2月 19 2015
風俗業界の方への貸金請求
偶然が重なるもので,ここ最近,いわゆる風俗業界にお勤めの方への貸金請求のご相談が続いております。結論としてはなかなか難しいケースが多いのですが,同じような境遇の方もいらっしゃると思いますので,こちらに記載したいと思います。
よくある状況
よくある状況としては,すべて風俗店の客である男性が女性従業員に対してお金を貸し,そのお金が返ってこないというものです。
また,相手の住所どころか氏名(本名)を知らず,さらに電話番号も知らずLINEでしかやり取りができていないというケースが多いです。
正直なところ,難しいです・・・。
まず,何らかの手続をするためには,相手の連絡先がわからないことには手紙も送れませんし,裁判手続きもできません。さらに,風俗店もあまり関与したくないのか,こちらが連絡しても相手の情報はまったく教えてくれませんし,嘘か本当かわかりませんが「もう○○は退職しました。」と言って取り合ってくれないことが多いです。
また,借用書を取っていないことがほとんどですので,相手に金銭の貸付の事実を否認されてしまうと,その立証がかなり困難となります。なお,このケースではありませんが,当事務所ではLINEのやり取りを証拠として裁判所に提出し,結果として勝訴したケースがありますので,借用書が無くてもLINEのやり取りで金銭の貸し借りが行われていることがわかれば立証できることもあります。
無事回収できているケース
そんな中,無事回収できているケースもあります。
(1)相手の住所及び氏名を聞いていた。
具体的には免許証のコピーをもらっていました。
(2)借用書を取っていた。
当然,免許証に記載の住所及び氏名が記載されておりますし,印鑑も押されています。なお,押印は実印である必要はありません。
(3)お店は変わっているものの現在も働いている
収入がなければ支払ってもらいようがないので,相手が現在も働いているということは重要です。
このケースでは,転居しておりましたので免許証の住所には住んでいませんでした。しかし,弁護士や司法書士は,転居していたとしても5年以内の過去の住所地がわかれば新住所を調べることができますので,転居されていることは問題ありません。借用書があれば,弁護士や司法書士でなくてもご自身で役所に行って新住所の住民票を取得することができます。もっとも,あくまで住民票上の住所を調べることができるに過ぎないため,住民票を異動せずに転居してしまった場合には探し当てるのは困難です。
また,振込の記録を証拠としてお持ちの方が結構いらっしゃいますが,それだけでは貸したことの証拠としては不十分なので,別途メールなどの証拠が必要になります。このケースでは借用書があったので完璧です。
そして,最大の問題として,収入の面があります。いくら証拠があろうが,相手に支払い能力がなければどうしようもありません。この点,このケースではちゃんと収入がありましたので,何とか分割で支払ってもらう内容で和解が出来ました。
ということで,相手が風俗店勤務の方に限った話ではないのですが,借用書はやはり重要ですし,特に風俗店勤務の方だと,貸した相手の素性がよくわからないということが多いので,もしお金を貸すのであれば免許証のコピーなどをもらうことを条件に貸すなどして対策された方が良いかと思います。