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個人間トラブル

12月 16 2016

200円の損害賠償請求

昨日,下記のようなニュースがありました。

 

以下,よみうりオンライン(http://www.yomiuri.co.jp/national/20161215-OYT1T50110.html)の記事を引用します。

 

月決め駐車場に約40分間無断駐車した女性に所有者が200円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁(比嘉一美裁判長)が女性に200円の支払いを命じていたことがわかった。

原告は弁護士をつけずに提訴。費用は5000円以上かかったが、「年間100台くらいの無断駐車があり、やめてもらうために訴えた」と話している。

14日に言い渡された判決によると、女性は昨年3月、大阪府摂津市内の駐車場に軽乗用車を無断で止めた。女性側は「駐車場ではなく空き地。車を止めたからといって所有者に損害は発生しない」と主張。比嘉裁判長は「所有者には自分の土地を承諾なく利用されない権利がある」と、これを退け、近隣のコインパーキングの料金から「40分間」の損害額を算定した。

 

引用終わり 

 

200円の請求というのはなかなか見ませんので,思うところを書いてみたいと思います。

car_parking

  
 

費用について

裁判を起こすためには,裁判所に対して訴える目的の金額(訴額)に応じて収入印紙を納める必要があり,さらに当事者に郵送するための切手を納める必要があります(余った切手は事件終了後に返却されます。)。

記事によれば「費用は5000円以上かかった」と書かれておりますので,収入印紙が1000円,切手代が約4000円になるかと思います。

ただし,勝訴した場合は,その割合に応じて収入印紙や切手代等の訴訟費用は全額相手に支払ってもらうことができます。記事によれば,200円の支払いを求めた訴訟で判決も200円を支払えとなっているそうですので,訴訟費用は全額相手に負担してもらうことができます。

加えて,裁判所に出廷した場合,交通費と日当も訴訟費用の一部として相手に支払ってもらうことができます。

交通費は裁判所までの距離によって一律で決まっており,絶望的に安い金額であるため恐らく赤字です。例えば,当事務所から岡崎の裁判所まで往復交通費は2000円以上かかりますが,交通費は300円しか出ません・・・。また,日当も一律で決まっており,1期日当たり3950円です。

もっとも,上記はあくまで「相手に請求できる」というだけであり,請求しないことも可能です。さらに,請求しても相手が払わないこともありますので,その場合は費用をかけて強制執行をして回収するしかありません。現実問題として,訴訟費用のためだけに強制執行というのは費用倒れになってしまう可能性が十分あるかと思います。

 
 

抑止力はあるのか

記事によれば,「年間100台くらいの無断駐車があり、やめてもらうために訴えた」とのことです。

しかしながら,訴訟で求めたのは200円の支払いであり,訴えられた側としては200円を支払えばそれで終わりです(ただし,上記のとおり,別途訴訟費用の支払義務もあります。)。判決が出たからといって,直ちに警察に逮捕されるわけでもありません。

この判決を逆手にとって,「訴えられたところで200円しか払わないでも良い」との認識が広まってしまうと,果たしてこの訴訟に抑止力があるのか難しいところだと思います。

 
 

なぜ地裁だったのか

140万円以下の訴訟の場合は,簡易裁判所の管轄となっており,例外的に不動産に関する訴訟や難解な訴訟などは地方裁判所に移送されることがあります。

簡易裁判所の場合,少額訴訟であれば1期日で終わるなど簡単な手続も用意されていますが,地方裁判所だと厳格な方式によって進みますので本人訴訟の当事者にとっては簡裁の方が楽ではないかと思います。

もしかしたら,上記の例に該当して移送された結果が大阪地裁なのかもしれませんが,なぜ地裁での訴訟となったのかよくわかりません。  

 
 

罰金の看板の有効性

本件とは直接関係ありませんが,駐車場などに「無断駐車をされた場合は罰金として1万円を支払ってもらいます。」というような看板があったりします。

当然,無断駐車はダメなのですが,万が一このような事態が生じたとしても,法的には罰金1万円を支払ってもらうことはできません。理由としては,そのような合意が無いからです。ただし,まったく請求できないかというとそうではなく,本件事件のように近隣の駐車場の相場などから勘案して,止めた時間に応じた損害賠償請求を行うことは可能です。費用対効果が合うかは別ですが・・・。  

 
 

無断駐車はダメなのは当たり前なのですが,現実問題として無断駐車をされてしまっても土地の所有者の方が満足するような手続がありません。したがって,三角コーンを置いたり入口にチェーンを巻くなどして物理的に無断駐車をされないような対処をしていただくしかないと思います。 

 

 

 
 

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12月 12 2016

男女間の交際に関連する費用の請求

交際されている男女間での金銭の貸し借りがある場合,交際中は特に問題ないのですが,交際が解消されることによってトラブルが生じることがあります。実際に,当事務所でご依頼いただいている事件の3割程度は男女間の金銭トラブルに関するものになります。

また,同棲をされていた男女間では,現実的なお金のやり取りではなく生活費や家財道具の購入資金を立て替えてもらったものの,その清算をしないまま一方的に交際を解消してトラブルになることもあります。

今回の事件は,現実的なお金の貸し借りではなく生活費等の清算に関するトラブルについてでしたが,無事解決しましたので手続の流れをまとめてみたいと思います。ただし,事件や当事者の特定を避けるためフィクションも含まれています。

 

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請求の内容

 

甲さんと乙は同棲しており,家賃や光熱費等の生活費は折半で負担する約束になっていたものの,乙さんがほとんど負担しないまま同棲が解消されたので,甲さんが乙さんに生活費相当額を請求するというものでした。

このような請求の場合,一般的には証拠がほとんどありません。例えば,当初の「生活費は折半」という部分について書面で合意書等が作成されることはまず無いでしょうし(もっとも,書面が無くても折半での請求は通常は可能かと思われます。),光熱費については明細などが残っているかもしれませんが,食費や日用品などについて書面が残っているということはなかなかありません。

したがって,このような請求を行うとすると,「そもそも相手に請求できるのか」,「請求できるとして,いくら請求できるのか」という点が問題となります。

今回のケースでは,このような書面は当然のごとくありませんでしたが,当事者同士で同棲解消後に「乙さんが甲さんに○○円を払う」という合意ができており,この点については書面化されていたため,請求額等については問題となりませんした。

 

手続の流れ

 

1 乙さんの転居先の住所がわかりませんでしたので,同棲していた住所の除票を取得して新住所を特定し,内容証明で書面を送付しました。乙さんから回答があり,支払義務を認めたうえで,支払回数などについて何度か交渉を重ねておりましたが,突然連絡が取れなくなり再度書面を送付しても回答がありませんでした。

 

2 支払う意思は無いものと判断し,訴訟を提起しました。証拠として合意書がありましたので,特に問題なく勝訴となりました。

 

3 乙さん自身にはほとんど財産が無いと思われますが,乙さんは派遣社員として給与を得ていることは把握していました。とはいえ,実際に給与を支払っているのは派遣元ですので,派遣先がわかるだけでは給与の差し押さえができません。そこで,当該派遣先に派遣している会社を求人情報などで探し,いくつか該当する派遣会社があったため直接連絡して確認をしましたが見つかりませんでした。そんな折,依頼者ご自身が,乙さんの本名ではないもののフェイスブックで乙さんと同じ出身地や派遣先での情報とともに派遣元も書いている方の情報を見つけたため,この情報を頼りに派遣元に確認をしたところ,見事派遣元を特定することができました。以前もフェイスブックの情報で差押に繋がる情報を見つけることができ,回収に成功しております。本当にフェイスブックは情報の宝庫です。

 

4 派遣元からの給与に対する債権執行の申立書を作成し,管轄裁判所に提出いたしました。数日後,派遣元からの陳述書が届き,勤務(派遣登録)していることが確定しました。

 

5 以降,毎月税引き後の金額の1/4相当額が派遣元から送金され,最終的には経過利息や執行費用も含めて回収することができました。

 

重要なポイント

 

今回うまくいった大きな要因の一つが合意書が作成されていたことにあります。上記のとおり,請求額を特定するためには様々な資料が必要となりますが,この点がクリアできていたのは大きかったです。

2つ目は勤務先の特定です。個人間の金銭トラブルでは,一般論としては差し押さえ可能な財産があるケースは少なく,訴訟までいってしまった場合は給与を差し押さえて回収することがメインとなりますが,勤務先が特定できないケースも多々ありますので,この点がクリアできたのは大きかったです。

 

かかった費用について

 

今回の請求額はおよそ70万円だったのに対し,郵送料や裁判所に支払う実費なども含めて約30万円でした。

やはり訴訟や強制執行までいってしまうと,多くの費用がかかってしまいますので何とか訴訟等の法的手続を執らずに回収できれば良いのですが,残念ながら強制執行までしても支払わないという方は少なからずいらっしゃいますので,このような方が相手の場合にはある程度費用がかかってしまうことを前提に強制的に回収するか,残念ながら諦められるかのどちらかになってしまいます・・・。

なお,事前に裁判所に支払う実費などはいただいておりますが,ほとんどの費用については回収した中からいただいておりますので,当面の費用がご用意いただくのが難しい場合でも一度ご相談ください。

 

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11月 20 2015

貸金請求でよくあるご質問

法律を扱うものとしては,当たり前だと思っていることでも一般の方の中にはかなり誤解されていることがたくさんあり,ここ数日同じようなご質問をいただいたのでまとめてみます。

 

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親兄弟,その他の親族に請求することはできません

 

よく貸金請求の際に,「本人に払ってもらえなかったら親に払ってもらえますよね?」とご質問いただくことがありますが,残念ながら例え親兄弟であっても別人格ですので,本人以外の人に請求することはできません

ただし,以下の場合には請求することができます。

 

① 保証人になっている場合

親兄弟が貸金について保証人になっているのであれば,親兄弟として請求するのではなく,保証人として請求することができます。

保証人について

 

② 本人が亡くなっている場合

借主本人が亡くなっている場合は,その相続人に対してであれば請求することはできます。この点,相続人が相続放棄をしていると支払義務はありませんので結果としては請求できませんが,そのようなことは外部にはわかりませんので,とりあえず請求してみることになります。

 

③ 日常家事債務の場合

借金の理由が日常家事に該当する場合は,配偶者に請求できる場合があります。

日常家事債務について

 

借用書の有効性

 

個人間の貸金の場合,非常にざっくりとした借用書を取っていることがありますが,その借用書の有効性についてかなり心配されている方が多いように思います。

実は,借用書が無効であるケースがそんなに多くなく,概ね有効な借用書になっていると思います。ただし,借用書が無効ではないことと証拠の証拠力の問題はまったく別問題ですので,借用書があれば必ず訴訟に勝てるというとそうでもありません。

以下,よくご質問いただく点を記載いたします。

 

① 収入印紙が貼っていない

借用書は印紙税法の「消費貸借に関する契約書」に該当しますので,金額に応じて収入印紙を貼付する必要があります。

タックスアンサー(国税庁サイト)

しかしながら,印紙が貼っていないことと契約書の有効性には関係ありませんので,収入印紙が貼っていなくてもその借用書は有効です。

正直なところ,私は個人間の借用書で収入印紙が貼ってあるものを見たことはありません・・・。このような借用書でも当然裁判の証拠として提出していますし,その借用書を根拠に何度も勝訴しています。

とはいえ,印紙を貼るのは法的な義務ですし,もし印紙を貼らないまま税務署に見つかると本来納める額の3倍を納めなければなりませんので,必ず借用書には収入印紙を貼りましょう。

 

② 印鑑がない,または拇印である

日本社会において,印鑑,特に実印は重要視されていますので,書類にはご捺印いただいた方が良いですが署名があれば問題ありません。もちろん,署名+実印でのご捺印であれば借用書の成立に争いがある場合でもかなり有利になると思いますので,ご捺印いただくに越したことはありませんが,ご捺印いただくことによって契約が有効になるわけではありませんので,ご捺印が必須という訳ではありません。

なお,拇印については,実印同様,唯一無二の印影(?)であるため,指紋の鑑定などを行えば本人が関与したことの証明になるとは思いますが,拇印をもらうよりは署名の方が良いと思います。なお,拇印があることによるデメリットはありませんので,例え拇印であってももらえるのであればもらっておいた方が良いと思います。

 

③ 貸付の日ではない日に借用書を作成してもらった

借用書は,必ず貸付の日に作成しなければならないという決まりはありませんので,事後的にもらっても問題ありません

借金があることを認めた上で分割で支払う場合などにおいては,「債務承認弁済契約書」という契約書を作成するくらいですので,事後的に書類をいただくというのはよくあることです。

 

督促しないまま訴訟

 

これは貸主というよりは借主の質問としてよく聞かれるお話ですが,督促をまったくしていない,もしくはあまりしていない状況で訴訟を起こした場合に「まったく交渉していないのに訴えるなんておかしい」と言われることがあります。

期限が到来しているのであれば,法律上当然に支払義務があるのであり,督促して交渉することは義務ではありません。したがって,期限到来後したのであれば一切督促せずに訴えることはできますし,保証人などに請求することもできます。ただ,むやみに訴えるのは訴訟が必要でないケースでも訴訟をしてしまうことになるので,事前の督促は法律上の義務ではないものの,やはり事前に督促はした方が良いと思います。当事務所でも,いきなり訴訟を起こすことはなく,必ず事前に書面で通知をして回答が無い場合や回答があっても交渉がまとまらないときに初めて訴訟を提起しています。

 

公正証書で作れば必ず回収できる

 

正確には,「金銭の支払いを求める内容の執行認諾文言付公正証書」であれば,裁判をすることなく強制執行ができますので,万が一延滞があったときには迅速に執行手続に進むことができますし,公正証書で作成したことそれ自体の効果として延滞が少なくなるということはあるかと思います。

しかし,最終的に強制執行ができるだけであって,相手にまったく財産がなければ強制執行で差し押さえる財産も無いので,公正証書であっても回収できないことは多々あります。

 

預金口座はずっと差し押さえられる

 

強制執行をする場合,一番多いと思われるものが金融機関の預金口座を差し押さえる方法です。給与の場合は,給与を支払うべき会社が協力してくれないケースもありますが,金融機関が協力してくれないということはあり得ませんので,口座にお金さえ入っていれば確実に回収することができます。

預金を差し押さえた場合,差し押さえることができるのは,その瞬間に口座に入っている預金のみであって,差し押さえ後に入金されたものについては対象となりません

この点,給与振込口座を押さえれば自動的に口座に入金される給与の全額回収できると思われている方がいらっしゃいましたが,そのような回収はできません・・・。

したがって,預金口座を差し押さえる場合は,口座にお金が入っていそうな日を狙って申立てをすることになります。

 

ということで,また新たなご質問ありましたら随時更新していきたいと思います。

 

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11月 16 2015

貸金回収の実例(後編)

前回の記事の続きとなります。

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個人に対する強制執行

 

勝訴判決を得ることはできましたが,その時点でもBさんの預金口座やその他の財産を見つけられていませんでしたので,とりあえず確実に支払われていると思われる給与(役員報酬)を差し押さえることとしました。正直なところ,給与を差し押さえても会社が支払ってくれるとは思えませんでしたが,もし無視された場合には取立訴訟を行うことで最終的にはA社の財産を差し押さえることができますので,Bさんの財産を探すよりも簡単です。

なお,強制執行手続に関しては司法書士は代理人となることはできません(ただし,少額訴訟債権執行を除く)が,書類の作成をすることはできますので,当事務所は書類作成者として関与しております。

 

会社に対する取立訴訟

 

給与の差押え手続をしたものの予想通り,A社からは何ら連絡はなく,月日が流れていきました。そこで,4か月ほど経過した時点でA社に対する取立訴訟を行うこととしました。もちろん,事前にA社に何度か電話をしましたが,担当者不在&折り返し無しが続いたので,もうA社からの支払いはまったく期待できない状況でした。

 

ここでいくつか補足致します。

まず,今回差し押さえたのは正確には給与ではなく役員報酬となります。

給与の場合,全額を差し押さえてしまうと差し押さえられた人の生活ができなくなってしまいますので,原則として給与の手取り額の1/4しか差し押さえが出来ないこととなっています(民事執行法152条1項2号)。具体的には,総支給が30万円で,税金等が控除されて24万円であれば6万円しか差し押さえができないことになります。

しかし,役員報酬は正確には給与ではないため,このような制限がなく全額差し押さえることが可能です。この理由は,契約形態が雇用契約ではなく委任契約であること,取締役は役員報酬だけで生活が成り立っている訳ではないことが挙げられていますが,役員報酬で生活している方はたくさんいるので,正直なところ説得力のある理由ではないと思います・・・。

 

それはさておき,差し押さえる側としては全額押さえられるのは良いことですので全額の支払いを求めますが,毎月支払われない都度訴訟をやっても不経済ですので数か月待つことになります。

例えば,請求額が100万円で,役員報酬が毎月20万円だとすると,20万円が支払われなかった時点で20万円については取立訴訟を起こすことは可能ですが,翌月も支払われない場合は別途手続をしなければなりません。しかし,5か月待ってから取立訴訟をすれば一度の手続で済みます。

今回の事件は4か月経った時点で全額回収できる金額になりましたので,すぐに取立訴訟を提起しました。なお,この取立訴訟に関しては,強制執行手続の一環ではありますが,140万円以下であれば簡易裁判所の管轄となりますので司法書士が代理して訴訟を進めることは可能です。

 

取立訴訟に対するA社の対応

 

A社に対する訴訟を提起したものの,実は本気で反論されてしまうとどうなるかわからない事情もありました。

というのは,実際にBさんに対して毎月いくらの役員報酬が支払われているか確実には把握していませんでしたので,もしかしたら株主総会決議をして役員報酬がゼロになっていると反論される可能性もあり得ます。株主総会を行った場合は株主総会議事録を作成することになりますが,この書類はA社が作成する書類ですので,本当はそのような決議はされていない場合でも,さもあったかのように証拠を作出することができてしまいます

この点については,顧問税理士とも打ち合わせをして,訴訟提起後に税務署に対する調査嘱託等(民事訴訟法186条)を行うことで,仮にそのような証拠が出されても「実際は役員報酬を支払っている」との立証はできると思っていましたが,ウソではなく本当に役員報酬がゼロになっているとどうにもなりません。

また,会社に対する訴訟となると従業員の生活もかかってきますので,しっかり反論がなされて長期的な戦いになることも想定されました。

 

 

 

が,まさかの何も反論無しでしたので,特に証拠を提出することもなく勝訴判決が出てしまいました。顧問税理士と何度も打ち合わせをしたり,税務署にも相談したり,各方面色んな証拠関係の調査をしましたが,良い意味で無駄な労力となりました。

 

会社財産に対する差押え

 

さて,これでいよいよ会社の財産を差し押さえることができるようになりました。A社の財産で差押えが可能なものとして考えられるのは,社内にある動産,事務所の賃貸借契約の際に入れているであろう保証金,金融機関の預金,取引先に対する売掛金などがありました。

しかしながら,社内の人間であれば財産的価値があるものや換価が簡単なものがわかるでしょうが,外部の人間ではそう簡単にはいきません。

 

・動産

一般的に価値はありませんし,どのような動産が社内にあるのかわかりませんし,何より動産執行は債権執行と比べて裁判所に納める予納金が高いので費用倒れになる可能性が十分あります。

 

・保証金

金額的には差し押さえができれば一括で回収できそうな金額の保証金が入れられていると思いますが,A社が退去するまで返還されませんし,万が一賃貸借契約の特約で100%償却となっていれば,まったく意味がありませんので,実効性が高いとは言えません。

 

・預金

口座にお金が入っていれば,銀行が拒否することはないので確実に回収できます。しかし,差し押さえのためには支店を特定する必要があります。この点,A社のHPには取引銀行名は書いてあったものの,支店名までは書いてなかったので,支店名の特定がカギとなりますし,もし差し押さえができても口座にお金が入っていなければ空振りになってしまいます。

 

・売掛金

売掛金は,まず取引先がどこなのかを突き止める必要がありますし,さらに,どういう売掛金なのかを特定しなければなりませんので一番大変です。ただ,もし主要取引先の売掛金を差し押さえられるとA社は取引を打ち切られ,最悪の場合倒産の恐れも出てきてしまうので,もし,特定ができればかなり大きな情報となります。

 

差押え財産の特定

 

最近は,フェイスブックやツイッターなどのSNSをやっていない人の方が少ないのではないかと思えるくらいSNSを利用されている方が多いですが,個人ではなく会社名義でのSNSもたくさんあります。また,今では少し廃れ気味ですが会社や社長のブログもあったりもします。

そこで,差し押さえが可能な財産を探すべくA社名義及びBさん個人のツイッター,フェイスブック,ブログなどを片っ端から全部読みました。そこから,さらに従業員のツイッターまで探し当て,隅から隅まで読みました。もう,ある意味「自分はネットストーカーなのかも」と思えるくらい読みました。

その結果,2つの大きな情報を見つけました。

 

1つは取引銀行の支店名です。Bさん個人の数年前のブログに書いてありました。

もう1つは取引先です。Bさんのフェイスブックに取引先であるC社主催のイベントに参加された記事が載っており,C社のフェイスブックにも同様の記載がありました。また,恐らくではありますが,そのC社との取引が打ち切られると倒産するレベルの取引先であることもわかりました。もっとも,上記のとおり売掛金を差し押さえるためにはC社という取引先がわかるだけではダメで,どういう売掛金かを特定しなければなりませんので,C社という名前が判明しただけではまだ次へ進めません。

 

預金の差押え

 

ということで,多くのお金が入っていそうな給料日前の日付を狙ってA社名義の預金口座に関する強制執行の申立書を作成しました。

その結果,見事差押えは成功したものの,全額を回収するには至りませんでした

ただ,それよりも良かったのは,これを機にBさんから電話が掛かってくるようになり,やっとまともな交渉ができるようになりました

その交渉の中で,Bさんとしては「3回程度の分割で全額支払うから,保証金やC社への売掛金の差し押さえはしないでほしい」との要望がなされ,こちらとしては,「保証人を付けてもらい,さらにC社との契約書を開示すること」を要望し,無事和解が成立しました。

これで,売掛金の差し押さえに必要な情報がすべて揃いましたが,上記のとおり売掛金の差し押さえはA社の倒産を招いてしまう恐れもあったので,できる限り分割で支払ってくれることを期待していました。

 

売掛金の差押え

 

分割の支払いで和解したはずですが,残念ながら約束通りの入金はありませんでしたので,依頼者より依頼を受けて,売掛金に関する強制執行の申立書を作成しました。

その結果,こちらの請求額を超える売掛金がありましたので,申立てから10日程度で全額が支払われ,事件は終了となりました

なお,これ以降,A社,Bさん及びC社とは話をしておりませんので,A社とC社との関係がどうなったのかわかりませんが,A社から受領したC社との契約書には,差し押さえがあったときには契約を解除することができる旨の規定がありましたので,もしかしたら取引を打ち切られているかもしれません・・・。

 

回収率

訴訟を2回(Bさん個人への貸金請求訴訟及びA社への取立訴訟)行っており,強制執行の申立書を3回(役員報酬,預金口座,売掛金)作成しておりますので,その分の司法書士報酬はかかっておりますが,2回分の訴訟費用(収入印紙や郵券等),3回分の執行費用(収入印紙や郵券等)については,強制執行手続の中で全額回収しておりますので,各手続の実費は実質タダになっています

さらに,訴訟期間中も貸金に対する利息は付いていきますので,実際に回収した金額から報酬等を差し引いた実質的な回収率は約75%でした

今回の事件は着手金あり(成功報酬15%)でお受けしましたが,もし着手金なし(成功報酬25%)だと実質的な回収率は約65%となっていましたので,今回の依頼者については着手金ありにされて正解でした。もっとも,回収までに時間がかかっておりますので,回収できない間は着手金ありにされたことを後悔されていたかもしれませんが,最終的にはご期待に沿うことができて良かったです。

 

すべての事件について必ず回収できることを保証するものではありませんが,可能な限り回収すべく手続を進めていきますので,同じようにお困りの方は一度ご相談いただければと思います。

 

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11月 06 2015

貸金回収の実例(前編)

長きにわたる貸金の回収が無事終わりました。

本当にいろいろすんなりいかないことが多く,途中はどうなることかと思いましたが,無事全額回収することができましたのでどのような手続を踏んだのかまとめてみたいと思います。

ただし,法的な観点と無関係なところはフィクションを入れております。

 

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前提事情

 

ご依頼をお受けしたのはもう2年ほど前になります。相手は中小企業であるA社の社長Bさんでしたが,資金繰りがあまりうまくいっておらず友人や知人にBさんが個人的に借り入れをしているようで,依頼者の方も同様にA社ではなくBさん個人に貸付けをしていました。また,簡単なものではありますが借用書もありました

A社は社長であるBさん個人が友人や知人から借り入れをしているくらいですので,役員報酬もほぼ全額を会社に対する貸付金として処理しているようでした(実質的には役員報酬ゼロ)。また,預貯金はほぼ無さそうでしたし,その他に差押えができそうな資産はこちらではわからない状況でした。したがって,仮に法的手続を進めたとしても差し押さえられる財産は給与(役員報酬)くらいとなりますが,そもそもA社の社長がBさんな訳ですからA社相手に給与を差し押さえ手続をしても,それすら無視されるであろうことは容易に予想できる状況でした。

以上から,法的手続を進めても時間も費用もかかるうえ,実効性が薄いので可能な限り任意の交渉で回収すべく動くことになりました。

 

受任通知及び交渉

 

まず,借用書に記載された住所にBさんが今も住んでいるのかを確認するため住民票を取得しましたが,変更は無かったのでBさん個人に受任した旨と返済を求める旨の通知書を送りました。ところが,実際は転居しており返送されてきてしまいました。会社の代表者(代表取締役・有限会社の場合は取締役)については,会社の登記簿にも住所の記載がありますので,念のためA社の登記簿を取得しましたが住民票の住所と同じ住所であったため,やむなくA社宛に再送付しました。

こちらについては問題なく配達され,到着後2週間ほど待ちましたが残念ながらまったく回答はありませんでした。また,こちらからA社に連絡をしましたが,従業員の方に折り返しをお願いしても一度も連絡はありませんでした。

 

訴訟提起

 

上記のとおり,差し押さえができそうな財産が給与しかなかったため訴訟をしても費用倒れになる可能性はありましたが,訴訟を起こすことでBさんが裁判所に出頭することも考えられるので,どちらかと言うと判決を取るためというよりも話し合いをしたいということで訴訟を起こしました。この点,調停という選択肢もありましたが,それまでの対応を考えると調停を無視される可能性が高く,無視された場合は時間も費用も無駄になってしまうため,訴訟を選択しました。

なお,Bさんの住所は住民票上の住所しかわからないので,被告の住所は住民票上の住所を記載し,送達先として会社の住所を記載しました(住民票上の住所には住んでいない旨の上申書も提出しています。)。

 

訴訟の期日及び判決

 

無事,会社宛に送達され訴訟の期日を迎えましたが,Bさんは出頭せず,かつ反論の書面を出さなかったため数日後に判決となりました。

相手が出頭せず,かつ反論の書面を出されない場合,「擬制自白」といってこちらの主張をすべて認めたことになります(民事訴訟法159条)。そうすると,証拠は必要ありませんし,まず間違いなく勝訴判決が出ることになります。実は,借用書の記載だけでは不十分なところがあったので,本気で反論されたときに備えてメールやLINEを証拠として出す準備もしていたのですがすべて不要となりました。

そして,数日後,無事勝訴判決が出ました。

 

再度の交渉と次の手続

 

判決には仮執行宣言が付いていたので,すぐに強制執行を行うこともできましたが,まずは話し合いを優先し,判決が確定したのを確認してから話し合いを求める手紙を送りました。

本来,強制執行を行うためには判決が確定しなければなりませんが,判決が確定する前に「仮」に強制「執行」をすることを認める「宣言」が付いている場合には判決確定前に強制執行の手続を行うことができます。また,判決確定を待ったのは,判決確定前に交渉をして難航したときに,万が一控訴されると時間も費用もかかってしまうため,判決確定まで待つこととしました。

 

しかしながら,これに対する回答は無かったため,やむなく強制執行の手続に進むこととなりました。

 

長くなったので,「貸金回収の実例(後編)」に続きます。

 

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9月 14 2015

完璧な借用書

当事務所では,トラブルになった後の債権回収業務のみならず,トラブルが起こらないようにするため,各事情に応じた借用書や金銭消費貸借契約書,債務承認弁済契約書など,各種の書類の作成も行っております。

 

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このような契約書を作成するのは,後日のトラブルの防止及びトラブルになったときの処理の基準を決めるためにあります。

例えば,お金の貸し借りで言えば,借用書があれば,「借りた」,「借りていない」のトラブルは防げると思います。借りていなければ借用書なんて存在しないですからね。また,返済日や利息が書いてあるはずですので,この点についてのトラブルも防ぐことができます。

さらに,返済に遅れた際の処理(遅延損害金利率の発生や期限の利益の喪失等)を定めておけば,通常通りの返済が無かった場合についても契約書の内容によって処理すれば良いことになります。

 

ただ,どれだけ契約書を完璧に作ったとしても防げないトラブルがあります。それは返済そのものです。

どれだけ,著名な弁護士さんが作成した立派な契約書だろうが,究極的には裁判所が作成した和解調書だろうが,まったく財産が無い人からはお金を回収することはできませんので,こればっかりはどうにもならないこともあります。厳しい言い方になってしまいますが,やはりそのような人に貸す前にしっかり貸すかどうかの判断をするしかありません。

 

なぜ,このようなことを書いたかというと,「回収できないのはどうしても困るので,絶対に回収できる契約書(借用書)を作成してほしい」とのご相談があったからです。その回答としては,「もちろん可能な限り回収しやすい内容で作りますが,最終的には相手の資力によるため,絶対に回収できるというような契約書は存在しないです・・・。」となってしまいます。

 

なお,回収の可能性を上げるためには,契約書の記載も大事ですが,担保を取るということも検討された方が良いかと思います。

実際に,担保を取れるような状況にある方は少ないとは思いますが,身近な人に保証人になってもらうなどして,回収の可能性を上げていくしかないですね・・・。

この担保については,過去に記事を書いておりますので,こちらをご覧いただければと思います。

→ 支払の担保となるもの

 

 

最後に,金銭消費貸借契約証書などの書類作成にかかる費用としては,文字数やページ数に関係なく,原則として一律3万円となっております。「原則」と書いたものの今のところ3万円以外のケースはありませんが,あまりにもページが多くなる時は相談させていただくこともあるかと思います。

 

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4月 09 2015

子どもの行為が原因となって怪我をした場合の損害賠償請求

債権回収とはあまり関係ありませんが,子どもを持つ親としては,かなり重要な最高裁判決が出たため,まとめおきたいと思います。

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事案の概要

 

【登場人物】

Aさん→Bさんの相続人

Bさん→バイクの運転手(事件当時85歳)

Cくん→小学生6年生(事件当時11歳)

DさんとEさん→Cくんの両親

 

【事実関係】

※かなり簡略化しております。

 

(1)平成16年2月,Cくんは友人たちと学校での授業が終わった後,校庭でサッカーの練習をしていた。

(2)サッカーゴールにはネットは張ってあり,ゴールの後ろ10メートルほどに高さ1.3メートルほどの門とフェンスがある。そのフェンスを越えると1.8メートルほどの側溝があり,側溝を越えると一般の道路となっているが,田畑も広がっているような土地で人通りは決して多くなかった。なお,学校から帰るときは,側溝を越えるために架かっている橋を渡って一般道に出るようです。

(3)Cくんがゴールに向かってフリーキックの練習をしていたところ,ゴールを越えてしまい,さらに門も越え,橋を転がって一般道にボールが出てしまいました。すると,偶然バイクに乗ったBさんが通りがかり,Bさんはボールを避けようとして転倒し,腓骨などを骨折してしまって入院しました。

(4)Bさんは高齢の影響のせいか肺炎を患い,亡くなってしまいました

(5)Dさん,Eさんは日ごろからCくんに対して危険の行為をしないよう躾けていましたが,ゴールに向かってボールを蹴ってはいけない,というような躾けはしていませんでした。

(6)亡くなったBさんの相続人であるAさんが,Cくんの親であるDさんとEさんに対して損害賠償請求を起こしました。

 

判決

 

まず,原審である大阪高裁は,サッカーゴールに向けてボールを 蹴ることはその後ろにある道路に向けて蹴るのと同じであり,蹴り方によってはボー ルが道路に飛び出す危険性があるから,Cくんの両親であるDさんとEさんはは,このような場所では周り に危険が及ぶような行為をしないよう指導する義務,つまりゴール に向けてサッカーボールを蹴らないよう指導する監督義務があり,DさんとEさんはこれを怠ったのだからBさんの相続人であるAさんの損害賠償請求のちの一部を認めました。

 

とりあえず,私としては意味がわかりませんでした。サッカーはゴールの中にボールを蹴って入れるスポーツな訳ですから,閉鎖されている学校に忍び込んで勝手にやっていたというのであれば別ですが,学校が開放している校庭において,「サッカーゴールに向けてボールを蹴らないよう指導する義務」なんてものがあるわけないと思っていました。

 

これについて,先ほど最高裁判決が出ました。

最高裁サイト

判決全文(PDF)

 

詳細は上記判決をご覧いただければと思いますが,要点をまとめると下記のとおりです。

 

(1)Cくんは,友人たちと放課後に子どもたちのために開放されていた校庭で,使用可能な状態で設置されていたゴールに向けてフリーキッ クの練習をしていたのであって,ゴールに向かってボールを蹴るというCくんの行為はゴールの後ろに道路があることを考慮に入れても校庭の日常的な使用方法として通常の行為である(つまり危険な行為では無い)。

(2)ゴールの10メートル後ろには門やフェンスがあり,さらにフェンスの外にも側溝があるのだから,たまにボールが道路に出ることはあったかもしれないけど,ボールが道路に出るのが日常というような状況では無い

(3)今回,CくんはBさんのバイクを認識して「Bさんを転ばしてやろう」というような悪意を持って行ったものではなく,たまたまゴールに向かって蹴ったものが道路に出たに過ぎない

(4)親には,子どもが危険な行為をしないよう躾ける義務はあるが,上記のとおり,ゴールに向かってボールを蹴ることは危険な行為では無いし,直接親が監督しているような状況にない場合は,例外的に予測が可能なことであれば別だけど,通常の行為によって偶然起こったことまで監督責任を負わせることはできない

 

ということで,両親への損害賠償請求を認めませんでした。

 

私見等について

 

上記最高裁判決は,両親への請求を認めない根拠として,日ごろから両親が子どもに対して危険な行為をしないように躾けていた点を挙げています。小学生,中学生のお子さんをお持ちの方は,ぜひお子さんに良く言って聞かせておきましょう。

 

また,例外的に予見可能だった場合には両親の請求を認める可能性があると言っています。具体的にどのような状況なのかわかりませんが,例えば,Cくんはフリーキックが下手で,これまでに何度もボールがフェンスを越えて事故には至らないまでも危ないシーンが何度もあったというようなことがあれば予見可能だったと認定される可能性があるのではないでしょうか。

 

なお,Aさんは上記判決により,両親へ損害賠償請求をすることはできません。また,Cくんは責任能力が無いのでCくんに請求することもできません。とするとAさんは泣き寝入りするしかないのかということになりますが,もし請求する方法があるとすれば,校庭を管理,そして子どもたちを監督する立場にあった学校を運営している市などを訴えるくらいではないでしょうか。ただし,事件は平成16年の出来事であることから,時効の問題がありますので,難しいかもしれません。

今回は両親への請求を認めませんでしたが,事情が少し異なるだけで両親への請求が認められるケースはたくさんあると思います。子どもの行為によって多額の損害賠償責任を負う可能性もありますので,しつけはしっかりしておきましょう!

 

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2月 19 2015

風俗業界の方への貸金請求

偶然が重なるもので,ここ最近,いわゆる風俗業界にお勤めの方への貸金請求のご相談が続いております。結論としてはなかなか難しいケースが多いのですが,同じような境遇の方もいらっしゃると思いますので,こちらに記載したいと思います。

 

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よくある状況

 

よくある状況としては,すべて風俗店の客である男性女性従業員に対してお金を貸し,そのお金が返ってこないというものです。

また,相手の住所どころか氏名(本名)を知らず,さらに電話番号も知らずLINEでしかやり取りができていないというケースが多いです。

 

正直なところ,難しいです・・・。

 

まず,何らかの手続をするためには,相手の連絡先がわからないことには手紙も送れませんし,裁判手続きもできません。さらに,風俗店もあまり関与したくないのか,こちらが連絡しても相手の情報はまったく教えてくれませんし,嘘か本当かわかりませんが「もう○○は退職しました。」と言って取り合ってくれないことが多いです。

また,借用書を取っていないことがほとんどですので,相手に金銭の貸付の事実を否認されてしまうと,その立証がかなり困難となります。なお,このケースではありませんが,当事務所ではLINEのやり取りを証拠として裁判所に提出し,結果として勝訴したケースがありますので,借用書が無くてもLINEのやり取りで金銭の貸し借りが行われていることがわかれば立証できることもあります。

 

無事回収できているケース

そんな中,無事回収できているケースもあります。

 

(1)相手の住所及び氏名を聞いていた。

具体的には免許証のコピーをもらっていました。

(2)借用書を取っていた。

当然,免許証に記載の住所及び氏名が記載されておりますし,印鑑も押されています。なお,押印は実印である必要はありません。

(3)お店は変わっているものの現在も働いている

収入がなければ支払ってもらいようがないので,相手が現在も働いているということは重要です。

 

このケースでは,転居しておりましたので免許証の住所には住んでいませんでした。しかし,弁護士や司法書士は,転居していたとしても5年以内の過去の住所地がわかれば新住所を調べることができますので,転居されていることは問題ありません。借用書があれば,弁護士や司法書士でなくてもご自身で役所に行って新住所の住民票を取得することができます。もっとも,あくまで住民票上の住所を調べることができるに過ぎないため,住民票を異動せずに転居してしまった場合には探し当てるのは困難です。

 

また,振込の記録を証拠としてお持ちの方が結構いらっしゃいますが,それだけでは貸したことの証拠としては不十分なので,別途メールなどの証拠が必要になります。このケースでは借用書があったので完璧です。

そして,最大の問題として,収入の面があります。いくら証拠があろうが,相手に支払い能力がなければどうしようもありません。この点,このケースではちゃんと収入がありましたので,何とか分割で支払ってもらう内容で和解が出来ました。

 

ということで,相手が風俗店勤務の方に限った話ではないのですが,借用書はやはり重要ですし,特に風俗店勤務の方だと,貸した相手の素性がよくわからないということが多いので,もしお金を貸すのであれば免許証のコピーなどをもらうことを条件に貸すなどして対策された方が良いかと思います。

 

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5月 20 2014

お金を貸す際の金利の上限

昨今,弁護士や司法書士のCM・広告などで「消費者金融などに払い過ぎた利息を取り戻します!」というのがよくあります。

当事務所でも,そのような業務を行っており,これまで10億円以上回収してきました

過払金返還請求とは?

 

過払金が返還される根拠を端的に言えば,「消費者金融は法律で認められている金利よりも高い金利をお客さんから取っていたので差額については返しなさい」というものです。

 

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法律の規定を超える利息の契約は無効

 

上記の例は消費者金融や信販会社(クレジット)に関する話ですが,個人間の貸し借りについて,法律ではどのようになっているのでしょうか。

 

利息の上限に関する法律として,「利息制限法」という法律があります。

利息制限法

この法律の第1条に下記の最大利率よりも高い利率については,その超過部分は無効とされています。

 

10万円未満(1桁万円)→最大年利20%

10万円以上100万円未満(2桁万円)→最大年利18%

100万円以上(3桁万円以上)→最大年利15%

 

例えば,50万円を年利30%の利率で貸した場合,18%分についてはもらえますが12%分については無効となりもらうことはできません。さらに,この利息制限法は強行法規とされており,この内容に違反する内容でいくら当事者が納得していたとしても法律の舞台に上げられた場合には強制的に利息制限法利率に計算し直すことになります。

 

お金を貸しただけで逮捕されてしまう?!

 

利息に関しては上記の通り利息制限法がありますが,実は利息に関する法律として出資法という法律が存在します。

出資法

この出資法という法律は略称であり,本当の名前を「出資の受け入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律」といい,文字通り取り締まりのための法律です。

この法律の5条に年利109.5%を超える利息の契約をしたときは5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金(または併科)に処すと規定されています。109.5%と聞くと中途半端な感じがしますが,1日当たり0.3%と考えてもらえれば良いかと思います(0.3%×365日=109.5%)。

つまり,109.5%超の契約をしてしまうと,超過利息が無効になるどころか,刑事罰の対象になり,場合によっては逮捕→有罪となる可能性もあります。

 

個人間の貸し借りは結局どうなるのか

 

利息制限法はその対象を,消費者金融などの金融業者に限っていませんので個人間の貸し借りについても適用されます。また,出資法も金融業者か個人かによって上限利率の差はありますが,いずれにしても制限を超えると刑事罰の対象となります。

以上からまとめると,個人間の貸し借りについては,下記の通りとなります。

 

(1)利息制限法所定の利率内の契約→利息を全額請求することができる。

(2)利息制限法所定利率は超えるけど109.5%以下の契約→利息制限法内の金利を請求することができるが,超過分は請求できない

(3)109.5%超の契約→利息制限法内の金利を請求することができるが,超過分は請求できない。さらに,刑事罰の対象となり,逮捕・起訴されて有罪となる可能性がある

※あまりにも高金利(例えばトイチ・トゴなど超高金利)の場合は,貸付行為自体が不法行為となり,利息を請求できなくなるどころか元本すら返還されない可能性もあります民法708条)。

 

ということで,個人間の貸し借りであり,互いに納得していたとしても利息制限法所定利率内で契約するようにしてください。

 

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3月 12 2014

再び財産開示手続をやってみる。

以前,強制執行をしてみたところ回収できずに財産開示手続をしてみたら回収できたということがありました。

ブログ記事

 

再び,別の相手に対して財産開示の申立てをしたところ無事開始されました。

 

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以前も書きましたが,財産開示手続というのは,

 

相手の財産を差し押さえようにも差し押さえる財産が無いもしくは見つからない

このままだと回収できないので裁判所に財産の有無などを聞いてもらう

本人が素直に出頭して正直に話してくれれば良いけど,出頭しない可能性もあるし,出頭しても正直に話さない可能性もあるし,本当に財産が無いかもしれない

出頭しない,もしくは正直に話さないという場合は制裁があるけど30万円以下の過料(罰金みたいなもの)なので制裁が軽いし,本当に財産が無かったらどうしようもない

したがって,効果が薄い

 

という感じですので,世間的にはあまり使われていないと思います。

しかし,あくまで当事務所に限っての話ですが,なぜか財産開示をやると効果が高く回収できる印象があります。

 

さて,今回はどうなることか。


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