12月 27 2016
年末年始について
【お知らせ】
当事務所は,平成28年12月28日18時をもって年内の業務が終了となります。本年もたくさんのご相談,ご依頼をいただき誠にありがとうございました。
なお,年始は平成29年1月4日9時からとなります。
皆様,風邪などひかぬようくれぐれもご自愛いただき,良いお年をお迎えください<(_ _)>
12月 27 2016
【お知らせ】
当事務所は,平成28年12月28日18時をもって年内の業務が終了となります。本年もたくさんのご相談,ご依頼をいただき誠にありがとうございました。
なお,年始は平成29年1月4日9時からとなります。
皆様,風邪などひかぬようくれぐれもご自愛いただき,良いお年をお迎えください<(_ _)>
12月 16 2016
昨日,下記のようなニュースがありました。
以下,よみうりオンライン(http://www.yomiuri.co.jp/national/20161215-OYT1T50110.html)の記事を引用します。
月決め駐車場に約40分間無断駐車した女性に所有者が200円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁(比嘉一美裁判長)が女性に200円の支払いを命じていたことがわかった。
原告は弁護士をつけずに提訴。費用は5000円以上かかったが、「年間100台くらいの無断駐車があり、やめてもらうために訴えた」と話している。
14日に言い渡された判決によると、女性は昨年3月、大阪府摂津市内の駐車場に軽乗用車を無断で止めた。女性側は「駐車場ではなく空き地。車を止めたからといって所有者に損害は発生しない」と主張。比嘉裁判長は「所有者には自分の土地を承諾なく利用されない権利がある」と、これを退け、近隣のコインパーキングの料金から「40分間」の損害額を算定した。
引用終わり
200円の請求というのはなかなか見ませんので,思うところを書いてみたいと思います。
裁判を起こすためには,裁判所に対して訴える目的の金額(訴額)に応じて収入印紙を納める必要があり,さらに当事者に郵送するための切手を納める必要があります(余った切手は事件終了後に返却されます。)。
記事によれば「費用は5000円以上かかった」と書かれておりますので,収入印紙が1000円,切手代が約4000円になるかと思います。
ただし,勝訴した場合は,その割合に応じて収入印紙や切手代等の訴訟費用は全額相手に支払ってもらうことができます。記事によれば,200円の支払いを求めた訴訟で判決も200円を支払えとなっているそうですので,訴訟費用は全額相手に負担してもらうことができます。
加えて,裁判所に出廷した場合,交通費と日当も訴訟費用の一部として相手に支払ってもらうことができます。
交通費は裁判所までの距離によって一律で決まっており,絶望的に安い金額であるため恐らく赤字です。例えば,当事務所から岡崎の裁判所まで往復交通費は2000円以上かかりますが,交通費は300円しか出ません・・・。また,日当も一律で決まっており,1期日当たり3950円です。
もっとも,上記はあくまで「相手に請求できる」というだけであり,請求しないことも可能です。さらに,請求しても相手が払わないこともありますので,その場合は費用をかけて強制執行をして回収するしかありません。現実問題として,訴訟費用のためだけに強制執行というのは費用倒れになってしまう可能性が十分あるかと思います。
記事によれば,「年間100台くらいの無断駐車があり、やめてもらうために訴えた」とのことです。
しかしながら,訴訟で求めたのは200円の支払いであり,訴えられた側としては200円を支払えばそれで終わりです(ただし,上記のとおり,別途訴訟費用の支払義務もあります。)。判決が出たからといって,直ちに警察に逮捕されるわけでもありません。
この判決を逆手にとって,「訴えられたところで200円しか払わないでも良い」との認識が広まってしまうと,果たしてこの訴訟に抑止力があるのか難しいところだと思います。
140万円以下の訴訟の場合は,簡易裁判所の管轄となっており,例外的に不動産に関する訴訟や難解な訴訟などは地方裁判所に移送されることがあります。
簡易裁判所の場合,少額訴訟であれば1期日で終わるなど簡単な手続も用意されていますが,地方裁判所だと厳格な方式によって進みますので本人訴訟の当事者にとっては簡裁の方が楽ではないかと思います。
もしかしたら,上記の例に該当して移送された結果が大阪地裁なのかもしれませんが,なぜ地裁での訴訟となったのかよくわかりません。
本件とは直接関係ありませんが,駐車場などに「無断駐車をされた場合は罰金として1万円を支払ってもらいます。」というような看板があったりします。
当然,無断駐車はダメなのですが,万が一このような事態が生じたとしても,法的には罰金1万円を支払ってもらうことはできません。理由としては,そのような合意が無いからです。ただし,まったく請求できないかというとそうではなく,本件事件のように近隣の駐車場の相場などから勘案して,止めた時間に応じた損害賠償請求を行うことは可能です。費用対効果が合うかは別ですが・・・。
無断駐車はダメなのは当たり前なのですが,現実問題として無断駐車をされてしまっても土地の所有者の方が満足するような手続がありません。したがって,三角コーンを置いたり入口にチェーンを巻くなどして物理的に無断駐車をされないような対処をしていただくしかないと思います。
12月 14 2016
売掛金回収のご依頼をいただき,無事完了しましたので手続の流れ等を記載いたします。
ただし,当事者及び事件の特定を避けるためフィクションの部分があります。
1 とあるサービス業を行う会社からのご依頼で,相手は自動車関連の業者さん(以下,「A社」といいます。)でした。A社は,ご依頼いただいた時点では普通に営業をしており,HPなども更新されていましたので,パッと見た感じでは資金繰りが悪そうな感じはしませんでした。店内の商品など差押が可能なものがたくさんありましたので,法的手続を行えば回収できる可能性は高いと思われる事案でした。
2 まずは,内容証明郵便にて請求をしたものの回答期限までに返事が無かったのでこちらから連絡を試みたところ,A社の従業員の方から社長に伝えておく旨の回答が得られたので少しだけ待つこととし,任意での支払いに希望を託しました。しかし,1週間程度待ったものの希望は打ち砕かれ,何度連絡を試みても同じような回答ばかりで,残念ながらA社の対応は極めて不誠実でした。
3 今回の請求額は比較的少額でしたので,「費用をかけて訴訟や強制執行を行えば高い確率で回収できると思いますが,費用対効果としてはあまり良くないと思います。」ということを説明させていただいたところ,「業界内に『あの会社は踏み倒せる』と思われれてしまうことの方が大問題だからしっかり回収してほしい。」との回答をいただき訴訟を提起しました。
4 訴訟提起後もまったく連絡は無かったのですが,訴訟の期日が終わったその日にA社の社長から連絡があり,今まで連絡しなかったことを謝罪され,その日までの遅延損害金や訴訟費用の全額を支払うことで和解が成立しました。さらに,和解書のやり取りが終わる前に全額の入金があり,無事回収することができました。
ということで,訴訟は提起したものの,強制執行に至ることなく,遅延損害金や訴訟費用も含めた全額の回収ができました。
このケースでは,強制執行までいってしまうと全額回収できても半分も手元に残らないという状況でしたので,強制執行前に全額回収できて良かったです。
12月 12 2016
交際されている男女間での金銭の貸し借りがある場合,交際中は特に問題ないのですが,交際が解消されることによってトラブルが生じることがあります。実際に,当事務所でご依頼いただいている事件の3割程度は男女間の金銭トラブルに関するものになります。
また,同棲をされていた男女間では,現実的なお金のやり取りではなく生活費や家財道具の購入資金を立て替えてもらったものの,その清算をしないまま一方的に交際を解消してトラブルになることもあります。
今回の事件は,現実的なお金の貸し借りではなく生活費等の清算に関するトラブルについてでしたが,無事解決しましたので手続の流れをまとめてみたいと思います。ただし,事件や当事者の特定を避けるためフィクションも含まれています。
甲さんと乙は同棲しており,家賃や光熱費等の生活費は折半で負担する約束になっていたものの,乙さんがほとんど負担しないまま同棲が解消されたので,甲さんが乙さんに生活費相当額を請求するというものでした。
このような請求の場合,一般的には証拠がほとんどありません。例えば,当初の「生活費は折半」という部分について書面で合意書等が作成されることはまず無いでしょうし(もっとも,書面が無くても折半での請求は通常は可能かと思われます。),光熱費については明細などが残っているかもしれませんが,食費や日用品などについて書面が残っているということはなかなかありません。
したがって,このような請求を行うとすると,「そもそも相手に請求できるのか」,「請求できるとして,いくら請求できるのか」という点が問題となります。
今回のケースでは,このような書面は当然のごとくありませんでしたが,当事者同士で同棲解消後に「乙さんが甲さんに○○円を払う」という合意ができており,この点については書面化されていたため,請求額等については問題となりませんした。
1 乙さんの転居先の住所がわかりませんでしたので,同棲していた住所の除票を取得して新住所を特定し,内容証明で書面を送付しました。乙さんから回答があり,支払義務を認めたうえで,支払回数などについて何度か交渉を重ねておりましたが,突然連絡が取れなくなり再度書面を送付しても回答がありませんでした。
2 支払う意思は無いものと判断し,訴訟を提起しました。証拠として合意書がありましたので,特に問題なく勝訴となりました。
3 乙さん自身にはほとんど財産が無いと思われますが,乙さんは派遣社員として給与を得ていることは把握していました。とはいえ,実際に給与を支払っているのは派遣元ですので,派遣先がわかるだけでは給与の差し押さえができません。そこで,当該派遣先に派遣している会社を求人情報などで探し,いくつか該当する派遣会社があったため直接連絡して確認をしましたが見つかりませんでした。そんな折,依頼者ご自身が,乙さんの本名ではないもののフェイスブックで乙さんと同じ出身地や派遣先での情報とともに派遣元も書いている方の情報を見つけたため,この情報を頼りに派遣元に確認をしたところ,見事派遣元を特定することができました。以前もフェイスブックの情報で差押に繋がる情報を見つけることができ,回収に成功しております。本当にフェイスブックは情報の宝庫です。
4 派遣元からの給与に対する債権執行の申立書を作成し,管轄裁判所に提出いたしました。数日後,派遣元からの陳述書が届き,勤務(派遣登録)していることが確定しました。
5 以降,毎月税引き後の金額の1/4相当額が派遣元から送金され,最終的には経過利息や執行費用も含めて回収することができました。
今回うまくいった大きな要因の一つが合意書が作成されていたことにあります。上記のとおり,請求額を特定するためには様々な資料が必要となりますが,この点がクリアできていたのは大きかったです。
2つ目は勤務先の特定です。個人間の金銭トラブルでは,一般論としては差し押さえ可能な財産があるケースは少なく,訴訟までいってしまった場合は給与を差し押さえて回収することがメインとなりますが,勤務先が特定できないケースも多々ありますので,この点がクリアできたのは大きかったです。
今回の請求額はおよそ70万円だったのに対し,郵送料や裁判所に支払う実費なども含めて約30万円でした。
やはり訴訟や強制執行までいってしまうと,多くの費用がかかってしまいますので何とか訴訟等の法的手続を執らずに回収できれば良いのですが,残念ながら強制執行までしても支払わないという方は少なからずいらっしゃいますので,このような方が相手の場合にはある程度費用がかかってしまうことを前提に強制的に回収するか,残念ながら諦められるかのどちらかになってしまいます・・・。
なお,事前に裁判所に支払う実費などはいただいておりますが,ほとんどの費用については回収した中からいただいておりますので,当面の費用がご用意いただくのが難しい場合でも一度ご相談ください。
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