5月 20 2014
お金を貸す際の金利の上限
昨今,弁護士や司法書士のCM・広告などで「消費者金融などに払い過ぎた利息を取り戻します!」というのがよくあります。
当事務所でも,そのような業務を行っており,これまで10億円以上回収してきました。
過払金が返還される根拠を端的に言えば,「消費者金融は法律で認められている金利よりも高い金利をお客さんから取っていたので差額については返しなさい」というものです。
法律の規定を超える利息の契約は無効
上記の例は消費者金融や信販会社(クレジット)に関する話ですが,個人間の貸し借りについて,法律ではどのようになっているのでしょうか。
利息の上限に関する法律として,「利息制限法」という法律があります。
この法律の第1条に下記の最大利率よりも高い利率については,その超過部分は無効とされています。
10万円未満(1桁万円)→最大年利20%
10万円以上100万円未満(2桁万円)→最大年利18%
100万円以上(3桁万円以上)→最大年利15%
例えば,50万円を年利30%の利率で貸した場合,18%分についてはもらえますが12%分については無効となりもらうことはできません。さらに,この利息制限法は強行法規とされており,この内容に違反する内容でいくら当事者が納得していたとしても法律の舞台に上げられた場合には強制的に利息制限法利率に計算し直すことになります。
お金を貸しただけで逮捕されてしまう?!
利息に関しては上記の通り利息制限法がありますが,実は利息に関する法律として出資法という法律が存在します。
→出資法
この出資法という法律は略称であり,本当の名前を「出資の受け入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律」といい,文字通り取り締まりのための法律です。
この法律の5条に年利109.5%を超える利息の契約をしたときは5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金(または併科)に処すと規定されています。109.5%と聞くと中途半端な感じがしますが,1日当たり0.3%と考えてもらえれば良いかと思います(0.3%×365日=109.5%)。
つまり,109.5%超の契約をしてしまうと,超過利息が無効になるどころか,刑事罰の対象になり,場合によっては逮捕→有罪となる可能性もあります。
個人間の貸し借りは結局どうなるのか
利息制限法はその対象を,消費者金融などの金融業者に限っていませんので個人間の貸し借りについても適用されます。また,出資法も金融業者か個人かによって上限利率の差はありますが,いずれにしても制限を超えると刑事罰の対象となります。
以上からまとめると,個人間の貸し借りについては,下記の通りとなります。
(1)利息制限法所定の利率内の契約→利息を全額請求することができる。
(2)利息制限法所定利率は超えるけど109.5%以下の契約→利息制限法内の金利を請求することができるが,超過分は請求できない。
(3)109.5%超の契約→利息制限法内の金利を請求することができるが,超過分は請求できない。さらに,刑事罰の対象となり,逮捕・起訴されて有罪となる可能性がある。
※あまりにも高金利(例えばトイチ・トゴなど超高金利)の場合は,貸付行為自体が不法行為となり,利息を請求できなくなるどころか元本すら返還されない可能性もあります(民法708条)。
ということで,個人間の貸し借りであり,互いに納得していたとしても利息制限法所定利率内で契約するようにしてください。