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2016年11月

11月 29 2016

1年がかりの土地建物明渡事件

およそ1年かかりましたが,土地建物明渡事件が終了いたしました(ただし,賃料回収については継続中)。

途中で想定外のことが起こるなど,なかなか大変でしたが,顛末をまとめてみたいと思います。なお,事件の特定を避けるため,一部フィクションも含まれています。

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ご依頼内容

 

アパートの家賃及びアパートに隣接している駐車場の駐車料金についてたびたび支払いが遅れており,すでに2年分以上溜まっているので,この未払い賃料の回収及び明渡のご依頼をお受けいたしました。

司法書士の代理権は140万円以下と定められており,明渡事件については,土地と建物の固定資産評価額をもって算出することになっておりますが,土地については評価額を1/4にした金額,建物については1/2にした金額で計算することとなりますので,一軒家であれば難しいケースがあるものの,アパートの一室であれば司法書士でも対応できる場合が多いと思います。なお,未払い賃料の金額は含めなくても良いこととなっておりますので,極論を言えば,1000万円の家賃を滞納していても代理人として請求できることになります。

今回ご依頼いただいたアパートの場合,駐車場全体としては数千万円の評価額でしたが,ご依頼いただいた区画だけで計算すると数十万円程度であり,建物に関してはかなり古い建物で評価額自体は数万円程度であってたため,司法書士でもまったく問題なく代理人として対応できる金額でした。また,未払い賃料は合計すると100万円程度となりますが,上記のとおり,未払い賃料は含めない取り扱いであるため特に問題ありませんでした。

 

督促及び解除の通知

 

内容証明郵便で,賃借人及び保証人に対して,未払い賃料の請求(支払催告)及び支払いが無い場合は解除する旨の通知を致しました。本件賃貸借契約には催告は不要との特約がありましたが,争点を増やす意味は無いので,法律の規定どおり催告をしました。書類を送付した数日後に賃借人から回答があり,「今後一切支払うつもりはない。」とのことでしたので,話し合いによる解決は不可能であると判断し,訴訟を提起いたしました。

 

訴訟期日及び判決

 

訴訟の期日には,賃借人及び保証人が出廷したため,裁判所内で司法委員を交えて和解協議を行うこととなりました。ただ,賃借人は恐らくお酒に酔っていると思われるような状況であまり会話ができず,さらには裁判所の書記官や私に加えて,その場にいない大家さんを「刺して自分も死ぬ。」などという発言があったため,和解などできるはずもなく判決となり,勝訴いたしました。

 

任意の話し合い及び関係各所との調整

 

判決が出て確定したことにより,すぐにでも強制執行ができるような状況ではありましたが,以下の理由により,任意の話し合いを続け,すぐに強制執行の申立てをすることはありませんでした。

・訴訟提起後から,「包丁で刺す」,「首を吊って死ぬ」など危険な発言が相次いでいたため,強制執行まで進むと何をするかわからないような状況にあると考えられたため,まずは穏便に話し合いを進めたいという大家さんの意向があった。

 

・賃借人の危険な発言を踏まえて,大家さんの警備の問題や脅迫についての告訴について警察と相談が必要だった。

※明け渡しに関しては,このような事件の報道もありました(強制執行の恐怖

 

・賃借人が比較的高齢であったため,強制執行を進めても執行が完了しない可能性があったため,退去後の賃借人の住居について市役所の福祉課等との相談が必要だった(強制執行の手続を進めても,賃借人が病気でまったく動けないなどの理由がある場合は強制執行を進められない場合があります。)。

 

上記のうち,警察についてはかなり協力的であり,告訴をすれば逮捕できるような状況ではあるし,話し合いに行く際は同行してくれるとの署長さんからの回答も得られました。ちなみに,告訴をすれば逮捕できると回答をいただいた決め手は,私と保証人と賃借人と三者で話し合いをした際にも「殺す」などの発言をされており,それを録音していたことによります(結果として私は告訴はしないまま終わっております。)。

次に,市役所についてですが,こちらは協力的ではありませんでした。というのは,あくまで市役所は本人やその親族からの援助の要請があって初めて動けるのであり,私は賃借人からすれば親族でもない他人であり,しかも明渡に関しては対立当事者の代理人であるわけですから,やはり動けないとのことでした。市役所の立場としてはやむを得ないと思います。

 

なお,保証人との間では,毎月一定額を支払う内容で和解が成立いたしました。

 

強制執行の申立て

 

何度か話し合いを試みたものの任意での明け渡しに応じことは考えられなかったため,大家さんの意向で強制執行の申立てを行いました(当事務所は書類作成として関与していますので,すべてにおいて大家さんにも立ち会っていただいております。)。

執行手続での懸案事項としては,

(1)断行(強制的に追い出す手続)までいった場合に素直に出ていくとは考えられないため,改めて警察との調整。

(2)自動車を含めた大量の残置物の処分費用

の2つがありました。

(1)については,上記のとおり警察は事前に連絡すればこちらの要望どおりに対応してもらえるとのことであり,(2)については,自動車は中古車販売店に「価値なし」との査定書を出してもらい,別の業者に無料で引き取ってもらえましたので,その他の残置物の処分費用だけですみました。ちなみに,自動車の価値があると判断された場合は,「自動車執行」の手続を執る必要があるため,別途数十万円の費用がかかってしまいます。

 

明渡催告~断行~目的外動産の処分

 

明け渡しの強制執行の流れとしては,まずは任意に明け渡しよう「明渡催告」をし,その約1ヶ月後までに退去されない場合は強制的に追い出す「断行」を行い,その2週間~1ヶ月の間に室内にある動産(目的外動産)の競り売りをして終了となり,すべての手続に裁判所の執行官が立ち会います。

上記のとおり,賃借人の状況についても執行官に事前に知らせており,執行官も警察との連携をしていたのですが,明渡催告の前日に賃借人が何らかの理由により警察に拘束されていました・・・。これは完全に想定外でした。

したがって,賃借人不在のまますべての手続が進んだため,紆余曲折ありましたが執行手続に入ってからはスムーズに進み,残置物の処分をして明け渡し手続は終了となりました。ただ,未払い賃料に関しては,保証人から支払われているため,もうしばらく続くこととなります。

 

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