愛知・名古屋・岐阜・三重の方の債権回収・未払い家賃・売掛金・立ち退きに関するご相談ならはなみずき司法書士事務所

お問い合わせ

お気軽にご相談ください。(相談無料)電話番号0561-61-1514 ファックス番号0561-61-1535

トップページ » ブログ

ブログ

5月 23 2018

建物明渡に関する和解で必ず入れておくべき条項

10:47 AM 家賃滞納

先日,家賃滞納の現場をたくさん見てきたという司法書士の記事がありました。

→ 家賃滞納「2千件」現場を見た司法書士「誰もが紙一重」寄り添う理由

 

過去に私が代理人として関与させていただいた件でも,入居者は70代の方で年金のみで生活されており,頼れる親族などもいなかったため,市役所の福祉課や民生委員,警察などに相談して,何とか次の生活の場を見つける努力を行いました。ただ,入居者自身が市役所等の助力をすべて拒否されてしまったため,残念ですが任意の明渡とはならずに強制執行となってしまいました。何をどうすれば正解だったのか分かりませんが,少なくとも私は大家さんの代理人であるため,やはり最終的には大家さんの利益となるべく動くしかなく難しい問題です。

 

このように任意に明け渡していただけない場合,最終的には訴訟を行ったうえで強制執行によって明渡してもらうことになってしまいますが,強制執行は大家さんにとっても入居者の方にとってもデメリットが大きいため,ギリギリまで和解を模索して任意に明け渡していただくべく交渉を行っています。

実際に,今月も訴訟を行い判決まで行きましたが,明渡しに関して話し合いが成立して任意の明渡で解決した事件がありました。ただ,それだけでは解決とはならず,後日紛争が再燃しても困るため,必ず和解書等の書面を作成することになります。

今回は,任意に明け渡していただくこととなった際に作成する和解書に必ず設けておくべき条項についてまとめたいと思います。

 

figure_talking

 

未払い家賃の支払いに関するもの

家賃の未払いを理由に解除となることがほとんどであるため,未払いとなっている家賃の支払い方法を定めます。

 

1 未払いとなっている家賃等の総額を認める条項

訴訟を行っていればあまり関係ないのですが,訴訟を行う前だと,この条項を入れておくことで和解後に支払いがされなかったとしても金額に争いが無くなります

具体的には,

「乙(入居者)は,甲(大家さん)に対し,本件賃貸借契約に基づく未払賃料として,金○○○円の支払義務があることを認める

という内容になります。

 

2 未払賃料の支払方法

一括にしても分割にしても,和解の時点で未払い賃料が残っていれば,その支払方法を定めます。

多くの場合に分割となりますので,支払総額,毎回の支払額,支払期限(「毎月末日限り」など),支払方法(送金先の口座の情報など)を定めることになります。

 

3 遅れた場合の処理

分割払いとなった際に支払いが遅れた場合は,残金を一括で支払う旨の条項を入れます(期限の利益喪失条項)。

また,明渡しを求めるのではなく,未払い賃料と今後の賃料を支払うことを条件に賃貸借契約を継続する場合は,一度でも遅れたときは賃貸借契約が当然に解除となる条項も入れておきます。ただし,賃貸借契約の解除は簡単ではないため,この条項が入っていたとしても絶対に解除となるわけではありません。

 

明渡に関するもの

任意に明け渡してもらう場合,明渡の確認と部屋の中にある動産類の処分が重要です。

 

1 明渡の確認

すでに明渡が完了しているのであれば,「平成○年○月○日をもって明渡したことを確認する。」という条項となりますし,引っ越し作業などの猶予期間を経て明渡しがされる場合には,「平成○年○月○日をもって明渡す。」という条項が入ります。

というのは,たとえ賃貸借契約が法的に解除されていたとしても,入居者が居住し続けている以上,勝手に室内に入ることができません。もし勝手に入ってしまうと,刑事的には住居侵入罪刑法130条)に問われる可能性がありますし,民事的にも損害賠償請求民法709条)を受ける可能性があります。また,明渡したと思っていたのに,入居者の方がまた室内に戻ってくる可能性もゼロではありません。

このようなことを防ぐために,確実に入居者の方が明渡済みであることを確認する条項が必要となります。

 

2 室内にある動産の処理

基本的には明け渡してもらう際には室内にあるテレビやタンス,ベッドなどすべての動産は入居者の方に持って行ってもらうか処分してもらうかのどちらかになるのですが,現実問題としては室内に動産を放置したまま退去される方も多いです。この場合,明らかにゴミであれば勝手に処分しても問題ありませんが,そうでない場合に勝手に処分してしまうと損害賠償請求などをされる可能性も否定できません。

それに備えて,室内の動産の所有権を放棄または譲渡する条項と室内にある動産を処分しても損害賠償請求等の一切の請求をしない旨の条項を入れておきます。これが入ることで,大家さんが動産を自由に処分できることになりますので,エアコンなどの家電製品で使えるものは処分をせずにそのまま次の入居者の方に使っていただいても構いません。

 

3 処分費用

上記のとおり,大家さんが自由に処分できるとしても業者さんに依頼すればそれなりの処分費用がかかります。こちらについても,入居者に負担してもらうような条項を入れることが多いです。

そもそもお金がなくて滞納している方が多いため,処分費用を実際に回収できる可能性は高くありませんが,それでも入れないよりは入れておいた方が良い条項です。

 

以上から,任意で明け渡しの合意ができたとしても,必ず上記のような条項を入れた書面を作成し,互いに署名,捺印された方が,後日のトラブルを防止することができるかと思います。

 

【司法書士の債権回収最前線】目次はこちら


« »

個人間の金銭トラブル

売掛金の回収

診療報酬

未払い賃料・立ち退き

管理費滞納

保全・強制執行

ブログ。司法書士の債権回収最前線。

名古屋債権回収相談室

〒480-1116
愛知県長久手市杁ヶ池106番地2
1階

はなみずき司法書士事務所

お気軽にご相談ください。(相談無料)電話番号0561-61-1514 ファックス番号0561-61-1535

対応地域

名古屋市、岐阜県、愛知県、三重県

このページのトップへ