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4月 09 2015

子どもの行為が原因となって怪我をした場合の損害賠償請求

債権回収とはあまり関係ありませんが,子どもを持つ親としては,かなり重要な最高裁判決が出たため,まとめおきたいと思います。

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事案の概要

 

【登場人物】

Aさん→Bさんの相続人

Bさん→バイクの運転手(事件当時85歳)

Cくん→小学生6年生(事件当時11歳)

DさんとEさん→Cくんの両親

 

【事実関係】

※かなり簡略化しております。

 

(1)平成16年2月,Cくんは友人たちと学校での授業が終わった後,校庭でサッカーの練習をしていた。

(2)サッカーゴールにはネットは張ってあり,ゴールの後ろ10メートルほどに高さ1.3メートルほどの門とフェンスがある。そのフェンスを越えると1.8メートルほどの側溝があり,側溝を越えると一般の道路となっているが,田畑も広がっているような土地で人通りは決して多くなかった。なお,学校から帰るときは,側溝を越えるために架かっている橋を渡って一般道に出るようです。

(3)Cくんがゴールに向かってフリーキックの練習をしていたところ,ゴールを越えてしまい,さらに門も越え,橋を転がって一般道にボールが出てしまいました。すると,偶然バイクに乗ったBさんが通りがかり,Bさんはボールを避けようとして転倒し,腓骨などを骨折してしまって入院しました。

(4)Bさんは高齢の影響のせいか肺炎を患い,亡くなってしまいました

(5)Dさん,Eさんは日ごろからCくんに対して危険の行為をしないよう躾けていましたが,ゴールに向かってボールを蹴ってはいけない,というような躾けはしていませんでした。

(6)亡くなったBさんの相続人であるAさんが,Cくんの親であるDさんとEさんに対して損害賠償請求を起こしました。

 

判決

 

まず,原審である大阪高裁は,サッカーゴールに向けてボールを 蹴ることはその後ろにある道路に向けて蹴るのと同じであり,蹴り方によってはボー ルが道路に飛び出す危険性があるから,Cくんの両親であるDさんとEさんはは,このような場所では周り に危険が及ぶような行為をしないよう指導する義務,つまりゴール に向けてサッカーボールを蹴らないよう指導する監督義務があり,DさんとEさんはこれを怠ったのだからBさんの相続人であるAさんの損害賠償請求のちの一部を認めました。

 

とりあえず,私としては意味がわかりませんでした。サッカーはゴールの中にボールを蹴って入れるスポーツな訳ですから,閉鎖されている学校に忍び込んで勝手にやっていたというのであれば別ですが,学校が開放している校庭において,「サッカーゴールに向けてボールを蹴らないよう指導する義務」なんてものがあるわけないと思っていました。

 

これについて,先ほど最高裁判決が出ました。

最高裁サイト

判決全文(PDF)

 

詳細は上記判決をご覧いただければと思いますが,要点をまとめると下記のとおりです。

 

(1)Cくんは,友人たちと放課後に子どもたちのために開放されていた校庭で,使用可能な状態で設置されていたゴールに向けてフリーキッ クの練習をしていたのであって,ゴールに向かってボールを蹴るというCくんの行為はゴールの後ろに道路があることを考慮に入れても校庭の日常的な使用方法として通常の行為である(つまり危険な行為では無い)。

(2)ゴールの10メートル後ろには門やフェンスがあり,さらにフェンスの外にも側溝があるのだから,たまにボールが道路に出ることはあったかもしれないけど,ボールが道路に出るのが日常というような状況では無い

(3)今回,CくんはBさんのバイクを認識して「Bさんを転ばしてやろう」というような悪意を持って行ったものではなく,たまたまゴールに向かって蹴ったものが道路に出たに過ぎない

(4)親には,子どもが危険な行為をしないよう躾ける義務はあるが,上記のとおり,ゴールに向かってボールを蹴ることは危険な行為では無いし,直接親が監督しているような状況にない場合は,例外的に予測が可能なことであれば別だけど,通常の行為によって偶然起こったことまで監督責任を負わせることはできない

 

ということで,両親への損害賠償請求を認めませんでした。

 

私見等について

 

上記最高裁判決は,両親への請求を認めない根拠として,日ごろから両親が子どもに対して危険な行為をしないように躾けていた点を挙げています。小学生,中学生のお子さんをお持ちの方は,ぜひお子さんに良く言って聞かせておきましょう。

 

また,例外的に予見可能だった場合には両親の請求を認める可能性があると言っています。具体的にどのような状況なのかわかりませんが,例えば,Cくんはフリーキックが下手で,これまでに何度もボールがフェンスを越えて事故には至らないまでも危ないシーンが何度もあったというようなことがあれば予見可能だったと認定される可能性があるのではないでしょうか。

 

なお,Aさんは上記判決により,両親へ損害賠償請求をすることはできません。また,Cくんは責任能力が無いのでCくんに請求することもできません。とするとAさんは泣き寝入りするしかないのかということになりますが,もし請求する方法があるとすれば,校庭を管理,そして子どもたちを監督する立場にあった学校を運営している市などを訴えるくらいではないでしょうか。ただし,事件は平成16年の出来事であることから,時効の問題がありますので,難しいかもしれません。

今回は両親への請求を認めませんでしたが,事情が少し異なるだけで両親への請求が認められるケースはたくさんあると思います。子どもの行為によって多額の損害賠償責任を負う可能性もありますので,しつけはしっかりしておきましょう!

 

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