9月 02 2014
退去に関するゴミ等の処分費用
先日,建物明け渡しのご依頼に関して,建物内に残置してあるゴミ等の処分に立ち会ってきました。
所有権放棄の覚書
建物明け渡しについて,強制執行で明け渡してもらう場合,「断行」という手続を行い,強制的に出て行っていただくことになります。その際,中の物を搬出する専門業者に依頼し,すべての荷物を外に出すことになります。
一方,訴訟の前後を問わず,任意で明け渡してもらうこともあります。と言いますか,通常は上記の断行に至る前に任意に退去される方が多いと思います。
その場合,退去の日程を定め,その日までに中の物も含めて明け渡してもらうことになりますので,基本的には部屋の中は空っぽの状態になるはずです。
しかし,中には不誠実な方もいて,空っぽだったにも関わらず「高価な時計が置き忘れたはずなので返せ。返せないなら弁償しろ!」などと主張する人もいます。なので,それを防ぐために,「期日以降,建物にある残置物の所有権はすべて放棄し,どのように処分されても異議を申し出ません。」というような所有権放棄に関する覚書を書いてもらいます。この書類があることで,万が一,上記のような時計が仮にまぎれていたとして,もう大家さんに対して時計を返せとか弁償しろなどと言えなくなります。
逆に,部屋が空っぽどころか,ゴミの処分など一切せず,部屋の中が凄まじい状況になったままで退去される方もいます。そのような人に対応するため,「部屋の中のごみなどを処分するのに費用が発生した場合は,退去した人が支払う。」という条項も上記覚書に入れておきます。そうすることによって,残ったゴミなどの処分費用についても請求できることになります。
一次的には大家さん負担となってしまう
上記の通り,ゴミなどが大量にある場合,その処分をしなければなりませんが,現実問題として退去した方が処分業者に発注してくれることなどあり得ませんので,一次的には大家さんが処分業者に発注し,かかった費用を退去した方に請求することになります。
このゴミの処分については,もちろん量によってかなり費用が違うのですが,実は処分業者によっても費用が大きく異なります。今回何件か見積もりを取ったのですが,まったく同じ内容にもかかわらず2倍以上の金額の差がありましたので,やはり何社か見積もりは取った方が良いと思います。なお,今回依頼したところは,個人からの依頼は受け付けておらず,不動産業者や建築業者など会社からの依頼しか受けないという業者にお願いしたので,かなり安くできたと思います。
中にはお金になるものも
所有権放棄をしているので,中にある残置物については,どのように処分しても構いません。大多数は何の価値も無いものばかりですのでお金になるものは少ないのですが,もしかしたらお金になるものが紛れているかもしれません。先日立会いをしたときは,ゲームのソフトが残されていましたので大家さんに売却をお願いしました。ただ,良くても数千円程度でしょうね・・・。私も立ち会った際に,透明のビニール傘をもらってきました。事務所にご相談に来られた方が,突然の雨にあわれたときに差し上げようと思います。
そうなる前に・・・
上記の通り,残置物は大家さんの自由にして良いのですが,ごみの処分費用は大家さんが最初に負担し,その後に退去された方に請求することになります。しかし,退去された方はお金がない方が多いため現実的に請求できるかどうかはわかりません。特に,夜逃げなど突然行方不明になった場合だと請求しようにもどこにいるのかわからないような状況になってしまいます。
ですので,やはりそうなる前に,家賃の延滞が始まったらすぐにでも対応すべきだと思います。正直なところ,2か月分遅れた時点でそれを解消していくのはかなり難しいと認識された方が良いかと思います。