10月 16 2024
証拠が無い場合
知人間での貸金の場合、貸したことは間違いないものの現金で渡しており借用書や領収書などの証拠書類がまったくないというケースがかなりあります。
早期に解決できるものではありませんが、まったく証拠がないところから訴訟手続を行ったケースがありますのでまとめたいと思います。
1 証拠書類が重要
証拠は必ずしも書類でなくても良いため、メールやLINEでのやり取りなどで証明できるようであれば問題ないのですが、具体的な金額のやり取りが無い場合は有力な証拠にはなりません。
また、証言をするという方法もありますが、双方の言い分が異なることも多いため第三者の証言であれば良いものの当事者の証言だとあまり有力な証拠にはなりません。
メモ程度でも構いませんので、書類は極めて重要です。
2 証拠書類を作る
証拠が無ければ証拠を新たに作れば良いので、毎月の返済額をかなり譲歩したうえで和解書や合意書などを作成するという方法があります。もちろん、和解や合意となりますので強制的に進めることはできませんが、月額の返済額が少額の場合は応じてもらえる可能性は高くなります。
例えば、100万円の貸金があり、最低でも月5万円は返済してほしいとお考えであったとしても、例えば1万円や5000円、極端に言えば月1000円という内容で和解したとします。相手方が遅れることなく返済を継続している場合は何もできないのですが、仮に1000円だとしても遅れる方はいらっしゃいます。また、返済金額を段階的に設定し、当初は月1000円だけど半年後からは5000円や1万円のように増額した金額を定めた場合はその段階で遅れてしまう方がいます。
通常、和解書等においては遅れた場合は一括で返済する旨の「期限の利益喪失条項」が入っておりますので、この時点で一括弁済を求めることが可能となります。
3 訴訟手続を行い有利な内容で和解する
和解書や合意書があれば訴訟において負ける可能性は低くなります。相手方が訴訟を無視した場合は判決となりますのであとは強制執行をせざるを得ないこととなりますが、相手方が裁判所に出廷してきた場合は月額1000円という低額ではなく、ある程度現実的な金額や回数で和解できる可能性が高くなります。また、裁判上和解となりますので、もし相手方が返済に遅れた場合は強制執行が可能となりますのでし、「遅れた場合はすぐに強制執行をされてしまう」というプレッシャーもありますので、支払いが遅れる可能性を低くすることができます。
もちろん、最終的には相手方の懐事情によりますので、裁判をしようが強制執行をされようが支払わないという方は存在しますが、一切証拠が無いという状況からすれば支払ってもらえる可能性は高くなると思います。
以上、証拠が無い場合の回収についてでした。