通り,1510円で解決できればかなり費用を抑えられると思いますので,一度ご自身で送付されてみるのも手だと思いますよ。
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