5月 08 2015
極めて少額な債権回収について
最近,かなり少額(数万円程度)の債権回収に関するご相談をお受けすることが多いので,少額な場合についていつも回答していることをまとめておきたいと思います。
まず,数万円程度の債権回収の場合,弁護士や司法書士等の専門家にご依頼されると間違いなく費用倒れになるかと思いますので,基本的にはご自身で進めていただくしかありません。
その場合,一番良いのは話し合いを行い,一括または分割で返済してもらう方法です。数万円程度であれば,分割ではなく一括でお支払いいただける金額かと思いますし,仮に分割だとしても回数が大きくなることは無いと思います。ただ,それで解決できないからご相談いただくわけですので,以下,考え得る方法を記載いたします。
お金は持っているのに支払ってくれない場合
相手の自宅がご自身の自宅の近く(同じ市内や隣接市等)である場合だと支払督促が良いかと思います。
支払督促は,裁判所から請求書を送りつけてもらうもので,もし相手が異議を述べない場合は,それをもって強制執行をすることができますし,収入印紙等も訴訟より安くて済みます。また,仮に異議を出されたとしても自宅近くの裁判所で訴訟手続ができるのであまり手間ではありません。もっとも,支払督促だと話し合いを持つことができず強制執行を行うことが前提となってしまいますので,相手の財産(預金口座や勤務先等)の把握は必ず必要です。
相手にお金がなく支払ってもらえない場合
現実的にお金がまったく無いようであれば回収するのは極めて困難ですが,一括では無理でも何とか話し合いに持ち込めば回収できそうということであれば少額訴訟を行うということも考えられます。ただ,訴訟を無視されてしまうとなかなか回収は難しいです。
相手が行方不明の場合
正直なところ本当に回収は難しいです。相手が行方不明でも公示送達などを使って訴訟を行うこともできますが,行方不明の人から回収するのは至難の業です・・・。費用対効果だけで考えれば,良い勉強になったととらえて諦められた方が良いかもしれません。
なお,ほぼ必ずといって聞かれるのが,「内容証明郵便を送りつければ回収できますか?」というものです。
内容証明郵便の性質については,以前ブログを書いておりますのでこちらをご確認いただければと思いますが,一般論としては内容証明郵便を送りつけるだけで回収できる可能性はかなり低いと思います。もちろん,弁護士や司法書士の名前が入ることによって回収の可能性を上げられる可能性はあるかと思いますが,上記のとおり,弁護士等に依頼すると費用倒れになってしまいますので現実的ではありません。
また,他に聞かれることとしては,「本人が支払わないので会社や家族に連絡しても良いか」というものです。
この点については,私は「しない方が良い」と回答しております。というのは,連帯保証人や連帯債務者でない限り,家族など本人以外の第三者に支払義務はありませんし,無関係な人に連絡することによって無用なトラブルを招く可能性が出てくるうえ,場合によっては名誉毀損罪などに該当してしまう可能性も出てくるからです。
ということで,貸金が少額である場合は,
・交渉を何度も行う。
・交渉ができないようであれば,第三者などに言うのではなく淡々と裁判手続を行う。
・裁判手続まではやりたくないということであれば残念ですが諦める。
ということになると思います。あまり有用な内容ではないと思いますが,債権回収に裏ワザは無いので,これが現実です・・・。