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7月 25 2013

管理費の滞納は早期対応が大原則!

6:22 PM 管理費滞納

管理費等はマンション全体を管理するための費用ですので,分譲マンションの管理費等の滞納が発生した場合,本来であればそのマンションに居住している方全員に利害が及ぶのですが,実際に請求するのはその時点の管理組合の理事長さんたちになります。

 

また,管理組合の理事長さんなど役員の方も管理費等を滞納している方も同じマンションの住人であるため,場合によっては個人的な恨みなどは無いにも関わらずマンションの隣人同士でのトラブルになってしまう可能性がありますので,心情的になかなか強く請求することができないと思います。

しかしながら,仮に滞納が起きた場合は,絶対に滞納額が少ないうち(基本的には次の管理費等の支払いがくるまでの間)に対処すべきです。絶対にです!

 

この段階であれば単に支払いを忘れていたというだけの場合もありますし,仮にあまりお金が無い方だった場合,1ヶ月分も払えない人が2ヶ月,3ヶ月分もまとめて払えるわけがありませんので,傷口が浅いうちに対処することで,それ以上の悪化を防ぐことができるからです。端的に言えば取り立てをするということですので,双方にとって気分の良いものではなく,むしろ関係が悪化することすらあると思いますが,この時点で回収しなかった時の方がもっと事態を悪化させることになります

 

この点での大切なポイントとして,滞納している管理費等を減額することは許されません。これは,管理組合の理事という立場上,勝手に減額等をすると後に責任問題に及ぶ可能性があるのですが,それとは別に債権回収の観点から考えても,「滞納すれば減額してもらえるから,むしろ滞納した方が得じゃん。」という,おかしな状況になってしまうためです。

 

 

さて,その回収するに際してですが,以降の滞納を防ぐ1つのオススメとして,きっちりペナルティを課すということを強くお勧めします。

というのは,通常マンションの管理規約には管理費に関する項目があり,そこには「滞納した場合は○%の遅延損害金を支払う」というような条項が入っていると思います。正直なところ,金額としては大した金額ではないと思いますし,いちいち計算するのも面倒くさいと思います。しかし,きっちり遅延損害金まで回収することで,以降,遅れることの無いよう支払ってもらえる可能性が高まります。できれば,「この日に支払えば○○円,この日に支払えば○○円」というように日々遅延損害金が増えるような明細書を付けておくと,1日でも早く支払おうという気になってくれやすくなります。

 

 

この時点で回収ができない場合,単に支払い(もしくは引き落とし日までの入金)を忘れただけということではなく,何らかの理由があって払えないもしくは払わないのどちらかです。

つまり,払いたくても収入が無いため払えないという場合か何らかの不満があってあえて払わない,ということになります。

 

 

■収入等が無くて払いたくても払えない

 

①今後の目途について説明を求め,その説明に合理性があり,3か月程度で滞納の解消ができるのであれば,その旨の合意書を作ったうえで待っても良いです

 

例えば,現時点では無職だけどすでに再就職は決まっており,翌月からは給料も出る予定ということであれば,あくまで滞納は一時的な問題に過ぎないため,入る予定の給与等を聴取し今後も管理費等を支払ってもらえるということであれば待っても良いと思います。また,合意書については,正直なところ法的には合意書があっても無くても支払ってないのであれば何も変わらないのですが,単なる口約束とちゃんとした合意書を作成した場合とでは,明らかに支払い率が変わりますので作成すべきです。

 

 

②今後も収入の見込みがないということであれば,残念ですが売却等を検討すべきです。

 

住宅ローンがある方であれば,いずれ住宅ローンの滞納により差し押さえられて競売になり,最終的には落札した新所有者が管理費の滞納分も引き継ぎますのでその方に払ってもらえれば良いのですが,競売の場合だと新所有者が決まるまでに年単位の時間がかかりますので,なかなか回収できません。また,万が一,新所有者が払ってくれなければ,その方に対する督促等もしなければなりません。さらに,管理費の回収とは直接関係ありませんが,競売と普通に売買するのでは競売の方が売買金額(落札金額)が低い傾向にありますので,滞納されている方にとってもあまり良い話ではありません。

 

ところが,競売ではなく通常の売買(任意売却)であれば,管理費の滞納分もその売買の時に清算するのが普通ですので,早期に回収することができます。また,仮にオーバーローンだったとしても,住宅ローン債権者は管理費の滞納分についてはみてくれることが多いですのでやはり回収できます。さらに,オーバーローンではなくても,任意売却の方が高く売れる可能性が高いので,滞納されている方にも多くの現金が手元に残ることになります。

 

もっとも,管理費の請求に行ってお気ながら「売却してください」と言うのはなかなか難しいと思いますので,直球で売却してくださいとお伝えするのではなく「支払いに困っているようであれば,一度弁護士や司法書士に相談してみたらどうか。」とアドバイスしていただければと思います。そうすれば,相談をお受けした弁護士や司法書士が適切な方法を回答しますし,上記の状況であれば,ほとんどのケースで売却を進めると思います。

 

 

■何らかの理由により払わない

 

これはもう話を聞いたうえで解決できることは解決するための話し合いをし,不満だからといって管理費を滞納しても良いことにはならないことをしっかり説明して最終的には法的手続きに出ざるを得ないことを伝えるしかありません。

例えば,共用施設の電灯が切れているのにいつまで経っても交換しないとか,無断駐車がひどいなど,理事会として対処できることがあるのであれば早急に対応することを約束し,支払いの約束をしてもらうべきです。ただ,理事の人選が気に入らないとか,どうにもならないような場合には,それと管理費の滞納は無関係である旨を告げて,最終的には法的手続きを取らざるを得ないことを伝えることになります。

 

なお,上記(1)のように「払えない」場合では使えませんが,「払わない」場合には駐車場の解約をしてしまうのも一つの手です。自動車を所有されている方だと駐車場は必須ですので,それを嫌がり支払ってくれることもあります。

 

以上でも解決できない場合は,残念ですが法的手続に進むことになってしまいます。

 

次回は先日当事務所で進めた事例について記載していきます。


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