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8月 07 2020

夏季休業について

 

当事務所では,下記の期間について夏季休業とさせていただきます。休業期間にお問い合わせいただきましたメール等につきましては,8月17日以降順次回答させていただきます。

 

8月12日18時まで  通常業務

 

8月13日から8月16日まで 夏季休業

 

8月17日9時から  通常業務

 

以上,よろしくお願いいたします。


7月 11 2020

強制執行をしても回収できない場合

債務者と交渉をして,分割弁済などで話ががまとまれば,その内容にしたがって返済を受けることになります。

もし,債務者と交渉をしてもまとまらない場合,またはそもそも交渉自体ができない場合は訴訟等の法的手続を進めていくことになります。

訴訟を提起しても必ず判決になる訳ではなく,訴訟の中で話し合いがまとまるケースも多々あります。訴訟手続の内容にもよりますが,貸金請求で被告が裁判所に出廷した場合は,8割以上が和解になって解決していると思います。

ただ,訴訟になっても被告が無視する場合や被告が出廷しても満足な和解ができない場合は,判決ということになります。

私が取り扱っている業務においては,「判決になるとすんなり支払う」ということはほとんどなく,判決後にやっと連絡がきて和解することもありますが,強制執行に進むことの方が多いです。

 

強制執行という手続は,債務者の財産を差押えて強制的に現金化して回収するという手続である以上,債務者が何らかの財産を持っていなければなりません。この「財産」は現時点で持っているものであるのが原則ですが,「将来受け取る予定の給与」などを差押えることも可能です。当事務所では,一番回収率が高いのは,まさに給与を差押えた場合です。

もっとも,債務者が何らかの財産を持っていたとしても,その財産として何があるのかを把握しなければ強制執行の手続ができません

例えば,預貯金であれば「銀行名と支店名」,不動産であれば「所在及び地番または家屋番号」,給与であれば勤務先などになります。

強制執行で一番難しいのは,この「財産として何があるのか」を把握することです。

この財産の把握について,従前は「財産開示手続」という制度を使っており,私も過去に何回か申し立ての手続きをしたことがあります。(今も財産開示手続はあります。)。

ただ,この手続きの最大の欠陥は,債務者に対して「財産として何があるのか開示せよ」との裁判所の命令が出たとしても,強制的に財産を開示させることはできず,開示しなかった場合には「30万円以下の過料」という罰金のようなものが科せられるに過ぎませんでした(※現在は,6か月以下の懲役または50万円以下の罰金に改正されました。)。

この過料はあくまで国に入るお金なので債権者としては,まったく回収できません。

 

なお,上記のとおり財産開示手続を何度か行っておりますが,一度も開示されたことはありませんでした。ただし,そのうち何度かは幸いにして「全額弁済するので取り下げてほしい」ということで回収できましたが,完全に無視され,過料の処分をするよう上申書を出しただけで終わった事件もあります。

 

このように財産開示手続ではなかなか債務者の財産が開示されることはなかったのですが,令和2年4月1日に民事執行法が改正され,一定程度債務者の財産に関する情報提供を求める手続が始まりました。

 

本日は,この点について,当事務所の業務と関係ある部分についてまとめたいと思います。

 

 

1 第三者からの情報取得手続

概要としては,「把握している財産に対して強制執行をしても回収できない債務者について,銀行等に口座の有無や預金額,法務局等に不動産,市区町村等に勤務先などの情報提供を求めることができる手続」ということになります。

 

2 手続をするための要件

口座の情報などは間違いなく個人情報になりますのでそう簡単に開示されるものではなく,その開示を求めるためには,法律の規定に沿った手続を踏まなければなりません。

 

(1)執行力のある債務名義を有していること

一番分かりやすいのが判決書正本であり,訴訟中に和解が成立した場合の和解調書なども債務名義になり得ます。

これは,裁判手続等を経て,債務者に対して債権があることを裁判所が認めた場合にのみ手続を認めるという趣旨であり,借用書や契約書などの書面があるだけではこの手続はできないということになります。

 

(2)強制執行を開始するための条件を満たしていること

端的にいうと,債務名義の正本が債務者に送達されていることや債務者が破産や民事再生等をしていないことになります。通常は債務名義が手元にあれば満たしていますので,それほど気にする必要はありません。

 

(3)現状で強制執行をしてもうまくいかない場合であること

すでに把握している情報で強制執行をすれば回収できるような場合にこの手続を使う必要はありませんので,強制執行をしても回収できないような場合でないとこの手続はできません。

具体的には,①6か月以内に強制執行をしたが回収できなかったこと②把握している財産に対して今から強制執行をしても回収できないことを疎明すること,のどちらかが必要です。

強制執行をして回収できなかったというのは,配当手続(または弁済金交付)までいったものの全額回収できなかった場合であり,回収できなかったことは明らかですので特に問題になりませんが,把握している財産に今から強制執行をしても回収できないことを疎明するためには,実際に強制執行をしてみるかそれなりの調査が必要になります。

過去に同じ要件である財産開示手続を行った場合には,自宅の不動産の登記簿謄本や口座を把握していない理由などを記載して競売申立をしても回収できないことが明らかである等の疎明を行いました。

なお,強制執行をしたもののほとんど現金化できずに諦めて取り下げる場合は①には該当せず,②の方の要件を充足する必要があります。その場合でも,強制執行を取り下げたことが1つの疎明資料になります。

 

(4)財産開示手続を先に行うこと

基本的には財産開示手続を先行する必要は無いのですが,不動産の情報及び勤務先の情報を得る場合に限り,3年以内に財産開示手続を先行させていなければならないことになっています。

 

3 手続をして得られる情報

この手続きを行っても,すべての財産の情報が開示されるわけではありません。例えば,債務者が知人に対して貸金債権を持っていたとしても,それは普通は分かりませんし,高級時計や絵画などの動産も管理している機関等はありませんので,情報を得ることができません。

この手続で得られる情報は以下の情報のみとなります。

 

(1)預貯金の情報

裁判所から申立人が指定した金融機関に対して,情報提供を求める書類を発送し,口座の有無や預貯金額等の情報が提供されます。なお,全国津々浦々の金融機関から回答が来るわけではなく,あくまで申立人が指定した金融機関からだけですので,ある程度は目星を付けておく必要があります。

 

(2)上場会社の株式や投資信託等

証券会社等に情報提供を求め,銘柄や株数などの情報が提供されます。

 

(3)給与債権

市区町村等に情報提供を求め,勤務先の情報を提供してもらいます。ただし,勤務先の情報を提供してもらえる債権は,養育費や婚姻費用など民事執行法151条の2第1項各号に掲げる義務に係る請求権及び人の生命や身体の侵害に関する損害賠償請求権に限られていますので,通常の貸金債権では勤務先の情報提供をしてもらうことはできません

したがって,公正証書(執行証書)で養育費の支払いについて合意しているのに相手方が支払ってこない場合に,相手方の勤務先を調査するということが現実的には多いかと思います。

 

なお,従前は差押えの書類が債務者に届いてから1週間経過後から回収ができましたが,今回の改正により給与については養育費や婚姻費用など民事執行法151条の2第1項に規定する債権以外の債権による差押えの場合は4週間経過後からとなりました。

 

(4)不動産

法務局に情報提供を求め,不動産の所在や地番等の情報提供をしてもらうことができます。

ただし,こちらはまだ法律が施行されていないため,本記事を書いている時点(令和2年11月時点)では不動産に関する情報提供を求めることはできません。こちらは,令和3年5月以降に施行される予定となっています。

 

4 まとめ

以上から,当事務所が行っている貸金請求等においては,一番回収できる可能性が高い給与の情報を得ることはできませんので,預貯金や株式等の情報を提供をしてもらい,その預貯金等を差押えて回収を図ることとなります。

もっとも,あくまで口座の情報を提供してもらえるだけであり,必ずしも口座に預貯金があるとは限りませんので,この手続を行ったとしても回収できない可能性もあります。とはいえ,やみくもに差し押さえをするよりは,回収できる可能性は高まりますので,手続を進める意味はあると思います。

なお,当事務所の報酬は1回目の申立てについては5万円(2回目以降は3万円)+消費税となります。また,別途実費が必要となり、情報提供を求める相手方1機関ごとに概ね5000円程度となります。

 

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4月 24 2020

ご相談について(新型コロナウイルス感染症対策等)

新型コロナウイルス感染症の蔓延により,皆様のお仕事,生活に大変な支障が出ていることと思います。

一刻も早い,終息を願ってやみません。

 

さて,当事務所のご相談の対応方法について,新型コロナウイルス感染症対策も踏まえてまとめさせていただきましたので,事前にご確認いただければと思います。

 

 

1 お電話でのご相談について

今回の新型コロナウイルス感染症の蔓延に関係なく,当事務所では簡単な内容であればお電話でも回答させていただいております。

この「簡単な」というのは,司法書士であれば誰に聞いても同じ回答ができるようなものであり,具体的には以下のような内容です。

・一般的な訴訟の流れ

・登記に必要な書類

・不動産売買に必要な書類

・概算での費用

となります。

したがいまして,ご相談者の個別具体的なご相談については,関係書類を拝見していない以上正確な回答をすることが困難であり,また,ちょっとしたことで結論が正反対になることもありますので,お電話での回答はしておりません

なお,お電話である関係上,相談料などの費用はかかりません。

 

2 面談でのご相談について

(1)当事務所の対策

直接お会いする以上,お互いに感染するリスク,感染させてしまうリスクが生じることとなります。これを完全にゼロにすることはできませんが,当事務所では以下のとおり対策をとらせていただきます。

 

①アルコール消毒

当事務所にお越しいただいた際にアルコールスプレーでの消毒をお願いいたします。アルコールスプレーは当事務所で用意しております。

 

②マスクの着用

当事務所の司法書士,スタッフはマスクを着用しております。ご相談にお越しになる際はマスクを着用のうえお越しいただきたいと思いますが,もしお手元にない場合は当事務所のマスクをお渡しいたします(個包装のサージカルマスクです。)

 

③発熱や咳が出る場合

当事務所の司法書士やスタッフに発熱,咳等がある場合は,万全を期すために事務所を休業することがあります。その際は至急連絡させていただきますので日程の調整をお願いいたします。

また,ご相談に来られる際に,上記同様発熱や咳等がある場合は,申し訳ございませんがキャンセルをお願いいたします。その場合,別日を優先的に予約させていただきますので,体調を整えられることを最優先にしてください。

 

④アクリル板の設置

飛沫感染を可能な限り避けるため,応接室にはアクリル板によるパーテーションを設置いたします(現在発注済みであり,納品待ちです。)。

※5/11 納品され,設置いたしました。

 

⑤ペットボトルのお茶をお出ししております

感染防止のため一時期お茶をお出ししておりませんでしたが,現在はこちらでペットボトルのお茶を準備しております。なお,お出しいたしましたお茶についてはお持ち帰りをお願いいたします。

 

(2)ご予約について

当事務所の司法書士が裁判や不動産の売買手続等で事務所を不在にしていることが多々あります。お手数をお掛けいたしますが,事前にお電話やメール等でご相談のご予約をお願いいたします

 

(3)ご相談の内容について

ご相談いただいたものについては分かる範囲については原則としてお答えしております。ご依頼いただかないからと言ってご相談への回答を控えることはありません。しかしながら,下記のご相談については回答ができません。

 

①司法書士,行政書士,宅建業のご相談の範囲を超えるご相談

→ 例えば税金のご相談は税理士法において税理士以外の者が回答すると犯罪になってしまいますので,一般的な内容を除き当事務所では回答ができません。

 

②当事務所の業務そのものに関するご質問

→ 例えば具体的な登記申請書の書き方,訴状の書き方,証拠書類の請求方法などです。このような書類を作成したり,書類を集めることによって報酬をいただくことが当事務所の業務ですので,その具体的な内容を回答することはできません。

 

(4)費用について

初回に限らず,また相談時間に関係なく,当事務所でのご相談は無料です。

 

以上を踏まえて,ご相談いただけますと幸いです。

 

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4月 07 2020

風俗店勤務の方からの回収

同時に2人の方に対する個人的な貸金の回収のご依頼をお受けしたところ,2人とも風俗店勤務の方でした。

一般論として,風俗店勤務の方は身元がはっきりしていない方が多く,場合によってはご住所どころかお名前(本名)すらご存知ないというケースもあり,このような場合にはなかなか回収が難しいのが実情です。

今回の依頼者については2人とも免許証の画像を保存していたため,回収することができました。

事件の特定を避けるため多少のフィクションが入りますが,回収の経緯を記載いたしますので,参考にしていただければと思います。

 

1 Aさんに対する請求

(1)依頼者がAさんに対して貸し付けた金額の3割程度は任意に返済されていたものの,残る7割の返済をしないまま連絡不能となっていました。

 

(2)残されていた免許証の画像からAさんの現在の住所を調査すると一軒家に転居しており,夫やお子さんなどご家族と一緒に暮らしていることが分かりました。そこで,当該住所宛に内容証明郵便にて督促状を郵送したところ連絡があり,完済するまでの利息を付加したうえで20回分割での和解が成立しました。

 

(3)その後,一度も遅れることなく分割弁済があり,無事完済となりました。

 

驚くほどスムーズに解決したのですが,やはり仕事の内容的にご家族に知られることは避けたいはずであり,そうなると訴訟などの法的手続を執られると困ることがスムーズに解決した要因かと思います。

なお,私どもが相手方の家族に対して請求したり,相手方の仕事の内容などプライバシーに関する情報を相手方の家族や勤務先等の関係者に対して通知することはありません(ただし,家族が連帯保証人になっている場合は請求します。)。

 

2 Bさんに対する請求

(1)依頼者がBさんに対して貸し付けた金銭は,1円も返済されないまま連絡不能となりました。

 

(2)そこで,Aさん同様現在の住所を調査したところ住所は変わっておらず,その住所に対して内容証明郵便にて督促状を送付しましたが,不在で返送されてきてしまい,実際にそこに住んでいるかどうかが分からない状況でした。

 

(3)その後も連絡を試みましたが連絡が取れないため悩んでいたところ,依頼者が,Bさんが別の風俗店で働いているという情報を入手したため,当該店舗に対して手紙を送付しました。当該店舗からは,「少し前にBさんは退職している」との回答がありましたが,その際に新しい住所の情報を入手することができ,再度新しい住所に督促状を発送しました。その督促状については受け取っているためそこにBさんが住んでいることは分かったものの連絡はありませんでした。

 

(4)任意での交渉は難しいと判断し,訴訟を提起いたしました。訴状の送達は問題なくできましたが,Bさんからは反論もなく出廷もしませんでしたので,全面勝訴となりました。

 

(5)Bさんの財産はまったく把握できていませんでしたので,Bさんの自宅に動産執行を行いました。これは動産執行自体で回収することは難しいものの,裁判所の執行官がBさんに会えれば,こちらに連絡するよう伝えてもらえる場合があるからです。この作戦は無事奏功し,ついにBさんから連絡がありました

 

(6)Bさんは,これまでのことについて謝罪し,完済までの利息を付加したうえで分割にて全額支払う内容で和解が成立いたしました。

 

(7)その後の分割弁済は,途中で何度か遅れることはありましたが事前に遅れる旨の連絡があり,また転居や転職した際にも随時報告があるなど,当初とは打って変わって誠実な対応でした。そして,最終的に無事完済となりました。

 

差押えるべき財産を把握しておらず,訴訟をしても回収できないリスクがありましたがなんとか無事解決できて良かったです。中には動産執行をしても連絡がない相手方もいますので,解決できたことは幸運であったと思います。

 

3 まとめ

このように,請求する相手方が風俗店勤務の方でも話ができれば全額回収できるケースも多々あります。ただ,最初に記載したとおり,連絡が取れないどころか住所やお名前がまったく分からないとなると回収するのは極めて難しいのもまた事実です。

ですので,貸さないというのが一番良いのですが,どうしても貸さなければならないような場合には,最低限相手方の住所とお名前だけは免許証や保険証などの公的な書類で確認するようにしてください(私ども司法書士ではできませんが,弁護士さんにおいては携帯電話の番号が分かれば住所が調べられる場合もあります(弁護士会照会)。)。

 

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4月 01 2020

令和2年4月1日の民法改正について

本日から改正民法が施行され,債権回収に関する分野も変更があります。

現時点で,当サイトも関係ある部分は変更してあるかと思いますが,もし漏れがありましたらお知らせいただけますと大変助かります<(_ _)>

改めて本日から改正される部分についてまとめておきたいと思います。なお,民法改正は多岐に渡ることから,下記に記載しているのは,当事務所の債権回収業務に関するもののみをピックアップしており,直接関係ないもの(例えば,瑕疵担保責任→契約不適合責任)については記載しておりません。

 

 

1 消滅時効

詳しくは,こちらに記載しております。

→ 消滅時効に関する改正

個人間の貸し借りは10年から5年と短縮され,売掛金については1~3年だったものも5年と伸長されましたので,大きな改正点としてほとんどの消滅時効が5年となったことかと思います。ただし,改正前に生じた債権については従前のままとなりますのでご注意ください。

 

2 民事法定利率

返済に遅れた場合の遅延損害金について,当事者間で合意があれば基本的にはその利率になります(ただし,利息制限法で上限が定められています。)。

一般的に,個人間のお金の貸し借りで遅延損害金はおろか,利息についても定めていないことが多いため,その場合には民法に定められた利率を採用しておりました(改正前民法404条)。この利率は5%だったのですが,銀行に預けてもほとんど利息が付かない時代の経済事情であるため,5%というのは異常な利率となっていました。

そこで,新しい民法では,3年ごとに見直すこととしたうえで,本日からの3年間は3%となっております。正直なところ,銀行金利と比べると3%でもかなりの高金利ですね。

 

3 諾成的金銭消費貸借契約

お金の貸し借りに関する契約(金銭消費貸借契約)は,契約書の作成は必要ではありませんでしたが,お金を実際に交付することが必要となっていました。

今回の改正により,書面(または電磁的記録)で契約書を作成すれば実際にお金の交付がなくても契約が成立することとなりました。

これは,口約束でお金を貸す約束をして借主もそれを当てにして金策していた場合に,約束の日になって約束を反故にされても契約が成立していない以上,借主が貸主に責任追及することがすんなりとは認められませんでしたので,その点が変わることとなります。

なお,書面で契約したものの,実際には他から資金調達ができて借りる必要が無くなった場合,借主は一方的に契約を解除することも認められていますが,それによって貸主が損害を負った場合は借主が賠償することとなります。

 

4 保証

恐らく今回の改正でかなり大きく影響を受ける部分だと思います。

賃貸借契約の保証人のように,個人が金額を定めずに保証する場合は,保証する上限額極度額を定めなければ無効となります。

また,賃借人や保証人が死亡した場合,その時点で金額が確定し,その後の損害については保証人及び保証人の相続人に請求することができなくなります。

一般的な賃貸借契約書に,連帯保証人の条項が入っているかと思いますが,極度額の記載は入っていないと思いますので,本日以降の賃貸借契約においては必ず極度額を設定し,記載してください。なお,あくまで本日以降の契約となりますので,従前の賃貸借契約に極度額が入っていなくても無効になることはありません

 

 

上記のとおり,改正法が適用されるのは本日以降となりますので,実際に改正の影響が出てくるのは早くても賃貸借契約の部分で今年の夏以降,それ以外の改正については来年以降になるのではないかと思います。

 

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3月 04 2020

結論としては和解の方が良い

ここのところ,幸いにして全額回収が続いております。

それらに共通するのは,裁判内外問わず,和解が成立している点にあるかと思います。今回は和解についてまとめておきます。

 

和解とは

民法上の正確な規定だと,和解とは「当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約すること」です(民法695条)。

お金を貸した方などの債権者としては,「ただでさえ約束どおりに返してもらってないのにさらに譲歩するなんてとんでもない」というお考えもあろうかと思いますし,とても理解できます。

しかしながら,現実的な話として債務者がわざと返さないというケースは少なく,返したくても返せないという方が多いのも事実です。とすると,多少譲歩したとしても結果として回収できるのであれば和解という選択肢もあるのではないでしょうか。相手方としても,判決になることで態度を硬化させてより支払わなくなることがありますが,和解であれば渋々ながらも一応は納得して和解が成立しているはずですので,その後の支払いは判決よりは期待できます。

なお,あくまで一定程度「譲歩」すれば良いのであり,その程度は問いません。ですので,必ずしも減額する必要はなく,本来なら一括で支払わなければならないところを分割にするとか,すでに発生している利息などは減額しないけど将来発生する利息を減免するなどでも一定程度の譲歩をしているので和解ということになります。

 

和解の方法

法律上は,特に決まりはありません。お互いが多少の譲歩をしており合意しているのであれば口頭でも有効に成立します。

もっとも,ただでさえトラブルになった後に互いに譲歩して和解するわけですから,後になって揉めないように通常は書面を作成するかと思います。そして,そもそも書類を作成する義務もないわけですから,実印での押印は必ずしも必要ではなく署名だけでも大丈夫です。とはいえ,後でトラブルにならないように最低でも署名+捺印,可能であれば実印+印鑑証明書をご準備いただいても良いかと思います。

 

裁判上和解は執行できる

上記は,裁判手続を経ずに互いに合意して和解した場合ですが,いったん訴訟や調停などの法的手続を起こしたうえで,その手続きの中で和解することがあります(調停の場合は調停の成立)。

この場合,何らかの義務を負うこととなっている人が和解どおりに履行しない場合,強制執行をすることができるという大きなメリットがあります。金銭の支払いが不履行であればその人の財産を差し押さえて強制的に回収することができますし,登記が必要な場合は,勝手に登記手続を進めることもできます。

さらに,一方当事者が裁判所に出廷できないような場合でも,受諾和解民事訴訟法264条),和解に代わる決定民事訴訟法275条の2),調停に代わる決定民事調停法17条)など,一方当事者だけで和解を成立させることもできますので,使い勝手は良いかと思います。

 

判決は懲らしめにならない

よく言われるのが「訴えて相手を懲らしめたい」というものです。

確かに訴えを提起し,勝訴した場合には判決書に,「被告は原告に対し,〇〇をせよ(金〇〇円を支払え)」と命令口調で書かれますので,一見するときつく見えます。しかし,支払わないからと言って警察に逮捕されるわけではなく,あくまで相手方が持っている財産に対して強制執行されるに過ぎません。さらに,相手方に強制執行されるような財産が無いようであれば強制執行もできないため,事実上,何ら不利益がないこともあります

とすると,判決を取っても相手方は「懲らしめられた・・・」という認識を持つことは無く,強制執行もできないのであれば何のために判決を取ったのか分からないという状況が起こり得ます。もちろん,判決を取ることで差し押さえを回避するために一括で支払ってくれる場合もありますが,全体としては少数です。

 

ということで,判決にならざるを得ない場合はしょうがないのですが,可能な限り和解をされた方が結果として良い場合が多いかと思います。

 

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1月 17 2020

消滅時効に関する改正

債権回収をするに当たって,当然確認する点としては消滅時効です。

令和2年4月1日から施行される民法の改正に当たり,時効に関する点も改正されることとなり,中には用語自体も変わったりしているので,まとめておきたいと思います。

 

 

消滅時効とは

 

以前この点についてまとめておりますので,こちらをご覧いただければと思います。

→ 時効についての注意点

 

改正の内容

1 消滅時効の期間を一律に

時効によって権利が消滅するための期間は,原則として10年になります。ですので,友人にお金を貸した場合,返済予定日から10年経過すると時効になってしまいます。

これに対し,銀行が融資をしたように,商売としてお金を貸した場合には5年で時効になってしまいます。現実的に銀行ではあまりありませんが,消費者金融や信販会社からの借金について,5年が経過したことで消滅時効の通知を送ることが結構あります。

さらに,債権の種類によっても時効の期間が個別に定められており,工事の請負代金は3年間,弁護士の報酬は2年間,飲食代(いわゆる「ツケ」)は1年間というようにややこしい規定になっておりました。

今回,この短期消滅時効について一律に「権利を行使できると知ったときから5年間(もしくは権利の行使ができるとき10年間)」に改正されます。

したがって,今までは飲み屋のツケは1年支払わなければ時効となりましたが,改正後は5年間となりますので,飲食店の経営者や工事業者としては請求できる期間が長くなり良い改正ということになりますが,個人間の貸し借りの場合は5年になってしまいますので良くない改正ということになります。

なお,不法行為に基づく損害賠償請求は基本的に従前どおりとなりますが,生命身体に対する侵害については「損害及び加害者を知ったときから3年」だったものが「損害及び加害者を知ったときから5年」になりました。

 

2 用語の変更(更新と完成猶予)

債権者としては時効が完成してしまっては困りますので,債権者側から時効の進行をリセットする「中断」という手続きがありました。具体的には訴訟を提起したり,債務者に債務の存在を認めてもらう(債務承認)と方法です。

この「中断」が「更新」になりました。文字として,中断だと一旦停止というニュアンスがありますが,中断はリセットという意味ですので,更新の方がより分かりやすいかと思います。

また,一時的に時効の進行をストップさせる「停止」という制度がありました。これは,大地震などが起こり,現実的に時効の中断ができないようなときには,地震が収まってから2週間は時効が完成しないという制度です(民法161条)。この停止も「完成猶予」という用語に変わり,期間も3か月に伸びました

 

具体的に説明させていただくと,令和2年12月31日の経過をもって時効が完成してしまう場合に,令和2年11月30日に債務者が承認して時効が更新された場合は改めてこの日から5年が経過するまでは時効が完成しないことになります。

また,同じ状況で令和2年11月30日に地震が起こり,令和3年1月10日に影響が無くなった場合には,ここから3か月が経過するまでは時効の完成が猶予されることになります。

 

3 改正の影響を受ける債権

 

民法が改正されるのは今年の4月1日からですが,前日までに発生した債権については従前のままとなります。

ですので,令和2年1月17日に発生した個人間の貸し借りに関しては,5年ではなく10年ということになります。

 

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12月 26 2019

回収が大変な「売掛金」と「未払い賃料」

今月に入り,売掛金の回収及び未払い賃料の回収(建物明渡請求)のご依頼が続いております。

この2つの債権回収は,経験上うまくいくとすぐに回収できるものの,すぐに解決できない場合は最後まで回収できないケースが多いです。

以下,この点についてまとめたいと思います。

 

 

売掛金の回収

 

売掛金というのは,端的に言えば商売上の取引によって生じたものです。今後とも引き続き取引を行う意思があるようであれば,できる限り滞ることはなく支払うのが通常です。ですので,相手によっては,単に通知を出しただけで100万円単位の金額をすぐに支払ってくれることもあります。

しかし,相手が払いたくても払えないような経済状況まで来てしまっているよう場合,通知書を出しただけで回収できるどころか,訴訟をしたとしてもお金がないので回収するのが大変ということになります。

この点,個人間の金銭トラブルであれば,相手方が給与を得ていることが多く,その給与を差し押さえれば時間はかかるものの少しずつ回収ができます。しかし,売掛金の場合だと,相手が法人だと法人そのものの財産を差し押さえなければならないものの,法人成りしたような会社だとあまり財産がありませんで差し押さえられる財産がほとんどありません。また,相手が個人事業主だった場合は給料を差し押さえるということが考えられませんので,この点から回収が難しくなります。

とはいえ,手続をしても無駄かというとそういう訳でもありません。例えば,預金口座にほとんどお金が入っていなかった場合はその口座を差し押さえても現実的にはまったく回収できませんが,相手がその預金口座がある銀行から融資を受けているような場合,差押えが入ると取引を切られることになりますので大問題になります。すると,どこからか返済金を用立てて支払ってくれるということもあります。その他,資金繰りをどうにかして,分割で支払ってくれるというケースもありますので,手続を進める意味はあるかと思います。

 

未払い賃料の回収

ご依頼いただく際にいつもお話しするのですが,未払い賃料について現実的な解決方法は「すぐにでも入居者を退去させたうえで,新しい入居者から賃料を得る。」だと思います。

自宅というのは生きてくうえで絶対に必要な場所であり,入居者の誰もが賃料を支払わなければ最終的に追い出されるということは認識しています。それすらも払えないような状況にあるのであれば,今後の家賃に加えて,延滞している賃料を分割で回収するというのは現実的ではありません。特殊な事情(例えば,交通事故などで一時的に働けなかった。)があるようであれば別ですが,特に何もないのに支払えないようであれば回収は難しいと思います。

ですので,その方からの家賃は諦めたうえで早く正常な家賃を別の方からもらう方が結果としては良い方向に進むと思います。

なお,入居者自身からの回収は難しいですが,保証人がいる場合は比較的早期に解決できる場合があります。過去にも,入居者は年配の方で,そのお子さんが保証人でしたが,保証人に連絡しただけで100万円単位の未払い賃料を回収したこともあります。また,数年かけて全額回収したケースとなりますが,こちらも入居者本人ではなく保証人から支払ってもらいました。

 

ということで,売掛金の回収や未払い賃料について,一般論としては全額を回収することはなかなか難しいと思いますが,当事務所は着手金なしで進めることもできますので,諦める前に一度ご検討いただければと思います。

 

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10月 21 2019

相手方からの質問

貸金請求などで相手方に対して郵便で督促などを行うと,その際に相手方から質問を受けることがあります。

私は依頼者側の立場ですので,当然ながら依頼者の不利益になるようなことは話しませんが,かといって相手方を騙すようなこともしませんので,可能な限り回答できることは回答しています。

 

 

「遅延損害金も支払う必要があるか」

督促をしているということはすでに期限を過ぎていますので,遅延損害金に関する約定がなかったとしても,法的には当然に請求することができます。したがって,請求することには何ら問題はないのですが,依頼者によっては「一括であれば離縁損害金は請求しなくても良い」と仰っていただけることがありますので,この点は質問してもらった方が良いかと思います。もっとも,当然には放棄はできませんので,依頼者が納得できるほどの条件が必要になってきます。

 

 

「自分も弁護士や司法書士に依頼すれば良いのか」

この点は,私は判断する立場にないためご自身でお考えいただくしかない旨を伝えておりますが,一般論としては弁護士や司法書士を入れていただいた方が交渉がスムーズに進みますので,本音としてはぜひ依頼してほしいと思っています。

なお,訴訟手続を無視し続け,すでに判決が確定した後に同様の質問を受けることがあります。もちろん,依頼されるのはご自身の自由ですのでどのようにされても構わないのですが,判決が確定した後に当該判決をひっくり返すのは特別な事情が無い限り不可能ですので,あまりお勧めしません。

 

 

「払わなかったらどうなるのか」

一般論としては,法的手続に進む旨を伝えますが,こちらが想定している具体的な手続(例えば「判決を取って〇〇銀行の預貯金を差し押さえる予定」など)をお伝えすることはありません。

ただ,明渡請求の場合は,はっきりと「このままの状況が続くと,法的手続を執って最終的には強制的に明け渡していただくこととなります。」と伝えます。これにより,自ら退去してもらえる可能性が大きくなるためです。

 

「時効ではないのか」

それほど多くはありませんが,長期間家賃を滞納されている場合に,一部の家賃について消滅時効が完成していることがありますが,このような場合でも当事務所では全額請求します。というのは消滅時効は,あくまで債務者(賃借人)の時効の援用があって初めて効果が生じますので,消滅時効完成分についても請求することは問題ないからです。当然ながら,相手方から消滅時効の援用がされればその分は請求しませんが,今のところそのような事例に該当したことはありません。

では,いつ聞かれるかというと,貸金の返済を数年放置した後に請求した際に「時効ではないのか」と聞かれることがあります。個人間の貸金は10年間時効にはなりませんので,この質問を受けて実際に時効だったことは一度もありません。したがって,「時効は完成しておりません」と回答しています。

なお,本当に時効が完成している場合に,援用ではなく質問を受けた場合には「私は回答する立場ではないので,お近くの弁護士や司法書士にご相談ください。」と回答すると思います。

 

相手方と無用なケンカをする必要はないためできる回答いたしますが,いずれにしてもこの点は依頼者の方の要望次第となりますので,回答しにくい質問については適宜相談させていただきます。

 

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9月 18 2019

賃貸借契約における保証人に関する改正

先日,平成28年から建物明渡及び賃料請求の手続を進めていた件について,無事全額回収して終了いたしました。

 

 

この判決文に記載のある「被告ら」となっているのは,賃借人と保証人の双方を含んだ表現であり,約92万円を支払う内容になっていますが,実際には遅延損害金なども含めて保証人から150万円近く回収しております。

このように,現状では賃貸借契約についての保証人となってしまうと,契約から生じる様々な債務について際限なく負担しなければならないことになっております。大家さんとしてはその方が回収可能性が高まるので良いのですが,実はこのような保証契約に関して法律の改正が予定されております。

今日はこの点について,まとめたいと思います。

 

現在の規定

 

現在の保証に関する条文は,以下のとおりとなっております(一部抜粋)。

 

【民法446条】

保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない

【民法447条】

保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。
保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。

 

つまり,保証契約は書面でする必要があり,利息や違約金,損害賠償債務なども丸っと負担することになっています。

 

したがって,上記の判決にあるように,滞納している家賃に加えて,明渡しまでに発生する賃料相当損害金についても保証人についての支払い命令が出ています。こうすることで,例え賃借人が逃げてしまっても保証人から回収する道が残されています。もちろん,保証人にも逃げられてしまった場合には,なかなか回収は難しくなります。

 

改正の内容

 

実は民法の改正は近時たくさん行われており,つい先日も相続に関する改正がなされたばかりです。

→ 令和元年7月1日からの相続法改正の施行について

 

そして,今回は債権法と呼ばれる分野の改正法が令和2年4月1日から施行されることになっております。この改正法は保証だけでなく,瑕疵担保責任から契約不適合責任などたくさん改正があるのですが,今回は賃貸借契約に関する保証の部分だけ記載いたします。

 

1 上限の定めのない根保証契約は無効!

根保証とは,一定の取引から生じるすべての債務について保証するというものです。一番分かりやすいのは上記のとおり賃貸借契約から生じる保証契約であり,滞納した賃料だけではなく,建物の原状回復費用や損害賠償債務なども保証することになるので,保証人としては保証契約をした時点ではどれくらいの金額を保証しているのか確定しません

 

一方,例えば住宅ローンの保証人となった場合,最大でも借りた金額+利息等となりますので,ある程度保証する金額が確定します。このような通常の保証契約は今回の改正の対象には含まれておりません。

 

これまでと同様に,上限金額を決めないで根保証契約をした場合には根保証契約自体が無効になります。つまり,保証人が存在しない状態になるということになりますので大問題です。

 

ということで,根保証契約を締結する場合は,具体的な上限金額を決めなければなりません。

例えば,「100万円を限度に保証する。」,「月額家賃の10か月分(総額100万円)を限度に保証する。」などと定める必要があります。なお,法律上上限額に関して定めはありませんが,仮に「月額家賃の1万年分」などと定めてしまうと,事実上上限がないので無効になってしまう可能性があります。当然ながら裁判例などはありませんので具体的な金額は難しいのですが,最大でも月額家賃の2~3年分程度くらいにしておいた方が良いかと思います。

 

2 上限を超えた場合は保証が及ばない

当たり前の規定となりますが,極度額を超える金額については保証人に請求することはできません。上記の例で言うと,仮に120万円の滞納家賃があったとしても,20万円については保証人に請求できないということになります。

 

3 特別な事情による保証契約の終了

現行法においては,保証人が死亡した場合,保証人の相続人が保証債務を相続することになります。本件とは直接関係ありませんが,過去に当事務所では,ご自身は一度も借金をしたこともないし,誰かの保証人にもなったことがないのに自己破産の手続を進めたことがあります。これは,ご自身の父親が保証人になっており,その父親が亡くなったことから,保証債務を相続したことによるものです。

 

話を戻し,このように「保証人の死亡」というものは保証契約の終了事由にはなっておりませんし,金額を確定する事由にもなっておりません。

しかし改正法においては,保証人が死亡した場合,保証債務を相続することは変わりがないものの,保証する金額が死亡時点で確定することになっています

例えば,保証人が死亡した時に,賃借人に3か月分の家賃の滞納があった場合は,保証人の相続人は3か月分の滞納家賃は支払う必要がありますが,それ以降の分については支払う義務がありません。

 

また,上記については,保証人の死亡のみならず賃借人の死亡にも該当します。つまり,賃借人が死亡した時に3か月分の滞納があった場合,それ以降の家賃については保証人は支払い義務を負いません。なお,勘違いしそうになりますが,賃借人が死亡した場合,賃借人の相続人が賃借権を相続することになりますので,原則として賃貸借契約はそのまま継続することになります。もっとも,上記のとおり,保証契約は賃借人の死亡時点で保証額が確定することになりますので,別途保証人の追加を求められることになると思われます。

 

4 賃借人の情報提供義務

事業用(店舗や事務所等)の賃貸借契約に限定されますが,賃借人は保証人に対して財産の状況や他の債務の有無などについて情報提供する義務があります。

もし,正確な情報提供をせずに保証人が保証契約を締結した場合は,保証契約を取り消される可能性があります。したがって,大家さんとしては,保証契約書の中に,「債務者が保証人に対して適切な情報提供を行い,保証人は当該情報提供に納得した上で保証契約を締結した」というような文言を入れておくべきだと思います。

なお,保証人が会社(例えば,家賃保証会社など)の場合には適用されません

 

5 経過措置

上記の改正法は,施行日(令和2年4月1日)時点で有効な契約については,従前のままとなります。したがって,現在契約中のものについて契約書を作り直す必要はありません。しかし,一般的には契約は数年に一度更新の時期を向かえますので,その時に上記のような改正法を踏まえた契約書に変更しておかないと,保証契約が無効になるなど大変なことになってしまう恐れがありますので注意が必要です。

 

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