10月 02 2024
代表者の住所非表示措置について
先日、代表取締役の住所が調べられにくくなる可能性についての記事を記載いたしました。
令和6年10月1日からその制度がスタートしましたので、前回の記事と重複する部分もありますが重要な点についてまとめておきたいと思います。
1 対象となる法人
株式会社のみとなります。有限会社、合同会社、一般社団法人、NPO法人など、株式会社以外の法人は非表示措置の対象とはなりません。
2 非表示措置の対象人物
基本的には代表取締役となりますが、住所が登記されている代表清算人、代表執行役なども対象となります。
3 非表示措置の範囲
住所のうち市区町村よりも後の部分が非表示になります。例えば、「愛知県名古屋市〇〇区」までは非表示措置がされていても表示されます。また、氏名は非表示とはなりません。
また、あくまで非表示措置を申し出たとき以降の登記について非表示となりますので、従前の住所は非表示となりません。住所が変わっていない状況で非表示措置の申し出をして認められたとしても、従前の住所は非表示にはなっていませんので、その時点では事実上あまり効果がありません。もっとも、履歴事項全部証明書を取得した場合、3年前の1月1日時点以降の情報しか載ってきませんので、非表示措置の申し出をして4年以上経過すれば意味があることになります。
なお、本店の住所は非表示措置の対象ではありませんので、会社の本店が代表者の自宅である場合にはその時点ではまったく意味がないことになります。この場合でも将来的に本店移転をする可能性があるのであれば非表示措置をしておく意味があります。
4 非表示の申出の時期
役員変更など、代表取締役等の住所が申請内容になっている何らかの登記申請を行うタイミングの際に同時に申し出る必要があります。非表示措置の申出のみを行うことができません。
5 非表示措置のメリット
住所の一部を非表示とすることで個人情報が守られる、この1点のみだと思います。
6 非表示措置のデメリット
金融機関の取り扱いなどが固まっている状況ではありませんので流動的ではありますが、金融機関から融資を受ける際に書類が増えることは間違いなく、場合によっては融資自体を避けられる可能性があります。また、新規の取引を開始する際にも取引先から追加の書類を求められたり取引自体が中止になる可能性があります。
正直なところ、制度が始まったばかりであるためメリットデメリットはまだ分からない部分があるかと思いますが、このご時勢からすると個人情報保護の方向に進むと思いますので、今後は対象となる会社が株式会社以外にも拡大していくと思いますし、一部の住所ではなく全部の住所が非表示となる可能性もあるかと思います。