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6月 4th, 2018

6月 04 2018

相続人に対する明渡及び賃料請求

先日,相続人に対する未払い賃料及び明渡しの請求手続が終わりました。通常,明渡しと言えば賃借人の方が賃料を滞納してトラブルになるケースが多いのですが,賃借人が亡くなってしまい,そのまま賃料が未払いとなってトラブルになるケースもあります。

件数としては多くありませんが,相続人に対する明渡しもそれなりにありますので,今日はこの点についてまとめてみたいと思います。

 

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1 賃借人(入居者)が亡くなっても当然に賃貸借契約は消滅しない

 

人が亡くなると,亡くなった方の財産や負債は相続人が相続することとなります。また,一部の例外を除き,契約関係や地位についても相続することとなります。

一部の例外とは「一身専属権」と呼ばれるもので,扶養請求権や雇用契約の地位などいくつかありますが,一番わかりやすいのは運転免許や医師などの資格関係だと思います。運転免許を持っている方が亡くなってもその相続人である子どもが運転できることにはなりませんし,医師の子どもが手術できるようにはならないですよね。

 

このような例外を除いたその他の権利,義務,地位などはすべて相続の対象となります。具体的には,今回のようなアパートの賃借人(権利的に言えば「賃借権」)の地位は相続の対象になりますし,不動産の買主や売主といった地位についても相続の対象になりますし,保証人の地位も相続の対象になります。

もし,賃借権が相続の対象にならないとすると,例えば夫名義で借りていたアパートについて,夫が亡くなってしまった場合,妻や子どもは何も契約がないのにアパートに住んでいることになってしまうので出ていかなければならないことになってしまいおかしなことになってしまいます。

 

といことで,アパートの賃借人が亡くなっても賃借権は相続人に承継されることになり,賃貸借契約の解除事由(家賃の滞納や無断転貸,用法違反など)が無ければ相続人に退去を求めることはできないこととなります。

 

2 相続人全員を探し出す必要があります

 

さて,賃借権が相続されるとして,大家さんとしては誰と話をすれば良いのでしょうか。

この点,民法及び最高裁判決により,賃貸借契約を継続するのか終了するのかについては原則として相続人全員と話し合う必要があるとされています(民法544条1項最判昭和36年12月22日)。したがって,明渡しを請求するためには賃借人の相続人を全員探し出さなければなりません。具体的には,亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本等を取得して調査する必要があり,相続関係によっては亡くなった方の両親の出生から死亡まで取得しなければならないこともあるため膨大な量の戸籍謄本等が必要になるケースもあります。そこまで相続関係がややこしくなってしまうと,専門家の力を借りないと相続人を見つけ出すのは難しいかもしれません。

なお,例外としては,相続放棄をされている方は関係ありませんし,遺産分割により特定の相続人が賃借権を相続することになっているのであればその方とのみ話し合えば良いということになります。

 

3 賃料等については場合分けをして請求

 

賃借人が生前滞納していた賃料債務については相続人に対して請求することになりますし,賃借人が亡くなったあとも部屋が明渡されていないのであればその分の家賃も相続人に対して請求することになります。

一見すると同じような感じですが,法的には生前の賃料と死亡後(相続発生後)の賃料は分けて考える必要があります。

 

(1)生前の滞納賃料

賃借人が亡くなるまでに生じている賃料については,相続人が相続することになる訳ですが,金銭債務のように単純に割れるものを可分債務(可分債権)と呼び,相続人が法定相続分に応じて分割して相続することになります。

例えば,生前の滞納賃料が20万円であり,相続人が賃借人の妻と子ども2名だった場合には,妻が10万円の負債を,子どもが各5万円ずつの負債を相続することになります。

 

(2)相続発生後の賃料

相続発生後の賃料も金銭債務であるため割れるような感じがしますが,そもそも賃借権というのは単純に分数で割れるものではありません。上記の例でいえば,賃借権全体として,半分を妻が,子どもが残りを相続するのであり,各相続人はすべてを利用することが可能です。決して,「妻が寝室とキッチンを,子どもがリビングとトイレを相続する。」というように分割されるものではありません。このように単純に割れないものを不可分債務(不可分債権)と呼び,賃借権という不可分債権から生じる債務については不可分債務になると考えられています。

そして,不可分債務は基本的には連帯債務と同じです(民法430条)。

ということで,相続発生後の賃料に対して,相続人全員に対して全額請求できることになります。

 

(3)賃料相当損害金

純粋な賃料ではありませんが,相続発生後に賃貸借契約が解除されたにもかかわらず明渡がされない場合は,賃料と同額(場合によってはそれ以上)の金額を損害金として請求することができます。

この損害金についても不可分債務であり,(2)と同様,相続人全員に全額請求できることになります。

 

4 実際の事例

先日無事完了した事例を基に具体例を記載いたします。ただし,事件の特定を防止するためにフィクションが入っております。

 

(1)明渡しのご相談

大家さんが賃借人が亡くなったという連絡を受け,相続人のうちの1名に対して,「もし今後誰も利用しないのであれば室内の荷物などを搬出してほしい。また,半年程度の家賃の滞納があるのでこれも支払ってほしい」旨の話をしたそうです。しかし,相続人はのらりくらりと話を進展させず,相続発生後の家賃はもちろんのこと,生前の滞納家賃についても支払いがありませんでしたので当事務所にご依頼がありました。

 

(2)相続人の調査

上記のとおり,生前の滞納賃料については法定相続分で分割して請求しなければなりませんし,契約の解除を進めるためには相続人全員を探し出さなければなりませんでしたので戸籍謄本等の調査を行いました。

 

(3)相続人に対する請求

調査の結果判明した相続人に対して,未払い賃料の請求及び賃料の支払いがない場合は契約を解除する旨の通知を行いました。この通知が届かないケースが結構ある中,相続人全員に無事配達されました。

 

(4)相続人との交渉

相続人の代表の方より連絡があったことから交渉を行いましたが,「自分たちは契約当事者ではないから1円も支払うつもりはない」,「家具が残っていたとしても人は住んでいないのだから明渡しは完了している」など,無理筋の主張を繰り返されて一向に話が進まず,残念ながら交渉で解決することはできませんでした

 

(5)賃料の支払い及び明渡しを求める訴訟提起

相続人全員に対して賃料及び明け渡しを求める訴訟を提起しました。判決や強制執行までいくと時間も費用もかかりますので,訴訟を提起したとしてもできる限り和解で解決したいと考えていました。また,相続人全員と交渉するのは大変なので,できれば弁護士や司法書士を代理人として選任してもらえると助かるなぁなどと考えていたところ,本当に相手に代理人が選任されたため,代理人と交渉をすればよくなりました。

 

(6)和解成立

相続人の代理人と交渉を行ったところ,こちらが訴訟を提起した後に室内の動産等は搬出が終わっており,多少の減額したものの滞納賃料についても一括で支払う内容で合意しました。

 

(7)明渡しの確認と金銭の授受

相続人の代理人とともに物件の明渡しが完了していることを確認し,裁判所において未払い賃料を現金で受領して無事和解成立となりました。

 

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あくまで私の経験上だけでの話ですが,賃料が未払いとなって明渡しを請求する場合,そもそもお金がないから未払いとなっているため,裁判になってもなかなか未払い賃料は回収できません。

しかし,相続人に対する請求の場合は,頭数が増えるということもあり回収率はかなり高いと思います。

ということで,入居者が亡くなった場合の退去についてお困りの際にはぜひご相談ください。

 

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6月 04 2018

【司法書士の債権回収最前線】目次

当ブログ「司法書士の債権回収最前線」の記事一覧表です。

 

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