2月 18 2026
生活保護受給者からの回収
※こちらは、あくまで当該事例に限定したものであり、一般論として生活保護受給者から債権回収できることを保証するものではありません。むしろ、債務者が生活保護受給者である場合は回収することはほぼ不可能であるためご依頼自体お受けしておりません。
さて、かなり長期に渡りましたが、生活保護を受給されている方から100万円近い債権を回収することができましたので、顛末をまとめたいと思います。
なお、事案の特定を防ぐため、一部フィクションを入れております。
1 事案の概要
賃貸住宅の大家さんより、数年間家賃を延滞している方がいるためその退去及び未払い賃料の回収のご依頼をいただきました。
恐らくお仕事はされていらっしゃるようでしたが、一度も連絡が取れておらず、なぜ支払いができないのか詳細は不明でした。また、何度か現地を訪問しましたが、一度も姿を見かけることすらなかったのですが、自動車の出入りがあったため居住していることは明らかでした。
2 具体的な手続
一般論として、未払い賃料の回収は難しいことが多いことから、早期に退去をしてもらい、新たに別の方に借りていただいて正常化する方針で進めることとなりました。そこで、速やかに訴訟を提起したところ、特に反論はなく勝訴したため明け渡しの強制執行の手続に進みました。
執行官が現地にきて明渡催告まで行い、次回は断行になるというところで初めて債務者から連絡があり、生活保護の受給を検討しているとのことでした。
「明渡催告」→〇月〇日までに退去しないと強制的に退去させますと、という裁判所執行官からの予告であり、家のドアなどに紙が貼られます。この紙を無断ではがすだけで刑罰の対象となります。
「断行」→強制的に退去される手続です。先日、保証会社職員と執行官が刺される事件がありましたが、身の危険を感じることもある手続であるため、可能な限り断行まで進まない方が良いです。
3 解決方法
(1)従前の賃貸借契約はいったん解除し、改めて賃貸借契約を締結するが今後の家賃は生活保護の係から直接大家さんに送金する。
(2)それまでに発生していた未払い賃料や訴訟費用などは長期の分割で支払う。
という上記の2点で和解が成立し、債務者は退去しないまま継続して居住し続けることになりました。また、未払い賃料等は生活保護(または本人のパート収入等)を原資とした返済になり生活保護の打ち切りの恐れがあることから、事前に生活保護の係の担当者にも話をして了承を得ました。
最終的に、債務者はこれまでどおり居住し続けることができ、さらに大家さんとしては未払い賃料に加えて訴訟費用なども全額回収できましたので、こういった事案には珍しく双方にメリットがある解決ができたと思います。
なお、繰り返しとなりますが、生活保護を受給している方からの債権回収はほぼ不可能であり、同様のご相談があったとしてもご依頼をお受けすることはできませんので、あらかじめご了承のほどお願いいたします。













