愛知・名古屋・岐阜・三重の方の債権回収・未払い家賃・売掛金・立ち退きに関するご相談ならはなみずき司法書士事務所

お問い合わせ

お気軽にご相談ください。(相談無料)電話番号0561-61-1514 ファックス番号0561-61-1535

トップページ » ブログ

ブログ

3月 03 2017

訴訟提起後の対応

訴訟を提起したとしても,必ずしもすべてが判決になることはなく,他の結論で終わることがあります。この点,稀に勘違いされていらっしゃる方がおみえですので,まとめておきたいと思います。

 

document_kuronuri_kimitsu

 

 

和解成立による取下げ

 

いったん訴訟を提起したとしても,判決が出て確定するまでは取り下げることが可能です。

訴訟提起前に話し合いをしていた相手方があまりにも強行で和解ができないような状況だったとしても,訴訟を提起することで一転して和解ができることがあります。また,訴訟提起前にはまったく連絡が取れなかったような方でも訴訟を提起したことによって連絡があり,話し合いができる場合があります。

訴訟外で話し合いができ,和解に関する合意ができるようであれば訴訟を取り下げるということもあります。

ただ,訴訟を取り下げてしまうと,和解に関する合意書を作成したとしても執行力がないため,次に記載の訴訟内による和解を選択することが多いです。

 

訴訟内での和解成立

 

当事者が双方とも出廷した場合,簡易裁判所の場合は司法委員という職員が間に入って和解交渉をすることがあります。ここで話し合いがまとまるようであれば,あとは裁判官の面前で和解をして終了となります。

上記の裁判外での和解でも訴訟内での和解でも結局は話し合いによって合意した内容で返済等がされるため,返済等に滞りがなければどちらでも良いのですが,訴訟内で和解が成立した場合は和解調書という書類が作成され,万が一返済等が滞った場合にはこの和解調書に基づいて強制執行を行うことが可能となっています。したがって,債権者の立場としては訴訟内で和解をした方良いということになります。

なお,和解については当事者双方が出廷することが原則となっておりますが,簡易裁判所においては「和解に代わる決定」という制度があり,事前に当事者同士で和解ができているようであれば,その内容を裁判所に伝えることが,どちらか一方の出廷,または双方の出廷が無くても和解と同様の効果のある書面を作成してもらうことができます(民事訴訟法275条の2)。ちなみに,和解に代わる決定において,どちらか一方の出廷が必要なのか双方とも出廷が不要なのかは裁判官や裁判所によって取り扱いが異なるためよくわかりません。例えば,名古屋簡裁や瀬戸簡裁,春日井簡裁などは当事者どちらかの出廷が必要とされることが多いですが,半田簡裁だと双方とも出廷しなくても良いとされることが多いように思います。この和解に代わる決定も和解調書同様,返済等が滞った場合には強制執行を行うことができます。

 

判決

 

訴訟内で和解が成立せず,また取下げもしないようであれば最終的には判決になります。昨日も裁判所に出廷しましたが,和解に至ることなく判決となってしまいました。

判決の言い渡しがあり,裁判所から判決書が送達されて2週間以内に控訴されなければ,当該判決は確定しすることとなり,勝訴判決である場合は判決に基づいて強制執行を行うことができます。

なお,多くのケースで「仮執行宣言」が付されており,確定しなくてもすぐに強制執行手続を進めることができます。ちなみに,少額訴訟においては請求を認める判決の場合は必ず仮執行宣言が付されることとなっております(民事訴訟法376条)。

もちろん,判決が出ても必ず強制執行をしなければならないものではなく,判決後に改めて話し合いをして分割弁済で和解するということも可能です。実際に,強制執行をしても回収が難しいケースの場合は判決後に和解して分割で返済してもらっているケースもあります。

 

以上から,訴訟を行っても必ず判決になるのではなく,和解で解決することがありますし,仮に判決になったとしてもその後に和解することもありますので,訴訟を行ったとしても強制執行までしなければならないケースはそれほどありません。しかし,中にはどうしても支払わない方もいらっしゃいますので,そうすると財産を探し出し強制執行を進めざるを得ません・・・。

 

 

 【司法書士の債権回収最前線】目次はこちら


1月 19 2017

愛知県司法書士会主催の相談会のお知らせ

当事務所のある長久手市において,愛知県司法書士会主催の市民公開講座及び相続相談会が下記のとおり開催されます。

 

場所 長久手市福祉の家(長久手市前熊下田171番地・地図
日時 平成29年2月4日(土)10時~15時 

 

なお,下記のチラシには市民公開講座の時間が「午前10時から午後12時」となっておりますが,正確には「午前10時から午前12時(午後0時)」であり,相談会も「午前12時(午後0時)から午後3時」です。14時間も公演したら倒れてしまいます(笑)

お時間のある方はぜひお立ち寄りください<(_ _)>


12月 27 2016

年末年始について

【お知らせ】

 

当事務所は,平成28年12月28日18時をもって年内の業務が終了となります。本年もたくさんのご相談,ご依頼をいただき誠にありがとうございました。

なお,年始は平成29年1月4日9時からとなります。

皆様,風邪などひかぬようくれぐれもご自愛いただき,良いお年をお迎えください<(_ _)>


12月 16 2016

200円の損害賠償請求

昨日,下記のようなニュースがありました。

 

以下,よみうりオンライン(http://www.yomiuri.co.jp/national/20161215-OYT1T50110.html)の記事を引用します。

 

月決め駐車場に約40分間無断駐車した女性に所有者が200円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁(比嘉一美裁判長)が女性に200円の支払いを命じていたことがわかった。

原告は弁護士をつけずに提訴。費用は5000円以上かかったが、「年間100台くらいの無断駐車があり、やめてもらうために訴えた」と話している。

14日に言い渡された判決によると、女性は昨年3月、大阪府摂津市内の駐車場に軽乗用車を無断で止めた。女性側は「駐車場ではなく空き地。車を止めたからといって所有者に損害は発生しない」と主張。比嘉裁判長は「所有者には自分の土地を承諾なく利用されない権利がある」と、これを退け、近隣のコインパーキングの料金から「40分間」の損害額を算定した。

 

引用終わり 

 

200円の請求というのはなかなか見ませんので,思うところを書いてみたいと思います。

car_parking

  
 

費用について

裁判を起こすためには,裁判所に対して訴える目的の金額(訴額)に応じて収入印紙を納める必要があり,さらに当事者に郵送するための切手を納める必要があります(余った切手は事件終了後に返却されます。)。

記事によれば「費用は5000円以上かかった」と書かれておりますので,収入印紙が1000円,切手代が約4000円になるかと思います。

ただし,勝訴した場合は,その割合に応じて収入印紙や切手代等の訴訟費用は全額相手に支払ってもらうことができます。記事によれば,200円の支払いを求めた訴訟で判決も200円を支払えとなっているそうですので,訴訟費用は全額相手に負担してもらうことができます。

加えて,裁判所に出廷した場合,交通費と日当も訴訟費用の一部として相手に支払ってもらうことができます。

交通費は裁判所までの距離によって一律で決まっており,絶望的に安い金額であるため恐らく赤字です。例えば,当事務所から岡崎の裁判所まで往復交通費は2000円以上かかりますが,交通費は300円しか出ません・・・。また,日当も一律で決まっており,1期日当たり3950円です。

もっとも,上記はあくまで「相手に請求できる」というだけであり,請求しないことも可能です。さらに,請求しても相手が払わないこともありますので,その場合は費用をかけて強制執行をして回収するしかありません。現実問題として,訴訟費用のためだけに強制執行というのは費用倒れになってしまう可能性が十分あるかと思います。

 
 

抑止力はあるのか

記事によれば,「年間100台くらいの無断駐車があり、やめてもらうために訴えた」とのことです。

しかしながら,訴訟で求めたのは200円の支払いであり,訴えられた側としては200円を支払えばそれで終わりです(ただし,上記のとおり,別途訴訟費用の支払義務もあります。)。判決が出たからといって,直ちに警察に逮捕されるわけでもありません。

この判決を逆手にとって,「訴えられたところで200円しか払わないでも良い」との認識が広まってしまうと,果たしてこの訴訟に抑止力があるのか難しいところだと思います。

 
 

なぜ地裁だったのか

140万円以下の訴訟の場合は,簡易裁判所の管轄となっており,例外的に不動産に関する訴訟や難解な訴訟などは地方裁判所に移送されることがあります。

簡易裁判所の場合,少額訴訟であれば1期日で終わるなど簡単な手続も用意されていますが,地方裁判所だと厳格な方式によって進みますので本人訴訟の当事者にとっては簡裁の方が楽ではないかと思います。

もしかしたら,上記の例に該当して移送された結果が大阪地裁なのかもしれませんが,なぜ地裁での訴訟となったのかよくわかりません。  

 
 

罰金の看板の有効性

本件とは直接関係ありませんが,駐車場などに「無断駐車をされた場合は罰金として1万円を支払ってもらいます。」というような看板があったりします。

当然,無断駐車はダメなのですが,万が一このような事態が生じたとしても,法的には罰金1万円を支払ってもらうことはできません。理由としては,そのような合意が無いからです。ただし,まったく請求できないかというとそうではなく,本件事件のように近隣の駐車場の相場などから勘案して,止めた時間に応じた損害賠償請求を行うことは可能です。費用対効果が合うかは別ですが・・・。  

 
 

無断駐車はダメなのは当たり前なのですが,現実問題として無断駐車をされてしまっても土地の所有者の方が満足するような手続がありません。したがって,三角コーンを置いたり入口にチェーンを巻くなどして物理的に無断駐車をされないような対処をしていただくしかないと思います。 

 

 

 
 

 【司法書士の債権回収最前線】目次はこちら


12月 14 2016

売掛金の回収事例

売掛金回収のご依頼をいただき,無事完了しましたので手続の流れ等を記載いたします。

ただし,当事者及び事件の特定を避けるためフィクションの部分があります。

 

building_car_dealer

 

1 とあるサービス業を行う会社からのご依頼で,相手は自動車関連の業者さん(以下,「A社」といいます。)でした。A社は,ご依頼いただいた時点では普通に営業をしており,HPなども更新されていましたので,パッと見た感じでは資金繰りが悪そうな感じはしませんでした。店内の商品など差押が可能なものがたくさんありましたので,法的手続を行えば回収できる可能性は高いと思われる事案でした。

 

 まずは,内容証明郵便にて請求をしたものの回答期限までに返事が無かったのでこちらから連絡を試みたところ,A社の従業員の方から社長に伝えておく旨の回答が得られたので少しだけ待つこととし,任意での支払いに希望を託しました。しかし,1週間程度待ったものの希望は打ち砕かれ,何度連絡を試みても同じような回答ばかりで,残念ながらA社の対応は極めて不誠実でした。

 

 今回の請求額は比較的少額でしたので,「費用をかけて訴訟や強制執行を行えば高い確率で回収できると思いますが,費用対効果としてはあまり良くないと思います。」ということを説明させていただいたところ,「業界内に『あの会社は踏み倒せる』と思われれてしまうことの方が大問題だからしっかり回収してほしい。」との回答をいただき訴訟を提起しました。

 

 訴訟提起後もまったく連絡は無かったのですが,訴訟の期日が終わったその日にA社の社長から連絡があり,今まで連絡しなかったことを謝罪され,その日までの遅延損害金や訴訟費用の全額を支払うことで和解が成立しました。さらに,和解書のやり取りが終わる前に全額の入金があり,無事回収することができました。

 

ということで,訴訟は提起したものの,強制執行に至ることなく,遅延損害金や訴訟費用も含めた全額の回収ができました。

このケースでは,強制執行までいってしまうと全額回収できても半分も手元に残らないという状況でしたので,強制執行前に全額回収できて良かったです。

 

 【司法書士の債権回収最前線】目次はこちら


12月 12 2016

男女間の交際に関連する費用の請求

交際されている男女間での金銭の貸し借りがある場合,交際中は特に問題ないのですが,交際が解消されることによってトラブルが生じることがあります。実際に,当事務所でご依頼いただいている事件の3割程度は男女間の金銭トラブルに関するものになります。

また,同棲をされていた男女間では,現実的なお金のやり取りではなく生活費や家財道具の購入資金を立て替えてもらったものの,その清算をしないまま一方的に交際を解消してトラブルになることもあります。

今回の事件は,現実的なお金の貸し借りではなく生活費等の清算に関するトラブルについてでしたが,無事解決しましたので手続の流れをまとめてみたいと思います。ただし,事件や当事者の特定を避けるためフィクションも含まれています。

 

kenka_couple

 

請求の内容

 

甲さんと乙は同棲しており,家賃や光熱費等の生活費は折半で負担する約束になっていたものの,乙さんがほとんど負担しないまま同棲が解消されたので,甲さんが乙さんに生活費相当額を請求するというものでした。

このような請求の場合,一般的には証拠がほとんどありません。例えば,当初の「生活費は折半」という部分について書面で合意書等が作成されることはまず無いでしょうし(もっとも,書面が無くても折半での請求は通常は可能かと思われます。),光熱費については明細などが残っているかもしれませんが,食費や日用品などについて書面が残っているということはなかなかありません。

したがって,このような請求を行うとすると,「そもそも相手に請求できるのか」,「請求できるとして,いくら請求できるのか」という点が問題となります。

今回のケースでは,このような書面は当然のごとくありませんでしたが,当事者同士で同棲解消後に「乙さんが甲さんに○○円を払う」という合意ができており,この点については書面化されていたため,請求額等については問題となりませんした。

 

手続の流れ

 

1 乙さんの転居先の住所がわかりませんでしたので,同棲していた住所の除票を取得して新住所を特定し,内容証明で書面を送付しました。乙さんから回答があり,支払義務を認めたうえで,支払回数などについて何度か交渉を重ねておりましたが,突然連絡が取れなくなり再度書面を送付しても回答がありませんでした。

 

2 支払う意思は無いものと判断し,訴訟を提起しました。証拠として合意書がありましたので,特に問題なく勝訴となりました。

 

3 乙さん自身にはほとんど財産が無いと思われますが,乙さんは派遣社員として給与を得ていることは把握していました。とはいえ,実際に給与を支払っているのは派遣元ですので,派遣先がわかるだけでは給与の差し押さえができません。そこで,当該派遣先に派遣している会社を求人情報などで探し,いくつか該当する派遣会社があったため直接連絡して確認をしましたが見つかりませんでした。そんな折,依頼者ご自身が,乙さんの本名ではないもののフェイスブックで乙さんと同じ出身地や派遣先での情報とともに派遣元も書いている方の情報を見つけたため,この情報を頼りに派遣元に確認をしたところ,見事派遣元を特定することができました。以前もフェイスブックの情報で差押に繋がる情報を見つけることができ,回収に成功しております。本当にフェイスブックは情報の宝庫です。

 

4 派遣元からの給与に対する債権執行の申立書を作成し,管轄裁判所に提出いたしました。数日後,派遣元からの陳述書が届き,勤務(派遣登録)していることが確定しました。

 

5 以降,毎月税引き後の金額の1/4相当額が派遣元から送金され,最終的には経過利息や執行費用も含めて回収することができました。

 

重要なポイント

 

今回うまくいった大きな要因の一つが合意書が作成されていたことにあります。上記のとおり,請求額を特定するためには様々な資料が必要となりますが,この点がクリアできていたのは大きかったです。

2つ目は勤務先の特定です。個人間の金銭トラブルでは,一般論としては差し押さえ可能な財産があるケースは少なく,訴訟までいってしまった場合は給与を差し押さえて回収することがメインとなりますが,勤務先が特定できないケースも多々ありますので,この点がクリアできたのは大きかったです。

 

かかった費用について

 

今回の請求額はおよそ70万円だったのに対し,郵送料や裁判所に支払う実費なども含めて約30万円でした。

やはり訴訟や強制執行までいってしまうと,多くの費用がかかってしまいますので何とか訴訟等の法的手続を執らずに回収できれば良いのですが,残念ながら強制執行までしても支払わないという方は少なからずいらっしゃいますので,このような方が相手の場合にはある程度費用がかかってしまうことを前提に強制的に回収するか,残念ながら諦められるかのどちらかになってしまいます・・・。

なお,事前に裁判所に支払う実費などはいただいておりますが,ほとんどの費用については回収した中からいただいておりますので,当面の費用がご用意いただくのが難しい場合でも一度ご相談ください。

 

 【司法書士の債権回収最前線】目次はこちら


11月 29 2016

1年がかりの土地建物明渡事件

およそ1年かかりましたが,土地建物明渡事件が終了いたしました(ただし,賃料回収については継続中)。

途中で想定外のことが起こるなど,なかなか大変でしたが,顛末をまとめてみたいと思います。なお,事件の特定を避けるため,一部フィクションも含まれています。

truck_nimotsu

ご依頼内容

 

アパートの家賃及びアパートに隣接している駐車場の駐車料金についてたびたび支払いが遅れており,すでに2年分以上溜まっているので,この未払い賃料の回収及び明渡のご依頼をお受けいたしました。

司法書士の代理権は140万円以下と定められており,明渡事件については,土地と建物の固定資産評価額をもって算出することになっておりますが,土地については評価額を1/4にした金額,建物については1/2にした金額で計算することとなりますので,一軒家であれば難しいケースがあるものの,アパートの一室であれば司法書士でも対応できる場合が多いと思います。なお,未払い賃料の金額は含めなくても良いこととなっておりますので,極論を言えば,1000万円の家賃を滞納していても代理人として請求できることになります。

今回ご依頼いただいたアパートの場合,駐車場全体としては数千万円の評価額でしたが,ご依頼いただいた区画だけで計算すると数十万円程度であり,建物に関してはかなり古い建物で評価額自体は数万円程度であってたため,司法書士でもまったく問題なく代理人として対応できる金額でした。また,未払い賃料は合計すると100万円程度となりますが,上記のとおり,未払い賃料は含めない取り扱いであるため特に問題ありませんでした。

 

督促及び解除の通知

 

内容証明郵便で,賃借人及び保証人に対して,未払い賃料の請求(支払催告)及び支払いが無い場合は解除する旨の通知を致しました。本件賃貸借契約には催告は不要との特約がありましたが,争点を増やす意味は無いので,法律の規定どおり催告をしました。書類を送付した数日後に賃借人から回答があり,「今後一切支払うつもりはない。」とのことでしたので,話し合いによる解決は不可能であると判断し,訴訟を提起いたしました。

 

訴訟期日及び判決

 

訴訟の期日には,賃借人及び保証人が出廷したため,裁判所内で司法委員を交えて和解協議を行うこととなりました。ただ,賃借人は恐らくお酒に酔っていると思われるような状況であまり会話ができず,さらには裁判所の書記官や私に加えて,その場にいない大家さんを「刺して自分も死ぬ。」などという発言があったため,和解などできるはずもなく判決となり,勝訴いたしました。

 

任意の話し合い及び関係各所との調整

 

判決が出て確定したことにより,すぐにでも強制執行ができるような状況ではありましたが,以下の理由により,任意の話し合いを続け,すぐに強制執行の申立てをすることはありませんでした。

・訴訟提起後から,「包丁で刺す」,「首を吊って死ぬ」など危険な発言が相次いでいたため,強制執行まで進むと何をするかわからないような状況にあると考えられたため,まずは穏便に話し合いを進めたいという大家さんの意向があった。

 

・賃借人の危険な発言を踏まえて,大家さんの警備の問題や脅迫についての告訴について警察と相談が必要だった。

※明け渡しに関しては,このような事件の報道もありました(強制執行の恐怖

 

・賃借人が比較的高齢であったため,強制執行を進めても執行が完了しない可能性があったため,退去後の賃借人の住居について市役所の福祉課等との相談が必要だった(強制執行の手続を進めても,賃借人が病気でまったく動けないなどの理由がある場合は強制執行を進められない場合があります。)。

 

上記のうち,警察についてはかなり協力的であり,告訴をすれば逮捕できるような状況ではあるし,話し合いに行く際は同行してくれるとの署長さんからの回答も得られました。ちなみに,告訴をすれば逮捕できると回答をいただいた決め手は,私と保証人と賃借人と三者で話し合いをした際にも「殺す」などの発言をされており,それを録音していたことによります(結果として私は告訴はしないまま終わっております。)。

次に,市役所についてですが,こちらは協力的ではありませんでした。というのは,あくまで市役所は本人やその親族からの援助の要請があって初めて動けるのであり,私は賃借人からすれば親族でもない他人であり,しかも明渡に関しては対立当事者の代理人であるわけですから,やはり動けないとのことでした。市役所の立場としてはやむを得ないと思います。

 

なお,保証人との間では,毎月一定額を支払う内容で和解が成立いたしました。

 

強制執行の申立て

 

何度か話し合いを試みたものの任意での明け渡しに応じことは考えられなかったため,大家さんの意向で強制執行の申立てを行いました(当事務所は書類作成として関与していますので,すべてにおいて大家さんにも立ち会っていただいております。)。

執行手続での懸案事項としては,

(1)断行(強制的に追い出す手続)までいった場合に素直に出ていくとは考えられないため,改めて警察との調整。

(2)自動車を含めた大量の残置物の処分費用

の2つがありました。

(1)については,上記のとおり警察は事前に連絡すればこちらの要望どおりに対応してもらえるとのことであり,(2)については,自動車は中古車販売店に「価値なし」との査定書を出してもらい,別の業者に無料で引き取ってもらえましたので,その他の残置物の処分費用だけですみました。ちなみに,自動車の価値があると判断された場合は,「自動車執行」の手続を執る必要があるため,別途数十万円の費用がかかってしまいます。

 

明渡催告~断行~目的外動産の処分

 

明け渡しの強制執行の流れとしては,まずは任意に明け渡しよう「明渡催告」をし,その約1ヶ月後までに退去されない場合は強制的に追い出す「断行」を行い,その2週間~1ヶ月の間に室内にある動産(目的外動産)の競り売りをして終了となり,すべての手続に裁判所の執行官が立ち会います。

上記のとおり,賃借人の状況についても執行官に事前に知らせており,執行官も警察との連携をしていたのですが,明渡催告の前日に賃借人が何らかの理由により警察に拘束されていました・・・。これは完全に想定外でした。

したがって,賃借人不在のまますべての手続が進んだため,紆余曲折ありましたが執行手続に入ってからはスムーズに進み,残置物の処分をして明け渡し手続は終了となりました。ただ,未払い賃料に関しては,保証人から支払われているため,もうしばらく続くこととなります。

 

 【司法書士の債権回収最前線】目次はこちら


10月 11 2016

時効についての注意点

何度か時効についてご質問いただくのですが,誤解されていることが少なからずございましたので,これまでにいただいたご質問で誤解ところについてまとめたいと思います。

 

kaichu_dokei

 

消滅時効とは

各ページにも記載しているとおり,貸金や売掛金などの債権については,一定期間経つと時効によって請求ができなくなることがあります。この「一定期間」は債権の種類によって異なり,運送費だと1年,診療報酬だと3年,一般的な売掛金や家賃だと5年,その他の債権(個人間の貸金など)は10年などとなっています。

 

時効の起算点

では,この「一定期間」のスタートはいつからでしょうか。この点,時効について規定されている民法では,「権利を行使することができる時から進行する」となっています(民法166条)。

「権利を行使することができる」というのは,端的に言えば「請求できる」という意味となります。

個人間の貸し借りであれば返済日からということになりますし,診療報酬であれば通常は当該診療日からとなりますし,売掛金などで毎月の締日などがある場合は,実際に仕事をされた日ではなく締日のあとに請求書に書いてある支払期限(支払期限を定めていなければ請求日)ということになります。また,毎月発生する家賃や管理費などは,毎月の支払日にその月の分だけがスタートすることになります。

よくある誤解が,個人間の貸し借りで「お金を貸した日」とされている場合です。例えば,平成28年10月11日に100万円を貸し,3年後の平成31年10月11日に一括で返済することになっていた場合は,平成31年10月11日にならないと返済を請求できませんのでこの日までは時効は進行しません。したがって,最速でも時効が完成するのは,返済日の10年後(貸してから13年後)である平成41年10月11日ということになります。

 

時効の援用

 

これまでに何度か記載しておりますが,消滅時効は期間が満了すれば自動的に消滅するものではなく,債務者側の時効の援用が必要とされています(民法145条)。

これは,時効によって権利が消滅することを良しとしない債務者もいるため,時効によって消滅させるかどうかを債務者に決めてもらうという趣旨です。

逆に言えば,時効期間が満了していても時効の援用がされていないようであれば,請求すること自体は可能です。当事務所でも何度か時効期間が満了している債権について支払ってもらったことがあります。

 

時効の中断

 

上記の「一定期間」が満了すると権利が消滅してしまいますので,債権者としては消滅してしまわないように時効の進行を止める「中断」の手続を進めることになります。

法律では「 請求」,「差押え、仮差押え又は仮処分」,「承認」の3つの場合に中断すると規定(民法147条)されており,例外的に「催告」をし,その後に訴訟等の裁判手続を行うことで6か月だけ時効期間が伸びることになっています(民法153条)。

このうち,よくある誤解が「請求」についてです。民法には,単に「請求」としか書かれておりませんので,口頭でも請求すれば良いようにも思えますが,この「請求」は民法149条から152条までに規定された法的手続による請求だと考えられております。したがって,電話で督促をしたり,請求書を送付するだけでは147条に規定する「請求」にはならないことになります。

なお,口頭などによる請求でも153条の「催告」に該当しますので,後に法的手続による請求をすれば,6か月は時効の完成を防ぐことはできますが,これは1度だけであり定期的に請求書を送付し続けることで永遠に時効の完成を防げるわけではありません。

 

時効の利益の放棄

 

一度だけ,借用書の中に「私は時効による利益を放棄します。」という文言が書かれたものを見たことがあります。

この点,民法にはドンピシャで「時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。」と規定されていますので,お金を借りるときや時効完成間際に消滅時効を主張しない旨の約束をしたとしても無効です(民法146条)。もちろん,無効である以上,覚書や念書といった書面を作成したとしてもダメです。

ただし,民法上禁止されているのは時効完成の放棄であり,時効完成に放棄することは自由です。だからこそ,時効完成後でも返済してもらうことがあるわけですね。

 

まとめ

以上から,よくある誤解としては,

時効がスタートするのはお金を貸した日ではなく返済日

消滅時効は,期間の経過によって自動的に消滅するのではなく,債務者の援用が必要。なので,時効完成後に返済してもらっても返済は有効。

時効中断事由の「請求」は裁判上の請求(訴訟など)をしなければならない。

④「催告」は1回だけで,繰り返し行うことで時効を中断させることはできない。

債務者が,時効完成前に時効の利益を放棄することはできない。例え,覚書や念書などが作成されていてもすべて無効です。

となります。

 

ネット上(某知恵袋)では,上記誤解に基づいて回答されているものも散見されますのでご注意ください。

 

 【司法書士の債権回収最前線】目次はこちら


10月 03 2016

強制執行の恐怖

先日,横浜で強制執行の際に入居者が逮捕されるという事件が発生しました。

truck_nimotsu

 

以下,東京新聞(http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201609/CK2016091502000185.html)の記事を引用します。

 

十四日午後三時ごろ、横浜市南区永田みなみ台の都市再生機構(UR)「南永田団地」で、「男が包丁を持って立てこもった」と、立ち退きの強制執行に訪れた横浜地裁の執行官から一一〇番があった。約三時間後の午後五時五十分ごろ、県警捜査一課の捜査員が部屋に突入し、公務執行妨害の疑いで、この部屋に住む自称無職檀上(だんじょう)政樹容疑者(53)を現行犯逮捕した。

捜査一課などによると、人質はなく、けが人はなかった。檀上容疑者は家賃を滞納していたという。執行官らが玄関をノックしたが応じないため隣室のベランダを伝い、窓を割って入ろうとすると、檀上容疑者は「これ以上来ると爆破するぞ」などと言い、刃物を突きつけてきたという。

逮捕容疑では、同日午後二時五十分ごろ、強制執行しようとした執行官に刃物を見せるなどして公務を妨害したとされる。容疑を認めているという。現場は、京急本線井土ケ谷駅から西に約一キロの住宅街。十二棟が並ぶ団地の一角で、檀上容疑者の部屋は九階建ての三階部分。玄関から捜査員が約三時間にわたって説得を続けた。団地には規制線が張られ、帰宅できない住民ら五十人ほどが周囲の広場や道路から様子を見守った。檀上容疑者と同じ棟に住む女性会社員(72)は「六月ごろから裁判所の人が来ていたようだが、お金がないと言っていた」と話した。

 

引用終わり

 

現在進めている建物明け渡しの交渉の際に,入居者から「お前を刺して,俺はここで首を吊る。」と言われたことがありますので,警察に依頼して,強制執行の際には立ち会いをお願いいたしました。

幸い(?)強制執行当日(催告期日)には入居者本人は不在でしたので警察官の出番はありませんでしたが,立ち会っていただく大家さんや裁判所の執行官の身の安全が大事ですので,上記のようなことにならないよう今後も念には念を入れて対処していかなければならないと肝に銘じた事件でした。


8月 26 2016

臨時休業のお知らせ

平成28年8月29日及び30日について,臨時休業とさせていただきます。

上記期間にいただきましたお問い合わせにつきましては,31日に回答をさせていただきます。

大変ご迷惑をお掛け致しますが,なにとぞよろしくお願いいたします。


« 前のページ - 次のページ »

個人間の金銭トラブル

売掛金の回収

診療報酬

未払い賃料・立ち退き

管理費滞納

保全・強制執行

ブログ。司法書士の債権回収最前線。

名古屋債権回収相談室

〒480-1116
愛知県長久手市杁ヶ池106番地2
1階

はなみずき司法書士事務所

お気軽にご相談ください。(相談無料)電話番号0561-61-1514 ファックス番号0561-61-1535

対応地域

名古屋市、岐阜県、愛知県、三重県

このページのトップへ