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家賃滞納

3月 07 2022

断行直前まで行って和解したケース

建物明渡しの手続を行った場合、任意の交渉で明け渡してもらえるケースは少なく、強制執行の申立てをして明渡催告(いつまでに退去してください。退去しない場合は強制的に明け渡してもらいます。)という強制的に明け渡してもらう予告をする手続をした後に急いで明け渡してくれる方もいれば、断行(搬出業者等に来てもらい、強制的に荷物を搬出して明け渡してもらう。)という手続まで行きます。強制執行の申立てをした後は、任意に明け渡していただくか、強制的に明け渡していただくかの違いはあっても、結論としては明け渡してもらうことになります

ただ、今回は断行の寸前まで行ったものの、結果として明渡しを求めずに、和解をしてそのまま居住してもらうという解決になりましたので、まとめてみたいと思います。
なお、事件の特定を防ぐため、一部フィクションが入っております。

 

 

1 未払賃料の支払催告及び解除通知

数年間、家賃が未払いになっておりましたので、未払賃料の支払いを催告し、支払いが無い場合は賃貸借契約を解除する旨の通知を送りました。
こちらについては、相手方に配達されたものの特に連絡がないまま期限が過ぎてしまったため、契約は解除となりました。

 

2 未払い賃料支払い及び明渡し請求の訴訟

数年分の未払い家賃及び明渡しを求める訴訟を提起しました。さらに、明渡しまでの賃料相当損害金も請求しております。

 

3 判決

相手方に送達されたもののまったく反応はなく、口頭弁論期日にも出廷しましせんでしたので勝訴となりました。

 

4 最終通知

明渡の強制執行をするためには判決が確定しなければならないことが多い(ほとんどのケースで明渡しに仮執行宣言は付されない)ので、この期間を無駄にしないため、このままだと強制執行になってしまうから連絡がほしい旨の通知を送付しましたが、まったく反応はありませんでした。

 

5 強制執行の申立て

判決が確定した後、すぐに強制執行の申立てを行いました。

 

6 明渡催告

裁判所の執行官や大家さん(依頼者)、鍵を開けてもらうための開錠業者さんなどとともに当該物件を訪ねましたが、本人は不在でした。
ただ、外から見ただけでもゴミの山になっていることが明らかであり、住んでいる気配がまったく感じられなかったので、比較的近い日付で断行の日を設定してもらい、執行官が告知書を玄関に貼って明渡催告は終了となりました。

 

7 一転して和解

上記の告知書を見たと思われる入居者から当事務所宛に連絡がありました。住んでいる気配はなかったのですが、住んでいたんですね…。
とはいえ、ここまで手続が進んでしまっているのでここで強制執行の申立てを取り下げるという選択肢は通常はとらないのですが、

入居者が近い将来、生活保護を受ける予定であり、確実に家賃が支払ってもらえる(役所から直接大家さんに家賃相当額が送金される。)

大家さんとしてもその家をすぐに使う予定はなく、室内のゴミの処分にも100万円単位の費用がかかると思われるところ、時間をかけて本人に処分してもらえればゴミの処分費用が抑えられる。

入居者としても住み慣れた家から転居する必要がない。

今後家賃を滞納することは考えられないので賃料未払いで退去を迫られることはない。

という双方にメリットがあったので、無事和解にて解決となりました。

 

 

当事務所の費用について、最終的に明渡しはされておりませんので明渡しに関する成功報酬は発生していませんが、強制執行の申立てまでの手続は進んでおりますので、それらの手続に関する費用は発生してしまっております。当初から連絡をもらえれば、時間も費用もかけずに解決できたので、もっと早く連絡をしてほしいというのはありますが、なにはともあれ解決できて良かったです。

 

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1月 04 2022

建物明渡の実例(断行まで進むも不在で終了)

先年末に建物明け渡しが完了しましたので、大まかな流れをまとめたいと思います。従前同様、手続上重要ではないところについては事件の特定を避けるため一定程度フィクションが入っております。

 

1 事案

ご相談いただいたのは、家族で暮らすような2LDKのアパートで数年に渡って家賃を滞納されておりました。当初は滞納されるたびに保証人である親族に連絡すると払ってくれていたのですが、ついに親族からこれ以上は援助できないとのことでしたので、解除に向けて動くこととなりました。

これまでに入居者自身が家賃を支払うことはほとんどなく、相手の方の勤務先も「夜の商売」ということくらいしか情報が無かったため、家賃の回収は保証人からできる限りの額を、入居者についてはどのような理由があったとしても早期の明渡しを進めるということでご依頼いただきました。

 

2 入居者及び保証人への通知

家賃を滞納していてもすぐに明け渡しを求めることはできず,明け渡し請求の前提として、まずは未払い賃料を請求し、それでも賃料の支払いが無いとなって初めて賃貸借契約を解除ができ、明渡しを求めることができます。

これは、賃貸借契約の解除は賃借人の生活の本拠を奪うことになるため、簡単には解除はできないようになっています。

ただ、すでに数年分の滞納があり、保証人も支払うつもりは無いとの回答がありましたので、通知を送っても支払われることは無いと思っていました。

解除の基準の詳細についてはこちらをご覧ください。 → 賃料未払いの場合の解除の基準

 

また,解除の通知は相手方に届く必要があり,訴訟手続においても届いたことを立証する必要がありますので,通常は内容証明郵便(配達証明付)で送付しますが,これに加えて特定記録でも同内容の書面を送付します。これは,相手方が日中常に留守にしているとのことでしたので内容証明郵便を受け取らないということも十分考えられることから,内容証明ほどの証明力は無いものの,とりあえずいつ相手の住所に配達された(受取ではなくあくまで配達)ことは証明できるからです。

ただ、今回の事案では内容証明郵便が届きましたので、この点は特に問題ありませんでした。

 

 

3 訴訟提起~判決

相手方に内容証明郵便が届きましたが、予想通り支払いはありませんでしたので、入居者及び保証人を相手方として訴訟を提起しました。

この点、保証人には裁判所からの書類が届いたのですが、入居者が受け取らなかったため裁判所からの指示を受けて現地調査を行いました。その結果、入居者が居住していることが分かりましたのでその旨を裁判所に報告し、「書留郵便に付する送達(付郵便送達)」にて手続を進めました。

送達についてはこちらをご覧ください。→ 想いよ届け!【書類の送達】

 

裁判の期日において、保証人は出廷したため保証人と未払い賃料の支払いについて和解が成立し、入居者は出廷しませんでしたのでこちらの言い分をすべて認めたこととなり勝訴判決となりました。

 

4 再度の通知

強制執行となると、強制執行に関する裁判所や当事務所の費用に加えて、荷物の搬出費用や保管費用、鍵の開錠費用などたくさんの費用がかかるため、判決に基づき任意の明け渡しを求める通知書を送付し,回答を待ちましたが連絡はありませんでした。

 

5 明渡し及び動産執行の申立て

まったく連絡が取れず任意の明け渡しが期待できないことから、明渡し及び室内の動産を差し押さえる動産執行の申立てをしました。なお、訴訟手続と異なり、強制執行に関しては司法書士は書類の作成はできるものの代理人にはなれないため、強制執行の際には大家さんもしくは関係者に立ち会っていただく必要があります。今回は、大家さんの親族の方に立ち会っていただきました。

 

6 明渡催告

 

強制執行になってもいきなり退去を迫るわけでは無く、1か月弱の猶予を与えて退去を求める「明渡催告」をまずは行います。

今回、明渡催告に行ったところ、入居者が在宅であり、久しぶりに話ができました。入居者としては話し合いをしたいとの希望でしたが、これまでに何度も裏切られてきているので少なくとも今後も居住し続けるという点について拒否し、もし早期かつ任意に退去してもらえるのであれば未払い賃料等については柔軟に対応する旨を伝えました。

 

7 断行及び動産執行

明け渡し催告から1か月弱の日を断行日と指定され,その前日までに明け渡すよう催告がされていましたが,任意の明け渡しはされませんでした。といいますか、まったく連絡が取れない状況が続きました。従前の話だと、入居者も断行日には室内にいるとのことでしたが、時間になっても応答は無く、開錠業者さんに鍵を開けてもらって室内に入ってみると、大量のごみ以外の家具等(タンス、テレビ、冷蔵庫、洗濯機等)についてはすべて搬出済みでした。

したがって、断行という強制的な手続で終わることになったものの、実際には不在でしたので特に揉めることなく明渡しは完了となりました。

 

8 トータルの費用

今回、当事務所の費用及び裁判所に支払う費用等の実費を合計すると、明渡しに関する費用としては50万円程度となりました。ただし、今回は未払い賃料の回収ができておりますので、その分の成功報酬がかかる代わりに、そこから費用をいただいておりますので大家さんから直接費用はいただきませんでした。

ただ、それよりも大変なのが原状回復費用になると思います。原状回復費用は強制執行にかかわらず、すべての賃貸借契約において関係する話ですが、強制執行で退去せざるを得ない人がきれいに室内を保っているはずもなく、それでいて原状回復費用を支払ってくれることは考えられませんので、室内の状況次第では原状回復費用の負担が大きいケースもあると思います。

 

以上、明渡の実例でした。

 

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9月 18 2021

未払い賃料を保証人から全額回収。でも今後は注意。

賃貸借契約を締結される際、最近だと家賃保証会社との契約が必須になっているところもあり、そのような場合には個人の保証人は無しで契約できるとことも多いかと思います。

一方で、昔ながらのところだと親族や知人を保証人にしてもらい、賃貸借契約を締結することもまだまだ多く存在すると思います。

 

先日、賃借人本人が支払わらず、数年分の未払い賃料の支払いを求めて賃借人本人及び保証人も合わせて訴えを提起し、最終的には保証人から数年分の未払い賃料全額を回収することができました。

従前であれば特筆すべきことは特に無いのですが、法律改正によって変わった部分もありますので、この点についてまとめたいと思います。

 

 

1 従前の契約は青天井

上記のとおり賃貸借契約を締結する際に保証人をつけてもらった場合、賃借人本人が賃料を支払わない場合は、保証人に対して全額請求することができます。また、賃料に限らず、明渡しの際の原状回復費用なども請求することができますし、賃貸借契約の中で特別な定めがない限り、金額も関係なく全額請求することができました。

また、通常は賃貸借契約は短いと1年程度、長くても4年程度になっていることが多いと思いますが、ほとんどのケースで契約期間満了後も自動的に更新するような内容になっていると思います。その場合も、特に保証人と改めて契約をしなくても、引き続き請求できるような内容になっております。

 

2 民法改正

昨年(令和2年)4月1日に民法の一部が改正され、保証人に関することについて大きく変更されました。

大きな枠組みとしては、こちらにまとめております。

→ 令和2年4月1日の民法改正について

 

また、賃貸借契約の保証に関する部分については、こちらにまとめております。

→ 賃貸借契約における保証人に関する改正

 

端的にまとめると、

根保証契約に関する保証人が保証すべき金額の上限(極度額)を定めなければならず、その定めがない場合は保証自体が無効になってしまう。

極度額を定めた場合は、極度額を超える金額は保証されない

賃借人や保証人が死亡した場合には、その時点で保証契約が終了し、その後の賃料等は保証されない。

賃貸借契約が自動的に更新される場合は、従前の保証契約は有効ですが、合意による更新(更新に当たって再度書類を作成する場合等)については、改正後の民法が適用される。

となります。

 

このうち、一番重要なのは①であり、定めが無ければ保証人自体が不存在となってしまいますので、かなり大きな問題になってしまいます。

また、④については現在契約中のすべての契約に関わってくる話ですので、すぐに問題にはならないかと思いますが、自動更新ではない場合は改正後の民法が適用されますので、更新の際に極度額を設定しなければなりません。

 

最初に記載した保証人から回収した事案については、令和2年4月以降に更新されているものの更新に当たって特に書面を交わしておらず自動更新だったため、保証人に対して数年分の未払い賃料を請求することができました

このように、更新によって保証人に対して請求できなくなる可能性もありますので、この点は十分確認をしていただき、お取引のある管理会社や仲介会社にご確認いただいた方が良いと思います。

 

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5月 27 2021

駐車場代の滞納で不動産を失う…

先日、駐車場の滞納による、賃料の回収及び明渡し手続が完了いたしました。

約1年に渡る手続きとなりましたが満額以上の回収ができ、最高の結果になったと思います。すべてのご依頼がこのように上手く行くわけではありませんが、こういうケースもあるということで記載してみたいと思います。ただし、事件の特定を防ぐため、フィクションも入っています。

 

 

1 未払い賃料の請求及び明渡の催告

 

賃貸借契約に限った手続ではありませんが、賃料未払いを理由として賃貸借契約を解除するためには、未払い賃料の請求及び支払いがない場合は契約を解除する旨の催告をする必要があります(民法541条)。

さらに、賃貸借契約における特殊事情として、一般的には1か月分の延滞では解除はできず、最低でも3か月以上は滞納していないと解除は難しいとされています。

詳細はこちら → 賃料未払いの場合の解除の基準

 

今回は、3か月どころか年単位で延滞していたため、この点はまったく問題ありませんでした。

 

2 訴訟提起及び判決

催告をしたものの反応は無かったため訴訟を提起しました。さらに、相手方は裁判所の呼び出しに応じることは無く裁判を欠席したためすぐに勝訴判決が出ました。

なお、賃貸借契約書に、「契約解除後の賃料相当損害金は通常の賃料の2倍になる」旨の規定があり、こちらも認められました。つまり、賃料が仮に5万円だった場合に、契約解除後も明け渡しをしない場合は毎月10万円を請求できることになります。

 

3 明渡しの強制執行

住居の明渡しに関する強制執行は、生活の本拠を強制的に奪うことになるため慎重に進められるのですが、今回は駐車場の明渡しであったため初回の期日で明渡しが完了しました(ただし、一定期間に限り自動車を取りに来た場合は引き渡せるよう保管をしました。)。

駐車してあった自動車は数年前に車検が切れており、執行官からは無価値と判断されたため、保管期間経過後はこちらで処分して良いこととなりました。

自動車の処分については無料で引き取ってくれる業者さんがいるため、こちらについては費用を気にする必要はあまりなく、裁判所に納める強制執行の費用の数万円だけで済むこととなります。

 

4 執行費用額確定処分

あまり大きな金額ではありませんが、それでも数万円の費用がかかるため、自動車の明渡しに関する費用を確定するための手続を行います。これをしておくと、相手方の財産を差し押さえたときに、明渡しの強制執行に関する費用も回収することができます

 

5 不動産競売の申立て

実は訴訟を行っている時点で、相手方には相続で取得した不動産があることを突き止めていました。また、税金の滞納による差し押さえが入っており、すぐには売却されないであろうこともわかっていました。

これを受けて、知り合いの任意売却等を行う不動産業者に相談したところ、税金の滞納分を差し引いても全額回収できる可能性が極めて高いということで不動産競売の申立てを行いました。

不動産競売は、申し立てをする時点で70万円以上の費用を立て替える必要がありますし、申し立てをしてから回収できるまでに半年以上の時間がかかってしまいますが、資産価値さえあればかなり高い確率で回収できるため、不動産を見つけたときはすぐに依頼者に連絡しました。また、すべてではないものの70万円以上の費用も大部分は回収できますので、実質的な費用負担はそれほど大きくありません。

 

6 開札直前での任意売却

不動産競売の手続が着々と進んでおり、すでに入札も始まっていました。あと数日で開札というタイミングで、とある不動産業者が買い取り、全額を支払うので差し押さえを取り下げてほしいとの連絡がありました。これを受けて、上記のとおりの裁判所に納めた費用、明渡しの強制執行の費用、滞納していた賃料、さらには解除から明渡しまでの2倍の賃料相当損害金に至るまで完全に回収し、競売は取り下げました

 

 

当初は、未払いの賃料の回収はかなり難しいということで手続が始まっており、数十万円の赤字になることを想定してスタートしたのですが、賃料どころか賃料相当損害金まで回収できたことによって、当事務所の費用を控除しても80万円以上のお金が手元に入りましたので手続としては大成功だったと思います。

ところで、駐車場の賃料となると通常のアパートやマンションと比べるとそれほど大きな金額ではありませんので、滞納が年単位になったとしても100万円単位にはなりません。そんな金額なのに、相手方はなぜ不動産を失うまで放置していたのか今でも謎のままです。

 

最後に、訴訟手続や相手方との交渉は司法書士の代理権の範囲内ですが、明渡しの強制執行や不動産競売の申立てについては書類作成のみでの関与となります。このうち、明渡しについては私は代理人ではありませんので、賃貸人(依頼者)の方に立ち会っていただく必要がありますが、不動産競売は申立てをしてしまえばあとは裁判所が手続を進めてくれるので書類作成だけでも特段不都合はありません。

 

以上、未払い賃料の回収についてでした。

 

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8月 18 2020

駐車場の明渡し

当事務所では,アパートやマンション等の明渡しに加えて,駐車場(いわゆる青空駐車場やガレージ等)についても明渡手続を行っており,先日もガレージの明渡手続を進めさせていただきました。

 

駐車場の明渡しの場合,当事務所でお受けするケースでは車検が何年の前に切れた車両が放置されているというものが多いです。
この場合,そもそも自動車の持主は自動車が不要だと思われるため,引き揚げを求めても応じてもらえないことや連絡自体が取れないことも多いです。となると,残念ながらあとは法律上の手続に乗せるしかなく,裁判をして判決を得た上で強制執行を進めるということになります。

 

駐車場の明渡しの場合は概ね以下のような流れとなります。

 

(1)未払賃料の督促及び賃貸借契約の解除予告
延滞している賃料の支払い及び支払が無い場合は賃貸借契約を解除する旨の通知をします。

 

↓ およそ1か月後

 

(2)訴訟提起

相手から連絡があって任意の話し合いができれば良いのですが,できないことの方が多いため訴訟になります。

 

↓ 1~2か月後

 

(3)口頭弁論期日(裁判)
訴訟を提起した後に裁判が開かれます。ただ,開かれる前提として相手方に裁判所からの書類が届いている必要があり,書類が届かない場合は現地調査をして,付郵便送達や公示送達で進めていくことになります。
※送達についてはこちら

 

↓ 2週間~1か月後

 

(4)判決
反論が出ることはほとんどないため勝訴判決となります。

 

↓ 2週間~1か月後

 

(5)確定
仮執行宣言が付されていることもありますが,念のため当事務所では判決の確定まで待ちます。また,その間に相手方に対して最後の通知を出します。

 

↓ 1週間後

 

(6)強制執行の申立て
駐車場の明渡し及び動産執行の申立てを行います。
名古屋地裁の場合は9万円(明渡し6万円,動産執行3万円)の予納金を納める必要があり,手続終了後に余ったお金が裁判所から返還されます。

 

↓ 1週間~1か月後

 

(7)明渡し
裁判所の執行官立ち合いのもと,駐車場の明渡しを行います。相手方が来れば運んでもらうことになりますが,普通は来ませんので,業者さんに引き揚げてもらうことになります。
ゴミのような状態にある自動車と判断されればその場で引き揚げてもらうこともできますが,そうでない場合は2週間程度保管したうえで,それでも相手方が引き取らない場合に処分しても良いということになっております。ただし,高級外車等の価値がある自動車であればこのような簡易な処分ではなく,別途自動車執行の申立てをする必要があります。当事務所では,高級外車が放置されているケースに当たったことはありませんので,現時点では自動車執行の申立てをしたことはありません。
なお,自動車の引き揚げに要する費用は貸主の負担となりますが,少なくとも私が手続に関与させていただくケースでは,業者さんが無料で引き揚げてくれるので,引き揚げに際して費用がかかったことはありません。

 

(8)鍵の交換
青空駐車場であれば関係ありませんが,ガレージの場合は,相手方から鍵を回収することができませんので鍵を交換していただく必要があります。

 

 

以上の次第で,駐車場の明渡しに関しては,早くてもご依頼いただいてから3~4か月はかかるということになります。
また,費用については,こちらに記載のとおりとなりますが,一般的には当事務所の報酬に加えて,裁判所に納める費用や業者さん(開錠業者や自動車査定業者など)に支払う費用を含めたトータルで25万円~50万円の範囲内になると思います。この金額の差は,未払いとなっている賃料の金額や相手方と連絡が取れるかどうか,自動車の引き揚げに要する費用がかかるか等によって変わってくることになります。

 

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9月 18 2019

賃貸借契約における保証人に関する改正

先日,平成28年から建物明渡及び賃料請求の手続を進めていた件について,無事全額回収して終了いたしました。

 

 

この判決文に記載のある「被告ら」となっているのは,賃借人と保証人の双方を含んだ表現であり,約92万円を支払う内容になっていますが,実際には遅延損害金なども含めて保証人から150万円近く回収しております。

このように,現状では賃貸借契約についての保証人となってしまうと,契約から生じる様々な債務について際限なく負担しなければならないことになっております。大家さんとしてはその方が回収可能性が高まるので良いのですが,実はこのような保証契約に関して法律の改正が予定されております。

今日はこの点について,まとめたいと思います。

 

現在の規定

 

現在の保証に関する条文は,以下のとおりとなっております(一部抜粋)。

 

【民法446条】

保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない

【民法447条】

保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。
保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。

 

つまり,保証契約は書面でする必要があり,利息や違約金,損害賠償債務なども丸っと負担することになっています。

 

したがって,上記の判決にあるように,滞納している家賃に加えて,明渡しまでに発生する賃料相当損害金についても保証人についての支払い命令が出ています。こうすることで,例え賃借人が逃げてしまっても保証人から回収する道が残されています。もちろん,保証人にも逃げられてしまった場合には,なかなか回収は難しくなります。

 

改正の内容

 

実は民法の改正は近時たくさん行われており,つい先日も相続に関する改正がなされたばかりです。

→ 令和元年7月1日からの相続法改正の施行について

 

そして,今回は債権法と呼ばれる分野の改正法が令和2年4月1日から施行されることになっております。この改正法は保証だけでなく,瑕疵担保責任から契約不適合責任などたくさん改正があるのですが,今回は賃貸借契約に関する保証の部分だけ記載いたします。

 

1 上限の定めのない根保証契約は無効!

根保証とは,一定の取引から生じるすべての債務について保証するというものです。一番分かりやすいのは上記のとおり賃貸借契約から生じる保証契約であり,滞納した賃料だけではなく,建物の原状回復費用や損害賠償債務なども保証することになるので,保証人としては保証契約をした時点ではどれくらいの金額を保証しているのか確定しません

 

一方,例えば住宅ローンの保証人となった場合,最大でも借りた金額+利息等となりますので,ある程度保証する金額が確定します。このような通常の保証契約は今回の改正の対象には含まれておりません。

 

これまでと同様に,上限金額を決めないで根保証契約をした場合には根保証契約自体が無効になります。つまり,保証人が存在しない状態になるということになりますので大問題です。

 

ということで,根保証契約を締結する場合は,具体的な上限金額を決めなければなりません。

例えば,「100万円を限度に保証する。」,「月額家賃の10か月分(総額100万円)を限度に保証する。」などと定める必要があります。なお,法律上上限額に関して定めはありませんが,仮に「月額家賃の1万年分」などと定めてしまうと,事実上上限がないので無効になってしまう可能性があります。当然ながら裁判例などはありませんので具体的な金額は難しいのですが,最大でも月額家賃の2~3年分程度くらいにしておいた方が良いかと思います。

 

2 上限を超えた場合は保証が及ばない

当たり前の規定となりますが,極度額を超える金額については保証人に請求することはできません。上記の例で言うと,仮に120万円の滞納家賃があったとしても,20万円については保証人に請求できないということになります。

 

3 特別な事情による保証契約の終了

現行法においては,保証人が死亡した場合,保証人の相続人が保証債務を相続することになります。本件とは直接関係ありませんが,過去に当事務所では,ご自身は一度も借金をしたこともないし,誰かの保証人にもなったことがないのに自己破産の手続を進めたことがあります。これは,ご自身の父親が保証人になっており,その父親が亡くなったことから,保証債務を相続したことによるものです。

 

話を戻し,このように「保証人の死亡」というものは保証契約の終了事由にはなっておりませんし,金額を確定する事由にもなっておりません。

しかし改正法においては,保証人が死亡した場合,保証債務を相続することは変わりがないものの,保証する金額が死亡時点で確定することになっています

例えば,保証人が死亡した時に,賃借人に3か月分の家賃の滞納があった場合は,保証人の相続人は3か月分の滞納家賃は支払う必要がありますが,それ以降の分については支払う義務がありません。

 

また,上記については,保証人の死亡のみならず賃借人の死亡にも該当します。つまり,賃借人が死亡した時に3か月分の滞納があった場合,それ以降の家賃については保証人は支払い義務を負いません。なお,勘違いしそうになりますが,賃借人が死亡した場合,賃借人の相続人が賃借権を相続することになりますので,原則として賃貸借契約はそのまま継続することになります。もっとも,上記のとおり,保証契約は賃借人の死亡時点で保証額が確定することになりますので,別途保証人の追加を求められることになると思われます。

 

4 賃借人の情報提供義務

事業用(店舗や事務所等)の賃貸借契約に限定されますが,賃借人は保証人に対して財産の状況や他の債務の有無などについて情報提供する義務があります。

もし,正確な情報提供をせずに保証人が保証契約を締結した場合は,保証契約を取り消される可能性があります。したがって,大家さんとしては,保証契約書の中に,「債務者が保証人に対して適切な情報提供を行い,保証人は当該情報提供に納得した上で保証契約を締結した」というような文言を入れておくべきだと思います。

なお,保証人が会社(例えば,家賃保証会社など)の場合には適用されません

 

5 経過措置

上記の改正法は,施行日(令和2年4月1日)時点で有効な契約については,従前のままとなります。したがって,現在契約中のものについて契約書を作り直す必要はありません。しかし,一般的には契約は数年に一度更新の時期を向かえますので,その時に上記のような改正法を踏まえた契約書に変更しておかないと,保証契約が無効になるなど大変なことになってしまう恐れがありますので注意が必要です。

 

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6月 04 2018

相続人に対する明渡及び賃料請求

先日,相続人に対する未払い賃料及び明渡しの請求手続が終わりました。通常,明渡しと言えば賃借人の方が賃料を滞納してトラブルになるケースが多いのですが,賃借人が亡くなってしまい,そのまま賃料が未払いとなってトラブルになるケースもあります。

件数としては多くありませんが,相続人に対する明渡しもそれなりにありますので,今日はこの点についてまとめてみたいと思います。

 

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1 賃借人(入居者)が亡くなっても当然に賃貸借契約は消滅しない

 

人が亡くなると,亡くなった方の財産や負債は相続人が相続することとなります。また,一部の例外を除き,契約関係や地位についても相続することとなります。

一部の例外とは「一身専属権」と呼ばれるもので,扶養請求権や雇用契約の地位などいくつかありますが,一番わかりやすいのは運転免許や医師などの資格関係だと思います。運転免許を持っている方が亡くなってもその相続人である子どもが運転できることにはなりませんし,医師の子どもが手術できるようにはならないですよね。

 

このような例外を除いたその他の権利,義務,地位などはすべて相続の対象となります。具体的には,今回のようなアパートの賃借人(権利的に言えば「賃借権」)の地位は相続の対象になりますし,不動産の買主や売主といった地位についても相続の対象になりますし,保証人の地位も相続の対象になります。

もし,賃借権が相続の対象にならないとすると,例えば夫名義で借りていたアパートについて,夫が亡くなってしまった場合,妻や子どもは何も契約がないのにアパートに住んでいることになってしまうので出ていかなければならないことになってしまいおかしなことになってしまいます。

 

といことで,アパートの賃借人が亡くなっても賃借権は相続人に承継されることになり,賃貸借契約の解除事由(家賃の滞納や無断転貸,用法違反など)が無ければ相続人に退去を求めることはできないこととなります。

 

2 相続人全員を探し出す必要があります

 

さて,賃借権が相続されるとして,大家さんとしては誰と話をすれば良いのでしょうか。

この点,民法及び最高裁判決により,賃貸借契約を継続するのか終了するのかについては原則として相続人全員と話し合う必要があるとされています(民法544条1項最判昭和36年12月22日)。したがって,明渡しを請求するためには賃借人の相続人を全員探し出さなければなりません。具体的には,亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本等を取得して調査する必要があり,相続関係によっては亡くなった方の両親の出生から死亡まで取得しなければならないこともあるため膨大な量の戸籍謄本等が必要になるケースもあります。そこまで相続関係がややこしくなってしまうと,専門家の力を借りないと相続人を見つけ出すのは難しいかもしれません。

なお,例外としては,相続放棄をされている方は関係ありませんし,遺産分割により特定の相続人が賃借権を相続することになっているのであればその方とのみ話し合えば良いということになります。

 

3 賃料等については場合分けをして請求

 

賃借人が生前滞納していた賃料債務については相続人に対して請求することになりますし,賃借人が亡くなったあとも部屋が明渡されていないのであればその分の家賃も相続人に対して請求することになります。

一見すると同じような感じですが,法的には生前の賃料と死亡後(相続発生後)の賃料は分けて考える必要があります。

 

(1)生前の滞納賃料

賃借人が亡くなるまでに生じている賃料については,相続人が相続することになる訳ですが,金銭債務のように単純に割れるものを可分債務(可分債権)と呼び,相続人が法定相続分に応じて分割して相続することになります。

例えば,生前の滞納賃料が20万円であり,相続人が賃借人の妻と子ども2名だった場合には,妻が10万円の負債を,子どもが各5万円ずつの負債を相続することになります。

 

(2)相続発生後の賃料

相続発生後の賃料も金銭債務であるため割れるような感じがしますが,そもそも賃借権というのは単純に分数で割れるものではありません。上記の例でいえば,賃借権全体として,半分を妻が,子どもが残りを相続するのであり,各相続人はすべてを利用することが可能です。決して,「妻が寝室とキッチンを,子どもがリビングとトイレを相続する。」というように分割されるものではありません。このように単純に割れないものを不可分債務(不可分債権)と呼び,賃借権という不可分債権から生じる債務については不可分債務になると考えられています。

そして,不可分債務は基本的には連帯債務と同じです(民法430条)。

ということで,相続発生後の賃料に対して,相続人全員に対して全額請求できることになります。

 

(3)賃料相当損害金

純粋な賃料ではありませんが,相続発生後に賃貸借契約が解除されたにもかかわらず明渡がされない場合は,賃料と同額(場合によってはそれ以上)の金額を損害金として請求することができます。

この損害金についても不可分債務であり,(2)と同様,相続人全員に全額請求できることになります。

 

4 実際の事例

先日無事完了した事例を基に具体例を記載いたします。ただし,事件の特定を防止するためにフィクションが入っております。

 

(1)明渡しのご相談

大家さんが賃借人が亡くなったという連絡を受け,相続人のうちの1名に対して,「もし今後誰も利用しないのであれば室内の荷物などを搬出してほしい。また,半年程度の家賃の滞納があるのでこれも支払ってほしい」旨の話をしたそうです。しかし,相続人はのらりくらりと話を進展させず,相続発生後の家賃はもちろんのこと,生前の滞納家賃についても支払いがありませんでしたので当事務所にご依頼がありました。

 

(2)相続人の調査

上記のとおり,生前の滞納賃料については法定相続分で分割して請求しなければなりませんし,契約の解除を進めるためには相続人全員を探し出さなければなりませんでしたので戸籍謄本等の調査を行いました。

 

(3)相続人に対する請求

調査の結果判明した相続人に対して,未払い賃料の請求及び賃料の支払いがない場合は契約を解除する旨の通知を行いました。この通知が届かないケースが結構ある中,相続人全員に無事配達されました。

 

(4)相続人との交渉

相続人の代表の方より連絡があったことから交渉を行いましたが,「自分たちは契約当事者ではないから1円も支払うつもりはない」,「家具が残っていたとしても人は住んでいないのだから明渡しは完了している」など,無理筋の主張を繰り返されて一向に話が進まず,残念ながら交渉で解決することはできませんでした

 

(5)賃料の支払い及び明渡しを求める訴訟提起

相続人全員に対して賃料及び明け渡しを求める訴訟を提起しました。判決や強制執行までいくと時間も費用もかかりますので,訴訟を提起したとしてもできる限り和解で解決したいと考えていました。また,相続人全員と交渉するのは大変なので,できれば弁護士や司法書士を代理人として選任してもらえると助かるなぁなどと考えていたところ,本当に相手に代理人が選任されたため,代理人と交渉をすればよくなりました。

 

(6)和解成立

相続人の代理人と交渉を行ったところ,こちらが訴訟を提起した後に室内の動産等は搬出が終わっており,多少の減額したものの滞納賃料についても一括で支払う内容で合意しました。

 

(7)明渡しの確認と金銭の授受

相続人の代理人とともに物件の明渡しが完了していることを確認し,裁判所において未払い賃料を現金で受領して無事和解成立となりました。

 

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あくまで私の経験上だけでの話ですが,賃料が未払いとなって明渡しを請求する場合,そもそもお金がないから未払いとなっているため,裁判になってもなかなか未払い賃料は回収できません。

しかし,相続人に対する請求の場合は,頭数が増えるということもあり回収率はかなり高いと思います。

ということで,入居者が亡くなった場合の退去についてお困りの際にはぜひご相談ください。

 

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5月 23 2018

建物明渡に関する和解で必ず入れておくべき条項

先日,家賃滞納の現場をたくさん見てきたという司法書士の記事がありました。

→ 家賃滞納「2千件」現場を見た司法書士「誰もが紙一重」寄り添う理由

 

過去に私が代理人として関与させていただいた件でも,入居者は70代の方で年金のみで生活されており,頼れる親族などもいなかったため,市役所の福祉課や民生委員,警察などに相談して,何とか次の生活の場を見つける努力を行いました。ただ,入居者自身が市役所等の助力をすべて拒否されてしまったため,残念ですが任意の明渡とはならずに強制執行となってしまいました。何をどうすれば正解だったのか分かりませんが,少なくとも私は大家さんの代理人であるため,やはり最終的には大家さんの利益となるべく動くしかなく難しい問題です。

 

このように任意に明け渡していただけない場合,最終的には訴訟を行ったうえで強制執行によって明渡してもらうことになってしまいますが,強制執行は大家さんにとっても入居者の方にとってもデメリットが大きいため,ギリギリまで和解を模索して任意に明け渡していただくべく交渉を行っています。

実際に,今月も訴訟を行い判決まで行きましたが,明渡しに関して話し合いが成立して任意の明渡で解決した事件がありました。ただ,それだけでは解決とはならず,後日紛争が再燃しても困るため,必ず和解書等の書面を作成することになります。

今回は,任意に明け渡していただくこととなった際に作成する和解書に必ず設けておくべき条項についてまとめたいと思います。

 

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未払い家賃の支払いに関するもの

家賃の未払いを理由に解除となることがほとんどであるため,未払いとなっている家賃の支払い方法を定めます。

 

1 未払いとなっている家賃等の総額を認める条項

訴訟を行っていればあまり関係ないのですが,訴訟を行う前だと,この条項を入れておくことで和解後に支払いがされなかったとしても金額に争いが無くなります

具体的には,

「乙(入居者)は,甲(大家さん)に対し,本件賃貸借契約に基づく未払賃料として,金○○○円の支払義務があることを認める

という内容になります。

 

2 未払賃料の支払方法

一括にしても分割にしても,和解の時点で未払い賃料が残っていれば,その支払方法を定めます。

多くの場合に分割となりますので,支払総額,毎回の支払額,支払期限(「毎月末日限り」など),支払方法(送金先の口座の情報など)を定めることになります。

 

3 遅れた場合の処理

分割払いとなった際に支払いが遅れた場合は,残金を一括で支払う旨の条項を入れます(期限の利益喪失条項)。

また,明渡しを求めるのではなく,未払い賃料と今後の賃料を支払うことを条件に賃貸借契約を継続する場合は,一度でも遅れたときは賃貸借契約が当然に解除となる条項も入れておきます。ただし,賃貸借契約の解除は簡単ではないため,この条項が入っていたとしても絶対に解除となるわけではありません。

 

明渡に関するもの

任意に明け渡してもらう場合,明渡の確認と部屋の中にある動産類の処分が重要です。

 

1 明渡の確認

すでに明渡が完了しているのであれば,「平成○年○月○日をもって明渡したことを確認する。」という条項となりますし,引っ越し作業などの猶予期間を経て明渡しがされる場合には,「平成○年○月○日をもって明渡す。」という条項が入ります。

というのは,たとえ賃貸借契約が法的に解除されていたとしても,入居者が居住し続けている以上,勝手に室内に入ることができません。もし勝手に入ってしまうと,刑事的には住居侵入罪刑法130条)に問われる可能性がありますし,民事的にも損害賠償請求民法709条)を受ける可能性があります。また,明渡したと思っていたのに,入居者の方がまた室内に戻ってくる可能性もゼロではありません。

このようなことを防ぐために,確実に入居者の方が明渡済みであることを確認する条項が必要となります。

 

2 室内にある動産の処理

基本的には明け渡してもらう際には室内にあるテレビやタンス,ベッドなどすべての動産は入居者の方に持って行ってもらうか処分してもらうかのどちらかになるのですが,現実問題としては室内に動産を放置したまま退去される方も多いです。この場合,明らかにゴミであれば勝手に処分しても問題ありませんが,そうでない場合に勝手に処分してしまうと損害賠償請求などをされる可能性も否定できません。

それに備えて,室内の動産の所有権を放棄または譲渡する条項と室内にある動産を処分しても損害賠償請求等の一切の請求をしない旨の条項を入れておきます。これが入ることで,大家さんが動産を自由に処分できることになりますので,エアコンなどの家電製品で使えるものは処分をせずにそのまま次の入居者の方に使っていただいても構いません。

 

3 処分費用

上記のとおり,大家さんが自由に処分できるとしても業者さんに依頼すればそれなりの処分費用がかかります。こちらについても,入居者に負担してもらうような条項を入れることが多いです。

そもそもお金がなくて滞納している方が多いため,処分費用を実際に回収できる可能性は高くありませんが,それでも入れないよりは入れておいた方が良い条項です。

 

以上から,任意で明け渡しの合意ができたとしても,必ず上記のような条項を入れた書面を作成し,互いに署名,捺印された方が,後日のトラブルを防止することができるかと思います。

 

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3月 12 2018

楽待(不動産投資新聞)さんからの建物明渡に関する取材

アパートや区分所有のマンションなどのいわゆる収益物件の検索サイトである「楽待」さんが運営する「不動産投資新聞」のコラムの記者さんから取材を受け,お話しした内容が先日記事になりました。

 

→ 家賃が支払われない…「3カ月」超ですべきこと

 

キャプチャ

 

 

こちらのブログに書いてあることと重複する点もありますが,賃貸経営をされるうえで役に立つ情報かと思いますので,お時間がございましたらご一読いただければと思います。

 

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11月 22 2017

断行前の明渡し

土地や建物の明渡しの強制執行を何度か行っておりますが,これまではすべて断行まで行って明け渡しを終えていましたが,今回は無事断行前に明渡しが完了しました。

 

forklift

 

そもそも,明渡の強制執行は,

 

明渡の催告 

明渡し猶予期間(約1か月)

明渡しの断行(強制退去)

目的外不動産の処分

という流れになります。

したがって,明渡の強制執行と言っても,借主はいきなり強制的に明け渡しをしなければならないのではなく,明け渡しを催告してから1か月程度の猶予時間がありますのでその間に自ら退去してくれれば業者が室内に立ち入って強制的に追い出されることはありません。また,借主自ら荷物を持っていけますので,強制的に荷物を処分されることもありません。

そしてこれは大家さん側にとってもメリットが盛りだくさんです。

仮に断行となった場合,室内の荷物を運び出すための業者さんの費用がかかりますし,その荷物を保管しておく倉庫を用意する必要もあります。加えて,残された動産の処分費用もかかりますので,安くても10万円以上,通常は数十万円レベルでかかると思います。特に住居ではなく店舗の場合は,室内の動産の量が多いうえ,特殊なもの(専用の液体や機械など)があったりするのですべての費用が跳ね上がります。

今回の事件も商売をされていたことから処分費用や倉庫の費用だけで100万円前後の費用がかかるところでしたので,断行まで行かず本当に良かったです。

 

なお,法的には上記の業者の費用や倉庫の費用,そして処分費用もすべて借主が負担すべきものです。しかしながら,家賃を払えずに退去を求める場合,借主は現実的には支払うことはできませんのでまずは大家さんが立て替えるしかありません。もちろん,その後に借主に請求して回収することになりますが,なかなか難しいのが現状です。

 

ということで,諸々の費用を考えると,断行まで行かないのは本当に助かります。ただ,本来であれば強制執行の前の訴訟の段階,さらには訴訟前の任意の話し合いの段階で退去していただけるのがベストなんですけどね。


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